相撲の歴史

雷電為右衛門(右)と江戸ヶ崎源弥(左)/wikipediaより引用

縄文・弥生・古墳

相撲の歴史は意外の連続~1500年前に始まり明治維新で滅びかける

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輪湖時代、初の外国人力士優勝

昭和47年頃からは、輪島と北の湖が争う「輪湖時代」と呼ばれます。

輪島は185センチ、132キロ。

恵まれた体格をもち、ふてぶてしいほど強靱な精神力の持ち主でもありました。

北の湖は179センチ170キロ。

巨体ながら器用さも持ち、独特の躍動感ある相撲が魅力でした。

大鵬の記録を破り、最年少横綱昇進を果たしています。


※輪島VS北の湖

相撲のスカウトといえば、かつては有望な少年を「うまい飯が食えるぞ」とともかく連れてくるようなものでした。

が、高度経済成長後はそういうものでもなくなってきまして。

昭和47年には、アメリカ出身の高見山が初優勝し、"ジェシー台風"と呼ばれました。

このときは当時のニクソン大統領から祝電が届いたそうです。

 


ウルフフィーバーとハワイ勢躍進

多くのスターが登場した昭和時代。

最後の大横綱は、千代の富士でした。

183センチ126キロの体格は、体脂肪率がきわめて低い、まさに鋼の肉体。鍛え上げられた筋力で投げ飛ばす相撲は、絶大な人気を誇りました。

その鋭い風貌はウルフと呼ばれ、まさに国民的大スターです。

※肩まわりの筋肉が尋常じゃないほど発達していた千代の富士

一方、昭和から平成へと元号が変わると、ハワイ勢力士が台頭しました。

小錦は187センチ275キロという圧倒的な体躯を持ち、突きと押しはすさまじい威力を持ちました。

外国人初の大関となり、横綱挑戦を目指したものの、あと一歩というところで及びません。

 


若貴ブームとハワイ勢の快進撃続く

平成の前半は若花田(のちの二代目若乃花)・貴花田(のちの貴乃花)兄弟が相撲ブームを牽引しました。

兄の若花田は180センチ134キロ。巧みな足捌きの技巧派。

弟の貴花田は、185センチ161キロ。隙の無い取り口で圧倒的な強さを誇り、数多くの最年少記録を打ち立てました。


※平成7年十一月場所・史上初の兄弟による優勝決定戦

彼らと覇を競ったのがが曙、武蔵丸らハワイ出身力士です。

曙は外国人力士初の横綱に昇進しました。

 

モンゴル勢の台頭……岐路を迎える大相撲

平成10年代になると、相撲の勢力図が変わります。

若貴もハワイ出身力士も姿を消す一方、朝青龍を皮切りにはじめとするモンゴル人力士が台頭してきたのです。

やんちゃな性格が賛否両論とはいえ、圧倒的に強く、愛嬌もあった朝青龍。彼には独特の魅力がありました。

白鵬とのモンゴル勢同士の対決は、好カードでした。

朝青龍引退後も、白鵬、鶴竜、日馬富士ら、そうそうたるモンゴル勢力士が土俵を席巻しました。

ブルガリア出身の琴欧洲、エストニア出身の把瑠都ら外国人力士も活躍しました。

しかし、平成も後半となると、不祥事が多く報告されるようになりました。

八百長、賭博、大麻……そして暴行事件。

平成19年(2007年)には、時津風部屋において死者が出る事件が発覚しています。

暴行を意味する“かわいがり”という単語に衝撃を覚えた方も少なくないでしょう。

そして平成29年(2017年)、日馬富士による貴ノ岩をはじめ、その後も暴行事件スキャンダルが後をたちません。

一体これから相撲はどうなってしまうのか?

問題は依然として収束を見せませんし、明治初期以来の正念場を迎えているのかもしれません。

こうしてみてくると、相撲というのは近代以降、柔軟な変革を伴いながら進化してきたことがわかります。

伝統も大事ですが、変革し大胆に進歩を遂げたからこそ、今日の相撲があるのです。

また、変革以上に大事な要素があります。

それは世相や人々の思いとともに歩んできたこと。その時代を生きる人々に愛され、楽しみと勇気を与えてきたからこそ、相撲は続いているのです。

平成が終わり、令和の時代になりました。

2020年春、糖尿病を患っていた力士が新型コロナウイルスで亡くなるという、悼ましい悲報が日本を震撼させました。

力士の糖尿病は、負けぬ大柄な体作りには欠かせない、職業病ともされています。大柄な肉体がぶつかりあってこそ、大相撲の伝統だという意見はありましょう。

しかし、蹴り技の封印はじめ、大相撲とは力士のリスクを下げるために変革を行なってきた歴史もあるのです。

この悲報をきっかけに、大相撲が変貌できるのかどうか。より安全な大相撲を願ってやみません。


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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
大相撲歴史新聞編纂委員会『大相撲歴史新聞』(→amazon
土屋喜敬『相撲 (ものと人間の文化史)』(→amazon

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