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その日、歴史が動いた キリスト教

受胎告知を経てイエスを産んだ母のマリアはその後どうなった?

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古代のことを知るときには、宗教や神話がかかせません。
話の内容全てが現実に起きたとは限りませんが、何かのたとえ話であったり、「後世から見て必要になったので、辻褄を合わせるために話が作られた」可能性もあるからです。そこから当時の情勢や、後世への影響を探ることもできますし。
本日はそんな例の一つとして、あの宗教の重大な出来事をみていきましょう。

3月25日は、カトリックで「受胎告知」を記念する祭日です。

イコン(聖画)の題材としても有名なものなので、クリスチャンでない方にもよく知られているキリスト教用語の一つではないでしょうか。
「聖母マリアが”無原罪の御宿り”を天使から告げられる」という話ですが、今回はその前の事情から見ていきましょう。

レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』/wikipediaより引用

【TOP画像】イエスの母マリア/wikipediaより引用

 

アンナの前に天使ガブリエルが現れて

マリアの両親は、アンナとヨアキムという夫婦でした。
彼ら二人は信心深くお祈りをしていたのですが、長らく子供に恵まれず、あるとき「子孫を残すことは神への義務なのに、サボっている」と讒言されて、苦しい立場に追いやられてしまいます。

これを悲しんだヨアキムは荒野で40日間の断食を行い、「どうか子供を授けてください。授けていただけたら、その子は神様に捧げますので」と祈りました。
すると、天使ガブリエルが現れて「おk。今お前の妻に子供が宿ったから、約束をきちんと守るように」(超訳)とお告げをしに来たのです。
アンナはかなりの歳になっていましたが、ヨアキムが家に帰ってみると、お告げの通り子供を授かっていました。
二人は喜び、やがて月が満ちて女の子が生まれます。この女の子が後の聖母となるマリアです。

アンナとヨアキムは神との約束を守り、マリアが三歳になったとき、エルサレムの神殿に預けました。そこから結婚直前まで修道院で育っています。結婚を機に世俗へ戻ることになっていたのでしょう。
結婚相手は、これまた信心深い大工のヨセフでした。

しかし、ヨセフとの結婚の前に、マリアは身ごもってしまいます。

アンナを抱く母アンナと父ヨアキム/wikipediaより引用

 

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その子は救世主になるから、大切に育てるように

「清い身を保っていたはずなのに、なぜ???」

混乱するマリアの前に現れたのは、またしてもガブリエルでした。
彼(彼女?)はマリアに「神様の子供だから問題ないよ! ヨセフは信仰の厚い人だからきっと信じてくれるよ!」(超訳)、「その子は救世主になるから、大切に育てるように。名は”イエス”とつけなさい」と告げ、去っていきます。

余談ですが、ガブリエルはマリアの親戚のエリサベトという女性のときも、同じようなお告げをしに来たことがありました。
ユダヤ教の聖典・タルムードではモーセの遺体を運んだり、イスラム教では「ジブリール」と呼ばれムハンマドにお告げをしに来るなど、「アブラハムの宗教」と呼ばれる一神教で一番忙しそうな天使です。
「天」の「使」いという立場を最も表しているかもしれないですね。

この話を聞いたヨセフもまた混乱しましたが、「天使様がおっしゃるなら問題ないな!」(超訳)と言い、予定通りマリアと結婚しました。
当時は婚前交渉が重罪とされていたのですけれども、心の広いことです。うわ信仰つよい。

ちなみに、マリアとヨセフは二人ともダビデ(旧約聖書の英雄の一人。でも歳を取ってから色ボケした人)の末裔なので、遠い親戚でもありました。とはいえダビデの時代から数十代隔たっていますので、遠いにもほどがありますけども。日本でいえば、たぶん源氏と平家をさして親戚筋というのと同じくらいの感覚だと思われます。

ならばなぜこの二人の血統のことが大事になるのかというと、聖書では「ダビデの血筋から救世主が生まれる」とされていたので、マリアがダビデの血を引いていなくてはいけなかったのです。
その場合、ヨセフはダビデの末裔でなくてもいい気がしますが、おそらくイエスの神聖性を高めるためにそういう話にしたのでしょうね。

聖母子像/wikipediaより引用

 

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イエスが生まれてからはハッキリ記載はなく……

”無原罪の御宿り”というのは、創世記のアダムとイヴの話に由来します。
「食べてはいけない」といわれていた知恵の実を食べた彼らは、それぞれ神から罰(原罪)を下されました。
アダムと全ての男性には労働の苦しみと土に還る(死ぬ)宿命、イヴと全ての女性には出産時の苦しみが宿命付けられたとされています。

「産めよ増やせよ地に満ちよ」という割に、出産のたびに苦しめるというのはなかなか不可解ですが。そうしないと増えすぎると思ったんですかね、神様は。

しかし、マリアは神の意志で選ばれ、救世主であるイエスを身ごもったので、この原罪の例外ということになったのでした。
最近は「産みの苦しみがないと母親らしくなれない」とおっしゃる方もいますが、その理屈で行くと「聖母マリアに母性がなかった」というとんでもないことになってしまいますね。

とはいえ、イエスが産まれてからの聖書はイエスの言動に焦点があたるので、その後マリアやヨセフがどうしていたのかということについては、はっきり記載されていません。

イエスの少年時代についてもあいまいです。
「イエスが12歳のとき、家族で巡礼に行く途中にイエスとマリア・ヨセフがはぐれてしまった。二人が必死に探すと、イエスは神殿で学者たちを相手に大人顔負けの受け答えをしていた。マリアが”心配したのよ”と声をかけると、イエスは”私が神の家にいることがわからなかったのですか”と答えた」(超訳)という話もありますが、これだけ聞いたらただの生意気な子供ですね。

 

十字架を背負うイエスを見て泣き崩れるマリア

その後のマリアに関する話としては、「イエスが十字架を背負って処刑場への道を登る際、途中でマリアが来て泣き崩れた」「十字架にかけられた後のイエスを降ろし、マリアは悲嘆にくれた」、「イエス復活の際、イエスの弟子たちとマリアがともに祈った」というものがあります。

処刑されたイエスを抱いているマリアのシーンは、「ピエタ」として、これまた数多くの絵画や石像になっています。ミケランジェロの大理石像が有名でしょうか。
あの像の比率でいくと、マリアの身長はイエスより大きくなってしまうそうですが、ミケランジェロはリアリティよりデザインを優先したのでしょうね。

ミケランジェロ、サン・ピエトロのピエタ/wikipediaより引用

また、絵画や彫像でマリアが非常に若く表現されているのも、ミケランジェロ以降だといわれています。
イエスが処刑されたのは30代半ばですから、それまでの芸術作品ではマリアはそれなりの歳で表現されていました。しかし、ミケランジェロは「原罪がないマリアが老いる訳がない」と考え、イエスよりも若く見えるような顔にしたのだとか。

今ではほとんど若く描かれるマリアに対し、全てを受け入れてマリアと結婚し、救世主の義父になったにもかかわらず、逸話すらほとんどない上に完全な老人としてしか描かれないヨセフが哀れに思えてきます。
一応、イエスの後に三人の子供がいたという説もあるのですが、確たる証拠はありませんし。
いつの時代も「亭主元気で留守がいい」ということなのでしょうか。それはそれで(`;ω;´)

長月 七紀・記

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参考:受胎告知/wikipedia イエスの母マリア/wikipedia ナザレのヨセフ/wikipedia アンナ_(マリアの母) ヨアキム/wikipedia





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