悲喜こもごもがハンパじゃない科挙の合格者発表/Wikipediaより引用

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アナタも「科挙」を体感してみません? 中国エリート官僚の受験地獄が凄まじい

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学校試~予備試験だけで四段階もある

科挙制度は時代によって異なります。

ここでは最も煩雑であった明清以降をもとに過程をたどりたいと思います。

明代以降、科挙の前に予備試験といえる「学校試」がありました。

「学校試」の別名は「童試」。子供向けの試験ということでした。

昔の中国での成人年齢は15才ですから、一応この試験は14才以下という建前です。

15才以上が受験不可というのではありません。15才以上は大人ですから難易度をあげますよ、というシステム。

当時は戸籍がありませんし、願書で年齢をサバ読むことは可能です。

「学校試」の受験生は、難易度を下げるために年齢を偽ることはよくありました。

17才が14才ですと言い張るのならばまだしも。

「お前のような14才がいるか!」レベルの大胆なサバ読みもありまして、40代だろうが、50代だろうが、真顔で「14才です!」を押し切る人もいたのです。

試験官も、とりあえず髭を剃っていれば「あ~、はいはい、随分と老けた14才なんですね~」と通したそうで。なんだかコントみたいな話ですね。

ちなみにこの学校試だけでも、

・県試
・府試
・院試
・歳試

と4回も受けなければなりません。想像するだけでキッツイ!

というか、ここまで受かればもうええやん、と思ってしまいますよね。

これは当時も同じでして、科挙の受験資格を得た学校試クリア段階で「生員」(美称は秀才)と呼ばれる資格が得られます。

実質的には「士大夫」という、エリートの仲間入りを果たせるのです。

生員で特に優秀と認められれば、地方官吏に任命されることもありました。

明代の士大夫/Wikipediaより引用

 

科挙試~ここからが本番だ

予備段階で4回受験、それを乗り越えるだけでもたいしたものです。

しかし、これでもまだ予備段階。本番はこれから。

第一段階が「科試」になります。

この合格者は「挙子」と呼ばれ、次の「挙試」に進めます。ここまで読めば想像はつくかと思いますが、挙子になった時点でスーパーエリートです。

ちなみに挙試は毎年やるわけではなく、郷試は三年に一度。キツイ。

ただし、皇帝即位等の慶事があると特別開催されることもありました。

受験生たちは「貢院」という試験会場に向かいます。

貢院の模型/Wikipediaより引用

貢院は三年に一度しか使わないため、黴臭く、場所によっては崩れていて、お世辞にも快適とは言えない場所でした。

受験生が多いため、入場だけで一日かかります。

試験時間は早朝から始まり、なんと丸2日間かかります。

席は狭く、冷暖房なんて贅沢なものはありません。そんな場所で長時間、人生を賭けて試験を受けるわけです。

徹夜で試験を受けるわけにもいきませんから、このカプセルホテルよりはるかに狭い席で、体を丸めて眠るわけです。

頭脳だけではなく、体力勝負でもあります。

科挙試験の席/photo by Dr. Meierhofer Wikipediaより引用

カンニングはできないように身体検査がありますが、実行に移す人はいたようで。

専用のグッズも現代に残されています。

科挙試験のカンニングに使われた下着/photo by Jack No1 Wikipediaより引用

 

貢院~心霊現象が起こる場所

黴臭く、薄汚い貢院。

いかにも何かが出そうですが、案の定、怪談話の舞台にもなります。

とある受験生が「許してくれ!」と絶叫しだし、のぞき込んだら首を吊っていたとか。

その答案用紙には女物の靴がポトリと置いてあったそうで……。

確かに薄暗そうな貢院/Wikipediaより引用

また別の受験生が頑張って試験を説いていると、尼僧の幽霊がぬぅ~っと現れまして。

腰を抜かしそうになると、幽霊は「あっ、場所、間違えちゃった。ごめんなさい」と隣に向かい、んで、隣から絶叫が響いてくる、という。

他にも貢院に向かう受験生の背後を女性の幽霊が歩いているとか。

貢院に向かう女の幽霊と通行人の目があったとか。

心霊現象、しかも女性がらみの話が尽きません。

こういう話は「科挙を受けるのに女に対していかがわしいことをした挙げ句、捨てたりしたら、祟られてえらいことになるぞ」という脅しの意味もあるのでしょう。

怪談とは反対に「日頃よいことを行い、老人を助けていたら、試験の時に恩返ししてもらった」系の話もあります。

科挙を受験するなら真面目にやっておけよ、という戒めでしょうね。

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