この歴史漫画が熱い! ゴールデンカムイ

『ゴールデンカムイ』主要キャラ9名の出自やルーツ 史実からのマトメ

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ゴールデンカムイ主要キャラ考察
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第七師団:戊辰戦争負け組の子孫たち

本作でも繰り返し描かれる、北海道開拓の厳しさ。

明治政府の方針は、戊辰戦争の敗者を痛めつけました。

 

未開地の開拓は、誰にとっても厳しいものです。

明治政府は、流刑と開拓の一石二鳥ができると言わんばかりの開拓政策を取りました。

戊辰戦争で負けた者たちは屯田兵となります。

第七師団は、そうした戊辰戦争負け組の子孫が多く所属していたのでした。

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本作の第七師団所属者も、負け組子孫と言える者が多くいます。

 

鶴見中尉:新潟県

新潟県は、長岡藩領でした。奥羽越列藩同盟に参加した藩です。

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この長岡藩相手に、西軍は大苦戦を強いられます。

激戦の中心にいた名家老といえば、河井継之助

河井と鶴見には共通点があります。

マシンガンをバリバリと言わせて、敵を倒すところです。

ガトリング砲を駆使して敵を苦しめた河井。

敵をマシンガンで撃つと、脳みそから汁が出るほどテンションがあがる鶴見。

歴史的に見ると、同郷の共通点なのですね。

 

月島軍曹:新潟県佐渡島

佐渡島は、幕末は徳川天領にあたります。

 

二階堂浩平・洋平:静岡県

静岡県は、明治維新後、幕臣や旗本が徳川慶喜について移り住んだ場所です。

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食い詰めて、飢死にするほど追い詰められる者すらいたとか。

彼らの祖父世代は、そんな幕臣や旗本かもしれません。

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ちなみに本来、静岡出身者は、第三師団に編成されます。

幕臣は、政府が示す策にそって農業や商業労働者になった場合もあります。

食い詰めた静岡ルーツの幕臣旗本子孫が、食べるためにやむなく北海道に移民し、その子孫が第七師団に入ったのかもしれません。そう想像すると、切ないものがあります。

本作の第七師団には、戊辰勝ち組側の子孫もおります。

 

谷垣源次郎:秋田県

秋田藩は、奥羽越列藩同盟に参加しなかった数少ない奥羽の藩です。

そのため、戊辰戦争では周囲から攻め込まれ、苦しい立場に陥りました。

そんな秋田藩で活躍したのが、マタギを組織した狙撃部隊です。谷垣の祖父あたりが参加していたとしても、おかしくありませんね!

幕末から狙撃兵として、マタギの名は知られていたのです。

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鯉登少尉:鹿児島県

薩摩隼人」とそのルーツを強調される彼は、第七師団でも勝ち組御曹司。

本作では例外的存在です。

示顕流ではなく、中級以下の薩摩藩士に採用された「自顕流」遣いということは、祖先はそのあたりのルーツでしょう。

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鯉登家と、その同郷の親友であるという花沢家は、幕末志士を先祖に持つルーツと想像できます。

彼のモデルは最後の第七師団長である鯉登行一とされています。

しかし、共通点は苗字くらいで、経歴や背景的にはそこまで酷似していません。

むしろ、尾形百之助の父方である花沢家同様、幕末と縁が深い薩摩属性を与えられたとみるほうが興味深いかもしれませんぞ!

尾形百之助については次の別記事で、ちょっとディープに考察してみたいと思います!

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文:小檜山青

【TOP画像・参考文献】
Satoru Noda『ゴールデンカムイ』(→amazon
一坂太郎『明治維新とは何だったのか: 薩長抗争史から「史実」を読み直す』(→amazon
半藤一利『もう一つの「幕末史」』(→amazon

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