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【中国料理(中華料理)の歴史】
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薬膳の発想
おいしいものを食べること。
それは、士大夫のたしなみや礼節だけではなく、健康を保つためであるという発想もあります。
「妊婦は体を冷やしてはダメ! アイスクリームなんてダメだよ」
「こういう暑い日は、体を冷やすキュウリを食べよう」
そんな言葉を、中国語文化圏の方から聞いたことはありませんか?
食べるものの効果で体調が左右される――こうした発想を『薬膳』と言います。
食べるものから体ができあがっているからには、健康は食べるものからできあがるという発想です。
なんだかものすごく難しそう!って思いますか?
実は結構お気軽に実践できますよ。
・冬は体をあたためるショウガやニンニクを食べよう
・夏は体を冷やすキュウリやナスを食べよう
詳しく調べていくとなかなか大変ではありますが、基本的に旬の野菜と対応しています。
夏は、夏バテのためにも旬の野菜を食べればいいというありがたい発想。
むろん食べることだけで、健康を保てるわけではありません。
漢方医学が近現代において、西洋医学とちがうデタラメだとされたのは、癌を切除するような治療法がなかったからに過ぎません。
現在では、薬膳につながる漢方医学も見直されつつあります。
健康だって、食べるものから出来てくる。この発想そのものは、よいものだと思いませんか。
食べることこそ健康につながる!
そんな発想があればこそ、中国では食べることが重要視された部分もあるわけです。
世界に広がる!中国料理
そんな中国料理の世界は、人の移動とともに世界へと広がります。
例えば日本には、ラーメンがあります。
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そこでこんな興味深い話が。
以前、中国から日本に来た方が、ラーメン店巡りをしておりました。
つい、こう聞いてみたのです。
「本場から見ると、日本人が作ったものだもんな〜、なんてなりませんかね?」
「どうしてそうなるんですか? その土地の人が、中国の料理をアレンジして広めて楽しんでいるなんて、いいことじゃないですか。私は日本のラーメンが大好きなんですよ!」
ちなみに焼餃子も、本場では【日式(日本式)餃子】と呼ばれます。
本場では、スープに入れるか、茹でる水餃子スタイルが主流であり、焼いて食べるのは、残り物を食べる使用人だけでした。
そういう「賄い食スタイル」を日本人が自国に持ち込み、本場に逆輸入されたのです。
そこには【中国料理が広がるなんてウェルカムだ!】という、ドドーン!とした心意気がある。
だから日本の皆さんも、やめましょうよ。
カリフォルニアロールはじめ、海外のアレンジされた和食にケチをつけるようなことは。
アレンジされるなんてホンモノだと認められているからこそ。美味しく発展すればいいじゃないですか。
かくいう「ご当地中国料理」は世界各国にある現象で、例えば「チャプスイ」はアメリカンチャイニーズの代表格です。
あるいは海外ドラマなどに目を向ければ、劇中で四角い紙の箱の中国料理をモグモグしている場面を、見かけることもあるでしょう。
それだけ現地に適応しているということです。
世界各地に広まった中国料理こそ「美味しければいいね!」と、受け入れる、そんな心の広さと言いますか。
食は天下だし宇宙だ――そんなデカさがあるんです。
そもそも、中国料理のルーツをたどることすら、難しい部分はあります。
漢民族以外の支配により、食文化も当然変化を遂げました。
現在の中国料理の調理法や食材が定まった年代は、明清の頃とされています。この時代は、蒙古人による支配である元のあとにあたります。
彼らの食文化が、中国に根付いた部分があるのです。
異民族の食文化も取り入れ、進歩を遂げた中国料理。ならば、どの国でアレンジされようが、受け入れることは当然です。
豆腐、うどん、饅頭だってルーツは向こう
これは、日本人にもあてはまる話です。
江戸時代に至るまで、日本の料理は常に中国の影響を受けていました。
明治時代のあとも、そうです。
饂飩、豆腐、饅頭……そんな典型的な和食だって、ルーツをたどれば海の向こうになるのです。
本当に日本人だけが見いだした料理となれば、それこそ縄文クッキーにまで遡らねばならないかもしれない。
そんなことでいいのか?
それでこそクールジャパンか?
と言われたら、そんなわけはないでしょう。
「民以食為天(民は食をもって天となす)」
この言葉を、もう一度噛みしめてみましょう。
天が一つで、中国大陸と日本がつながっているのであれば、中国料理と和食がつながっていてもいいんです。
そういう大らかさを持ちたいものではありませんか。
現実的に、中国料理は美味しい!
これはそうでしょう。あなたの町にも、中国料理店はあるでしょうし、台所にはインスタントラーメンの袋があるのではないでしょうか。
それでいい。食文化とはそういうものであるはずです。
そんな歴史に思いを馳せつつ、おいしい中国料理を味わおうではありませんか。
很好吃!(ヘン ハオ チィ~!)
おいし〜い!!
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
王仁湘『図説中国食の文化誌』(→amazon)