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【スペインかぜ】
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長期化する戦争に歯止めをかけていた!?
オーストリア皇太子の暗殺事件(サラエボ事件)に端を発した第一次世界大戦ですが、当初の予想に反して戦いは長期化しました。
長期戦による人的・物的被害は大きく経済も疲弊。
1918年に入るとトルコ、オーストリアで革命が発生して帝国が瓦解します。
また、ドイツでも革命が起こり、これを契機に大戦は終結しましたが、第一次世界大戦の戦死者は戦闘員、民間人あわせて約3700万人と言われており、実はこのうちの三分の一はスペインかぜなどの病死です。
スペインかぜによる大量の死者が出たことが終戦を早めたという説があるのも頷けますね。
マッサンのヒロイン・エリーも被害に……
世界中で猛威をふるったスペインかぜですが、日本もまた例外ではありませんでした。
朝ドラ『マッサン』のヒロイン・エリーも、スペインかぜにかかるエピソードがありましたね。
日本の内務省統計では日本で約2300万人の患者と約38万人の死亡者が出たと報告されています。
野口シカ(野口英世の母)や劇作家の島村抱月、西郷寅太郎(西郷隆盛の息子で軍人)などの著名人も多数命を落としました。
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インフエンザの大流行は20世紀に4回ありました。
今世紀に入っても2009年に新型インフエンザが現れ世界的に流行。不幸中の幸いで、2009年の新型インフエンザの死亡率は高い国でも0.004%程度に留まりました。
これは季節性インフエンザ程度か、それ以下という弱毒性のものであり、現在は季節性インフエンザの1つに分類されています。
ちなみにスペインかぜの死亡率は2.5%とかなり高い数字です。
インフルエンザに対しては、マスクや手洗いなどでの予防が大切ですし、現在はスペインかぜの頃にはなかったインフエンザウイルスの増殖を抑える薬(タミフル、イナビル、リレンザなど)も実用化されています。
適切な受診をすることが大切ですね。
今年こそ、新型コロナウイルスの終息と共に、皆様が無事に冬を乗り越えられることを祈念するばかりです。
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文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
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以下の『戦国診察室』は馬渕まり著の書籍になります(→amazon)。
【参考】
スペインかぜをサルで再現させて、謎だったウイルスの病原性を解析/東京大学医科学研究所
国立感染症研究所(→link)
新型インフルエンザの症状/大幸薬品
スペインかぜ/wikipedia