歴史ドラマ映画レビュー

英国スピットファイアと戦死の恐怖を堪能できる映画『ダンケルク』

2022/04/29

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映画『ダンケルク』レビュー
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「祖国」ってなんだ

これもまた私個人の感想ですが、彼らにとっての「祖国」が映像や概念で説明されているのもよかったです。

まずは何といっても、ドーバーの白い崖。

海を越えてイギリスに来た人が目にするという、あの白さを見ると、兵士たちの安堵感が伝わってきます。

これでやっと祖国に帰れた――そんな安堵感は、差しだされるパン、紅茶、ビール、そして緑豊かな田園風景から伝わって来ます。

祖国に帰る安堵感を、勲章を受け取るような華々しい場面ではなく、素朴な伝え方をしたことは、この映画の良さではないでしょうか。

私は言うまでもなくイギリス人ではありませんが、ラストシーン間近では帰郷したという感動でふるふるしてしまいました。

民間徴用船を見る海軍人の目線からも、勇敢さを示す祖国への誇りが伝わって来ます。

ごく普通のおばちゃんが、船に兵士を迎え入れるのがよくってね。

こういう勇気こそジョンブル魂だぞ、そう語りかけられた気がします。

 


観客をある程度置いてけぼりにはする

本作には欠点もあります。

歴史的な前提知識がないとわかりにくいというところ。

ある程度予習をしておけ、というのは歴史映画によくあります。本作はそうした映画の中でも、ハードルが高めです。

イギリス人が主人公であるせいか、あまり自分語りをしません。言わないでもわかるだろ、という前提で話が進みます。

なぜこうするのかという、自分がどう思っているのかということを、アメリカ映画のように説明してくれません。

そのせいか、ストーリー性が弱いという評価もあります。

三つの物語が交錯する構成ですし、一本感情移入できる筋が通っていないというのはそうなのです。

それもまた、本作の味わい。

イギリス人らしさがあふれる、秀逸な戦争映画です。


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著:武者震之助

【参考】
『ダンケルク(字幕版)』アマゾンプライム無料(→amazon)2024年7月20日現在

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BUSHOO!JAPAN(五十嵐利休)

武将ジャパン編集長・管理人。 1998年に大学卒業後、都内出版社に入社し、書籍・雑誌編集者として20年以上活動。歴史関連書籍からビジネス書まで幅広いジャンルの編集経験を持つ。 2013年、新聞記者の友人とともに歴史系ウェブメディア「武将ジャパン」を立ち上げ、以来、累計4,000本以上の全記事の編集・監修を担当。月間最高960万PVを記録するなど、日本史メディアとして長期的な実績を築いてきた。 ◆2019年10月15日放送のTBS『クイズ!オンリー1 戦国武将』に出演(※優勝はれきしクン) ◆国立国会図書館データ https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/001159873

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