戦乱の世の中で、一体どれだけの城が作られたか、ご存知でしょうか?
500?
1,000?
いやいや、思い切って2,000ぐらいかっ?
惜しいっ!
答えは、全国で3,000から4,000に達する数の城があったと推測されています。
それが一気に減らされたのが江戸時代。
大坂の陣が終わると慶長20年(1615年)閏6月13日、幕府から
【一国一城令】
が各大名家に出され、文字通り「1つの国にお城は1つだけ」という決まりが通達されました……と言うと、実はちょっと間違い。
少し説明を加えますね。
この場合の国とは、山城国(京都)とか相模国(神奈川)といったように旧国を表しますが、どうしたって
【1つの国を複数の大名で領地にしている】
ケースが多々あるわけです。
そんなときには、それぞれの藩(大名)の数だけ城が置かれました。
「これからの城は軍事施設ではなく、政庁として使うように」という意味合いもあったと考えれば、当然ですね。
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西日本を中心に実施
ではまず一国一城令を出した幕府の本音は?
というと「大名の力を削ぎ、将軍家に逆らえないようにしたい」であります。
特に、豊臣家との結びつきが強く、関ヶ原の際に処分しきれなかった大名も少なくない西日本には、かなり厳しい目が向けられました。
東日本については、豊臣秀吉の時代に多くが処分されていたというのもありますが……。
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前述の通り【一つの国を複数の大名で支配している場合】には、大名ごとに一つずつ城を持つことが許されました。
ここで1枠を巡って「ドコの家が城をもつか?」なんて調整してたら、ロクなことになりませんしね。
江戸時代の初期だと、それこそ紛争→戦争→幕府瓦解の嫌なコンボが決まりかねません。
そんなわけで「一国一城令が出された後も、国の数と城の数は一致しない」ことを覚えておくと、いろいろな大名家の歴史を見るときに、混乱を防げるかと思います。
特に大きな藩や、一つの国が広いところなどで、頭が混乱しがちです。
ここではいくつかの例外を見ていきましょう。
加賀・能登・越中の三つの国を支配した加賀藩
デカイ藩の筆頭といえば、やはり「加賀百万石」と呼ばれる加賀藩(金沢藩)でしょう。
加賀・能登・越中の三つの国を支配し、実際は120万石をも超えていた――なんて話もある巨大な藩ですから、十把一絡げに扱うわけにはいきません。
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加賀藩の城数は三つではなく二つでした。
当初は、本拠地である加賀の金沢城だけを残して、他の城は破却しています。
ところが、二代目藩主の前田利常が徳川将軍家と親密だったため、一度破却していた小松城の再建を許されたのです。
金沢城の二倍近い広さを持ち、前田家威勢の象徴ともなりました。
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前田氏同様、「将軍家との関係で複数の城が許された」というパターンはもう一つありました。
鳥取藩の池田氏です。
鳥取藩は因幡・伯耆の二国であり、本来ならば一国に一つずつ、計二つの城を持つのが順当なところ。
しかし、鳥取藩主家は徳川家康の次女・督姫の血を引いていることから、外様大名の中でも別格扱いとされ、三つの城を持つことが許されました。
うち一つは陣屋(じんや・政庁として認められた屋敷のこと)扱いでしたが、あくまで名目上のことです。
萩藩(長州藩)をはじめとした周辺地域への備えという意味もあったようで、近所の黒坂藩が改易されてから、黒坂城が池田氏の陣屋として扱われたのです。
佐竹氏は久保田城・大館城・横手城の三城持ち
それらとはまた別の理由で、複数の城を許されたケースもありました。
久保田藩(秋田藩)の佐竹氏です。
ここは結構単純な理由で「一つの家で収めるには、領地が広すぎるから」でした。
「じゃあなんでそんな割振りにしたんだよ!」とツッコミたくなりますが、もともと佐竹氏は関ヶ原の際に西軍寄りの行動をして徳川家康に睨まれ、地元・常陸から引き離されたという経緯があります。
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常陸から引っ剥がした時点で、”佐竹氏の力を削ぐ”という家康の狙いは、半分達成されていたんですね。
となると、後は恨みを買い続けないよう、多少は攻め手を緩めてやる必要があります。
その懐柔策の一つが、一国一城の例外扱いであり、
「出羽半国を佐竹だけで治めるには、城が一つじゃやりにくいよね。まだ転封してきたばっかりだし、城を三つ持っていいからシッカリね^^」
と認めることでした。
こうして、佐竹氏は久保田城・大館城・横手城の三城を持っています。
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