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【能で見る義経物】
以下の作品が義経物の能となります。
・船弁慶
勧進帳と同時期、つまり平家討伐後、義経が頼朝とケンカした後の話です。
静御前と平知盛を同じ人が演じるという無茶振りな演目でもあります。
作者が観世小次郎信光という人で、ダイナミックな構成を得意としたからだと思われますが、どっちかというとエキセントリックに近いようなゲフンゴホン。
・鞍馬天狗
義経は天狗に武術を教わった、という伝説を元にした演目。
天狗と幼き日の義経(牛若丸)のハートフルストーリー(超訳)です。
・烏帽子折
東北への旅の最中、義経が元服した頃の話。
といっても烏帽子親はおらず、この話では自ら烏帽子を被って義経と名乗ったことになっている。
ナポレオンかーい(※ナポレオンは教皇から授かるのではなく、自ら冠を被って即位した話があるので)。
その後盗賊に教われそうになったところをご先祖様が夢に出て危機一髪、という話。
時系列順にすると、鞍馬天狗→烏帽子折→(源平の合戦)→船弁慶という感じになります。
さすがにこんな順で演じられることはないですし、連日違う演目を……というのもできなさそうですけどね。見てみたい気はしますが。
能に怖いお面が用いられる理由
さて、ここから先は余談です。
能といえば面というイメージが強いですが、実は面をつけるのは”既に生きてはいない者・神仏・女性のどれか”という前提があります。
これは女性蔑視というより、昔は女性が舞台に上がることができなかったので、女性の役をやるのに男の顔のままだと観客が「役名は美女なのに(´・ω・`)」という気分になってしまうからかもしれません。
能に限らず、演技やフィクションの世界では観客や読者が話の雰囲気に浸れないといけませんからね。
ある意味ネタバレですが、そもそも能にはそういう人外と人間の話をベースにしたものが多いので、いないと面を被った役がない=能らしくないということになってしまいます。
戦後の昭和二十三年(1948年)に女性も能楽師になることが正式に認められたのですが、声域の違いから苦戦することもあるようで。
今後、女性が演じることを前提とした演目が作られたり、既存の曲でも女性が演じやすいように編纂されるかもしれませんね。
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長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
the能.com(→link)
勧進帳/wikipedia
船弁慶/wikipedia