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スプートニク1号/wikipediaより引用

その日、歴史が動いた ロシア

ソ連のスプートニク1号と米国のエクスプローラー1号 そして人工衛星の開発競争が始まった

更新日:

「競争」ほど、時と場合によって意味が変わる言葉は珍しいかもしれません。
良い競争は切磋琢磨と呼ばれ、何かが進展し磨き上げられていきますが、いったん負の方向に働くと、いずれ彼我もろとも破滅へ。
人類の歴史が戦争の歴史であり、その合間に科学技術が発展する様をたどっていくと、そういった例は枚挙に暇がありません。

1957年(昭和32年)10月4日は、ソ連が史上初の人工衛星・スプートニク1号の打ち上げに成功した日です。

元はロシア語で「付随するもの」という意味だそうで。割とそのまんまな命名ですね。
現在では人工衛星というと気象関係や宇宙開発事業を連想する人が多いでしょうし、いざ打ち上げが成功しても「よかった、よかった^^」ぐらいのもので、特別な驚きを伴ったりはしないでしょう。
しかし、この時代においてはいろいろな意味で激震をもたらすものでした。

 

地球の重力と遠心力が釣り合うポイントに設置

まずは「人工衛星」の定義からサラッと確認しておきたいと思います。

書いて字のごとく「人工の衛星」なわけですが、原理としては「地球の重力と遠心力が釣り合うポイントに、一定の速度で動くように設置する」という、なかなか高度な技術が必要となります。
打ち上げそのものに失敗してしまうことはもちろん、この”釣り合い”を保てないと悲しい結果になるわけです。

なにせ、地球の衛星である月でも、年々少しずつ地球から遠ざかっているそうですから。
自然にできたものでさえ位置を正確に保つことはほぼ不可能なのですから、人工ならばいわずもがなのことです。

人工衛星に似たものとして、「スペースデブリ」と「宇宙探査機」などがあります。

スペースデブリはかつて使われたロケットの残骸や人工衛星の破片を指し、月や太陽など地球以外の星を対象とする場合は宇宙探査機といいます。
宇宙探査機で有名なのは、火星へ向けた「バイキング」や土星へ飛ばした「カッシーニ」などでしょうか。

日本製の探査機「はやぶさ」は、2005年に火星と木星の間にある小惑星イトカワを調査し、2010年には世界で初めて小惑星からサンプルを持ち帰ることに成功しました。

また、広義では広義では有人宇宙船や宇宙ステーションなども人工衛星に含まれるそうです。
本質的には同じものなのに、呼び名が全く違うって妙な感じがしますね。面白いところでもありますが。

さて、話をスプートニク打ち上げ当時に戻しましょう。

 

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アメリカの発表直後にソ連も計画を公開し、先に成功

人工衛星が開発された背景には、冷戦が大きく関わっています。

第二次世界大戦後、アメリカとソ連は軍事技術を宇宙開発に応用し始めました。
そして1955年7月29日に、ホワイトハウスが「1958年の春までに、人工衛星を打ち上げる」と発表。これを「ヴァンガード計画」といいます。

ヴァンガード計画を受けてか、それともたまたま時期がかぶったのか。
その二日後にはソ連も計画を発表します。

「我が国は1957年の秋までに、人工衛星を打ち上げる」

発表時期はただの偶然という可能性もありますが、達成目標は明らかに意識してますよね。

こういうのって失敗したり延期したりするのがお約束ですが、ソ連は実際、1957年の秋に人工衛星打ち上げに成功してしまいました。

それがスプートニク1号。
もちろん世界初の偉業でした。

 

「よく宇宙空間を飛べたな……」

最初期の人工衛星ということもあり、スプートニク1号は割と小さな作りをしています。
直径58cmの球体に、4本の棒のようなアンテナ。

スプートニク1号/wikipediaより引用

おそらくや多くの方が、写真を見て「よく宇宙空間を飛べたな……」と思うのではないでしょうか。とても繊細な作りのように見えます。

スプートニク1号は電波の発信により、地球の上空にある「電離層」の観測を行った後、57日後に大気圏へ再突入して文字通り燃え尽きました。
宇宙開発に莫大な費用がかかるのは、こんな感じで再利用できないことが多いのも一因でしょうね。

当然、スプートニク1号の成功は世界に大きな衝撃をもたらしました。
特にソ連に先を越された形になったアメリカは、官民問わず大きくショックを受けています。

「アメリカが世界の最先端」という自負があったからです。

その影響で、教育・軍事・科学技術部門の改革の必要性が再認識され、アメリカ航空宇宙局(NASA)が1958年7月に設立。
今日では宇宙の話題といえばNASAの発表がほとんどですから、このときまでNASAがなかったのは驚きですね。
NASAがなさげ……なんでもありません。

 

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NASAの始動前にあわてて発射する米国は……

アメリカはよほど焦ったらしく、NASAが始動する前の1958年1月31日、アメリカ陸軍がエクスプローラー1号という国内初の人工衛星を打ち上げています。

エクスプローラーは「調査者」という意味です。ブラウザの名前でお馴染みですね。

エクスプローラー1号/wikipediaより引用

……どうでもいい話ですが、これが成功したからいいものの、もし失敗したら
「もうちょっとで専門機関ができるところだったのに、無理して世界的に恥をかいた上、莫大な金を無駄にしたとか何考えてんの?」
「やっぱりアメリカよりソ連のほうがスゴイよね! 共産主義万歳!!」
みたいに言われてたんでしょうね。冷戦が実戦になりそうで実に恐ろしい。

エクスプローラー1号は1970年3月31日まで調査を行い、その役目を終えました。
「初めての人工衛星」ではありませんでしたが、エクスプローラーのほうがスプートニクより長持ちしたと考えれば、技術競争としてはなかなかいい勝負なんじゃないですかね。当時はそんなノンキなこと言ってられなかったでしょうけれど。

その後も米ソ両国は、それぞれの名前を冠した人工衛星を多数打ち上げました。

ミサイルとロケットが同じ原理であるように、人工衛星の打ち上げに成功したということは、宇宙空間に軍事拠点を作ることが(将来的には)可能ということにもなります。
人工衛星の成功の後、核開発競争が盛んになったあたりでは、核戦争や宇宙戦争を危惧した人も多かったでしょうね。

それが現実になっていないことは、真に喜ばしい限り。ぜひこれからもそうであってほしいですね。

長月 七紀・記




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参考:スプートニク1号/wikipedia スプートニク計画/wikipedia 人工衛星/wikipedia エクスプローラー計画/wikipedia

 





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