自分で遭うのは怖いけど、人から聞けば心も躍る【未知との遭遇】。
未開の地だとか、生態のよくわかっていない生き物だとか、あるいは大昔の遺跡だとか。
「新しく発見されました!」なんてニュースがあるとついつい見てしまいませんか?
その一方で、明らかにデタラメな目撃談や怪しいUFOの話もこれまた数多くあり……今回はその辺が交差していたニュースのお話です。
1933年11月13日、イギリス・スコットランドにあるネス湖で「謎の生き物が発見された」という新聞記事が出ました。
いわゆる”ネッシー”です。
最近のお若い方は全くご存じないかもしれませんので、基本情報から見て参りましょう。
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ネス湖は1万1,000年前まで氷付けだった!?
ネッシーとは、「海の恐竜」といわれる首長竜と同様の形をした海棲生物とされます。
厳密にいうと首長竜は恐竜ではないそうですが、まあ「デカい爬虫類」っていったらみんな恐竜だと思いますよね。
ネス湖で目撃されたという生物も水面から長く伸びた首でしたが、言い換えれば「全貌を見た人は誰もいない」ということになります。
はい、「怪しげなUMAネタやんけ」と思われた方も多いでしょうが、まぁ、仕方ない。その通りです。
ただし、イギリスから海を飛び越えて日本でも大きな社会現象になったことは興味深く、当時、ネッシーを写したとされる写真でもその影形は不鮮明で、謎っぷりに拍車をかけたのでした。
謎が謎だけでなく観光客を呼び、今でもネッシーを見ようとネス湖を訪れる観光客がいるほどだそうです。
その正体については「首長竜の生き残りというか末裔説」やら、「別の動物もしくは物陰の見間違え説」やらいろいろあります。
しかし生物学的に考えると、ネス湖そのものが狭すぎて、巨大生物が生息できる環境ではないとか。
食料やら個体数やら、諸々の条件が揃わないと繁殖できませんしね。
首長竜の生き残り説については
「そもそも恐竜のいた時代にネス湖は存在しておらず、しかもネス湖周辺は地域丸ごと1万1,000年程前まで氷付けだった」
とのことなので、ほぼ完全に否定されています。
また、1943年に「ネッシーの写真を撮った」としていた人の友人が亡くなる間際に「あれはトリックでした」と自白したため、やはりネッシーの存在は疑わしくなっています。
こちらのほうはあまり報道されなかったため、今日までネッシーはUMAの代表格として知られているわけです。
ネッシーの存在を否定できそうな事実は他にもありまして。
ひとつは、「ネッシーの噂が立つ前から、ネス湖周辺は観光地だった」ということ。
当然周辺を散策する人も多いわけで、なのに写真が出てくるまで誰もネッシーを見たことがなかった……というのは、不自然ですよね。
箝口令でも出ていれば別ですが、そういうものでもありませんし。
もうひとつは、歴史的なお話です。
ネス湖の湖畔にはアーカート城という城があり、ここはたびたびイングランドvsスコットランドの戦場になっていました。
もしそんなデカい生き物がいれば戦争どころではありませんし、記録も残ったことでしょう。
「戦争中にそんなもん見てるヒマなかった」というのもありえますが。
伝説上ではネッシーらしき巨大生物の話が古くから出てきています。
ネス湖から流れるネス川にはとてつもなくデカイ怪物がいて、川を渡ろうとする人をたびたび襲っていた。
そこでアイルランドからやってきたコルンバという司祭が十字架を掲げて『人を襲うのはやめよ』と命じたところ、怪物はその通りにした。
怪物のくせに聞き分け良すぎやろ……とツッコミたいところですが、これはどちらかというと「キリストの教えは怪物に通じるほど正しいんだぞ!」という意味合いかと。
さらにいえば、この“怪物”は当時別の宗教を信じていたスコットランドの人々を例えたものとも考えられます。
失礼な話ですが、伝説や神話ではあるあるですね。
神様扱いの池田湖イッシー
日本でも似たような騒ぎは何回か起きています。
有名なのはネッシーをもじった「イッシー」「クッシー」やツチノコでしょうか。
これまた最近のお若い方には「何それ」かと思いますので、順に見てみましょう。
イッシーは、鹿児島県指宿市の池田湖というところで目撃されたとされている生き物です。
「体長10~20m程度で黒いこぶを持っている」と言われていますが、元々オオウナギという大型の魚が多く生息する場所でもあり、さらに水がにごっていて水中調査がはかどらず、今もいるのかいないのかよくわかっていません。
ここのオオウナギは2m級のものが珍しくないらしいので、その見間違い説が根強いようです。
10mを超えるとなれば、全く別の生き物である可能性も高そうですけれども。
「オオウナギとは別の巨大な新種の生き物である」ということが確認されたら、学名の他に通称としてイッシーという名が使われるかもしれませんね。
ちなみに地元では池田湖の守り神と考えている人もいるそうで、空想歴史読本の著者である円道祥之氏が「捕まえたらいくらもらえますか?」と市役所に問い合わせたところ「神様なので捕まえてはいけません」というマジレスが返ってきたそうです。そりゃそうだ。
日本だと、神様とか人魚とか河童とかを捕まえるとロクなことにならないというのがセオリーですしね。
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