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【豊川信用金庫事件】
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ネット社会だからこそ安心なのか危険なのか
佐賀銀行のチェーンメール事件が起きたのは2003年12月25日のこと。
とある20代の女性が配信した一通のメールがキッカケでした。
【友人からの情報だと26日に佐賀銀行が潰れる! 明日預金を全額おろします!】
そんな趣旨の文面を別の知人に送ったところ、またたく間に広がり、実に一日で180億円もの預金が引き出される事態に発展してしまいました。
いくらメールは拡散しやすいと言っても、なぜこんなコトになってしまったのか?
その背景にあったのが【ペイオフ解禁】です。
ペイオフ解禁とは「銀行が潰れた場合、普通預金は1000万円までしか保証されない」という内容であり、それを恐れた人々が預金の引き出しに走ったんですね。
同騒動の2年前にも、福島銀行で350億円もの取り付け騒ぎがありましたが、ちょっとしたキッカケで人々がパニックに陥りやすいというのがよくわかります。
というか、つい最近もありましたよね……。
二度目のトイレットペーパー買い占め騒動
新型コロナウイルスの拡大が騒ぎになっていた2020年2月から3月にかけて。
トイレットペーパーの買い占め騒動が勃発し、折からのマスク不足にも拍車をかけるように、人々がドラッグストアの前に行列をなしました。
家中トイレットペーパーだらけになった方もおられるかもしれません。
提供メーカーが「数は十分にある」とアナウンスをしても、しばらく棚から消えていた時期が続きました。
過去を遡れば、豊川信用金庫事件の起きた同年10月にもトイレットペーパー騒動(※)や洗剤パニックが起きていたのに、そうした経験があまり活きなかったといえるかもしれません。
東日本大震災のときも不要な買いだめをして、結局、食品などを無駄にしてしまった人がいたといいますし。
天災やウイルスに対して我々ができることは、まずいたずらに不安を煽らず煽られず、冷静に対処することでしょう。
人災が加わってより大きな混乱を招くことのないように、日頃から備えておきたいものです。
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長月 七紀・記
(※)第四次中東戦争による原油の高騰+政府からの「紙節約のお願い」+スーパーやマスコミのアオリで全国的にトイレットペーパーの買い占めが起きた事件。収束したのは1974年春頃なので、豊川信用金庫事件のときも並行して起きていた
【参考】
関谷直也『風評被害~そのメカニズムを考える~ (光文社新書)』(→amazon)
新型コロナウイルス感染拡大と流言・トイレットペーパー買いだめ/NHK放送文化研究所
豊川信用金庫事件/wikipedia
取り付け騒ぎ/wikipedia