食文化博物館模擬1977年香港/photo by Charlotte1125 wikipediaより引用

中国

中国料理の歴史がマジぱねぇ!下手すりゃスープ一杯で国滅びます

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食べ物をケチったばかりに国滅ぶ

美食の世界って、実は無茶苦茶厳しい。

フランスでも、あまりの厳しさに死人が出たケースもあります。

宴席の食事を準備していた料理人フランソワ・ヴァテール。
彼は魚介類の到着遅延に気を病み、自殺してしまうのです。

フランソワ・ヴァテール/wikipediaより引用

狂乱のパリピ・石崇も、宴席でホステスを殺害しまくりましたが、これだけではありません。

中国には、こんな言葉があります。
「民以食為天(民は食をもって天となす)」(『漢書』、孟子の言葉)
食を重んじればこそ、民は食べることこそ天下とする。つまり、食に手を抜いたらそりゃもうダメよ、ということです。

これが本当に大変で。
食べ物をケチったばかりにとんでもないことになった事例をご紹介しましょう。

『春秋左氏伝』より宋・華元の場合

華元は、敵を迎え撃つために慰労会を開催。
しかし、自分の御者である羊斟に、羊の羹(あつもの・スープ)を食べさせることをうっかり忘れてしまいました。

戦場で、イライラが頂点に達していた羊斟は、主人である華元にこう告げます。

「あなたは誰に羊を食べさせるか決めましたけど、今日の勝敗は俺が決めますんでッ!」

そう言うと、戦車を敵陣に突っ込ませたのです。
華元は戦死し、宋は大敗してしまったのでした。羊のスープ一杯のせいで……。

『戦国策』司馬子期の場合

中山国のある宴で、司馬子期だけはむっつりしていました。
彼だけ、羊の羹がなかったのです。

「もういい、俺は楚に行くからな!」

キレた司馬子期は、楚に亡命。
中山国を攻めるよう進言し、実行に移したのでした。

中山国の王は逃亡しながら、こうぼやきました。

「たった一杯の羊スープのせいで、滅亡かよ! どういうことなんだよ!!」

「食い物の恨みは恐ろしい」
という言葉がありますが、それどころではないと言いますか。

こういう古典を読んでいる中国の人々が、
「たかが食い物ごときで」
と思うわけがありません。気をつけましょう。

※映画『無極(プロミス)』のオチは「饅頭一個の恨みは恐ろしい!」でした……

映画『PROMISE 無極』は大山鳴動して饅頭一個!? でも憎めないトンデモ映画の力作なり

 

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薬膳の発想

おいしいものを食べること。
それは、士大夫のたしなみや礼節だけではなく、健康を保つためであるという発想もあります。

「妊婦は体を冷やしてはダメ! アイスクリームなんてダメだよ」
「こういう暑い日は、体を冷やすキュウリを食べよう」

そんな言葉を、中国語文化圏の方から聞いたことはありませんか?

食べるものの効果で体調が左右される。
こうした発想を、
『薬膳』
と言います。

食べるものから体ができあがっているからには、健康は食べるものからできあがるという発想です。
なんだかものすごく難しそう!って思いますか?

実は結構お気軽に実践できますよ。

・冬は体をあたためるショウガやニンニクを食べよう
・夏は体を冷やすキュウリやナスを食べよう

詳しく調べていくとなかなか大変ではありますが、基本的に旬の野菜と対応しています。

夏は、夏バテのためにも旬の野菜を食べればいいというありがたい発想。
むろん食べることだけで、健康を保てるわけではありません。
漢方医学が近現代において、西洋医学とちがうデタラメだとされたのは、癌を切除するような治療法がなかったからに過ぎません。

現在では、薬膳につながる漢方医学も見直されつつあります。

健康だって、食べるものから出来てくる。この発想そのものは、よいものだと思いませんか。
食べることこそ健康につながる!
そんな発想があればこそ、中国では食べることが重要視された部分もあるわけです。

 

世界に広がる!中国料理

そんな中国料理の世界は、人の移動とともに世界へと広がります。

例えば日本には、ラーメンがあります。

ラーメンの歴史は明治維新後にスタート~日本の歴史と歩み、世界の食となるまで

そこでこんな興味深い話が。

以前、中国から日本に来た方が、ラーメン店巡りをしておりました。
つい、こう聞いてみたのです。

「本場から見ると、日本人が作ったものだもんな〜、なんてなりませんかね?」
「どうしてそうなるんですか? その土地の人が、中国の料理をアレンジして広めて楽しんでいるなんて、いいことじゃないですか。私は日本のラーメンが大好きなんですよ!」

ちなみに、焼餃子も本場では【日式(日本式)餃子】と呼ばれます。
本場では、スープに入れるか、茹でる水餃子スタイルが主流であり、焼いて食べるのは、残り物を食べる使用人だけでした。

そういう「賄い食スタイル」を日本人が自国に持ち込み、本場に逆輸入されたのです。

そこには
【中国料理が広がるなんてウェルカムだ!】
という、ドドーン!とした心意気がある。

だから日本の皆さんも、やめましょうよ。カリフォルニアロールはじめ、海外のアレンジされた和食にケチをつけるようなことは。
アレンジされるなんて認められているからこそ。それが美味しく発展すればいいじゃないですか。

かくいう「ご当地中国料理」は世界各国にある現象で、例えば「チャプスイ」はアメリカンチャイニーズの代表格です。

アメリカン中国料理の代表格「チャプスイ」/photo by Gaurav wikipediaより引用

海外の作品で、四角い紙の箱から中国料理をモグモグしている場面を、見かけることもあるでしょう。

 

それだけ現地に適応しているということ。

世界各地に広まった中国料理こそ、
「おいしければいいね!」
と、受け入れる、そんな心の広さと言いますか。

食は天下だし宇宙だ!
そんなデカさがあるんです。

そもそも、中国料理のルーツをたどることすら、難しい部分はあります。

漢民族以外の支配により、食文化も当然変化を遂げました。
現在の中国料理の調理法や食材が定まった年代は、明清の頃とされています。この時代は、蒙古人による支配である元のあとにあたります。

彼らの食文化が、中国に根付いた部分があるのです。
異民族の食文化も取り入れ、進歩を遂げた中国料理。ならば、どの国でアレンジされようが、受け入れることは当然です。

 

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豆腐、うどん、饅頭だってルーツは向こう

これは、日本人にもあてはまる話です。

江戸時代に至るまで、日本の料理は常に中国の影響を受けていました。
明治時代のあとも、そうです。

饂飩、豆腐、饅頭……そんな典型的な和食だって、ルーツをたどれば海の向こうになるのです。

本当に日本人だけが見いだした料理となれば、それこそ縄文クッキーにまで遡らねばならないかもしれない。
そんなことでいいのか?
それでこそクールジャパンか?
と言われたら、そんなわけはないでしょう。

「民以食為天(民は食をもって天となす)」
この言葉を、もう一度噛みしめてみましょう。
天が一つで、中国大陸と日本がつながっているのであれば、中国料理と和食がつながっていてもいいんです。

そういう大らかさを持ちたいものではありませんか。

現実的に、中国料理は美味しい!
これはそうでしょう。あなたの町にも、中国料理店はあるでしょうし、台所にはインスタントラーメンの袋があるのではないでしょうか。

それでいい。
食文化とはそういうものであるはずです。

そんな歴史に思いを馳せつつ、おいしい中国料理を味わおうではありませんか。

很好吃!(ヘン ハオ チィ~!)
おいし〜い!!

文:小檜山青

【参考文献】




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『図説中国食の文化誌』王仁湘(→amazon link

 



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