光る君へ感想あらすじレビュー

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第43回「輝きののちに」やはり成長していない

帝と中宮妍子との間に禎子内親王が生まれました。

藤原道長の思惑通りにはいきません。

ドラマでは詳細が省かれているものの、このときの道長は女児が生まれたことから冷淡な態度をとり、藤原実資に呆れられています。

産まれてくるのが男の子であろうが女の子であろうが、母体への負担も危険度も変わらない。

なんと冷たいことでしょう。

さらには内裏に火災が発生し、帝は中宮ともども琵琶殿に移ります。

皇太后・彰子はそれに押されるようにして高倉殿へ。

そこは弟である藤原頼通の屋敷であり、敦康親王も暮らしています。久々の皇太后と敦康親王の再会なのでした。

 


帝に譲位を迫る奸臣・道長

道長が、帝に対し「内裏の火災は天の怒りだ」と告げています。

隣の道綱が思わずギョッとしている。天意に背いた為政者が罰せられる【天譴論(てんけんろん)】を持ち出しているわけですね。

帝は苛立ち、もっと大きな声でいうように返します。

今度は真正面から譲位を迫る道長。道綱も同意するのか?と帝が憤りつつ尋ねると、オロオロして思わず「はいっ」と口走ってしまいます。

「無礼者!」

憤る帝もいささか単純かと……。内裏の失火は警備不足ではないか!何を弛んでいる!とネチネチと反撃しても良いのでは?

そもそも道長も恥知らずではあります。忠臣とは、内裏の失火を恥じ入り、帝の不便や心痛を思いやるものでしょう。まったく大した奸臣ぶりで……。

まひろがうっすらと笑みを浮かべながら、光る君亡き後の物語を書き続けています。

帝にすら、ことさら悪様にお耳に入れる人がおりましょう。世の人の噂など、まことにくだらなく、けしからぬものでございます。

そう書いているまひろの顔は、毒を含んだ微笑にも見えてきます。

彼女は吹っ切れているのでは? 道長は熱心な読者かどうか、どうにもあやしい。読まないのであれば、物語の中に毒を込めたい放題に展開することもできます。

 


帝の身に異変が起き、内裏の栄耀栄華も過去のこと

帝が道長に「声が小さい」と御簾越しに訴えます。

疲れたように書を見る帝。

「今日は暗いな、御簾をあげよ」

いざ御簾があがると、道長がギョッと驚きます。帝が紙を逆さまに手にしている姿が露わになるのです。

当然、中身など読めないのですから「左大臣のよきようにいたせ」と気弱に言うだけ。

道長はいつもの面々を集め、帝の目が悪いことを明かしました。

もう務めは果たせぬ――そう言い切ると、斉信が驚き、俊賢は譲位を迫るのかと確認してきます。

「そうだ」

あっさりと認める道長。心優しい行成が気の毒がると、公任は「情に流されるなと釘を刺します。政ができないならば仕方ない、と。

譲位を進める工作を買ってでる俊賢に対し、道長が一任。しかし行成だけは、呆然としています。

この翌日、行成は道長のもとへ「お願いがあって参りました」と頼み込みにきました。

昨夜会ったばかりだとして、素っ気ない態度の道長。行成の心痛にまったく気付いていないのでしょう。

行成は突如、太宰府赴任を希望してきました。二月以来、太宰大弐に空きが出たのだとかで、そこに任じて欲しいと訴えるのです。

「私の側を離れたいということか?」

そう聞き返す道長に対し、行成は説明します。現在の帝が即位して三年たち、敦康親王も幸せに暮らしている。かつてのように道長のために働くこともできないと付け加えます。

行成は生真面目な性格なので、先帝の忘れ形見といえる敦康親王に気遣い、道長側近としての責務も果たそうとしてきたのでしょう。

さらにここで、己の財を増やしたいとも付け加えます。本心というより、アリバイのようにも思えます。

道長が、行成の気持ちを理解し、考えておくと答えると、安堵したように去ってゆく行成。

能書家である行成ともなれば、その筆跡だけでも重要でしょう。こういうところに綻びが見えます。

帝の代替わりに伴い、文化への重要性も低下しているのでしょうか。こんな調子では、まひろの書く物語の相対的価値が下がるのも無理ないことに思えます。

敦康親王は久々に皇太后と話しています。

東宮になれず生きることに辛さを感じていたものの、頼通の勧めで妻を迎えて以来、共に生きていく者ができたと嬉しそうに微笑んでいます。

皇太后が、敦康親王を守れなかったことを詫びると、嬉しそうな顔をしています。

彼は皇太后の変化を感じています。かつては弱々しく守りたいと思っていたけれど、今は国母にふさわしい。

それはお褒めの言葉かと聞く皇太后に対し、

「もちろんです」

と返す敦康親王。

確かに皇太后は人としてどんどん磨かれてゆき、まばゆいほどの輝きを見せています。彼女は「光る女君」でしょう。

 


帝を引きずり下ろそうとする道長

帝が困惑しながら、左大臣に譲位を迫られたことを藤原実資に打ち明けます。

「放っておかれればよろしゅうございます」

「そうだが……毒でも盛られるやもしれぬ」

不安がる帝。毒は、道長の父・兼家が得意としておりました。道長はそんなことしないであろうが、不安ならば信頼できる蔵人頭をおけばよいと実資は助言します。

「そなたの息子、資平はどうだ?」

思わず目を見開いて驚いてしまう実資。帝が、そなたの息子ならば信頼できると伝えると、実資も嬉しそうに「ははっ」と頭を下げます。

しかし、実際はうまくいきません。

帝の人事案は道長に反対されます。亡き伊周の嫡男・藤原道雅か、亡き関白道兼の三男・藤原兼綱をすすめてきます。

強硬に資平を望む帝に対し、蔵人も務めたことのない資平は適任とも思えないと否定する道長。

「朕のいうことを聞けぬのか!」と怒りに震える帝に対し、道長は淡々と「考えを変えるように」と言うばかりです。お互いに自己主張ばかりで落とし所を探る雰囲気はありません。

「もうよい!」

怒って立ち上がり去ろうとするも、転んでしまう帝。

道長があわてて助け起こしながら囁きます。

「お上。お目も見えずお耳も聞こえねば、帝のお努めは果たせませぬ。ご譲位くださいませ。それが国家のためにございます」

なんという無礼と鈍感ぶりなのでしょう。

先帝を精神的に追い詰めたことへの反省はまるでない。自分の主張を押し通し、相手の気持ちを踏み躙ることになんのためらいもありません。

「譲位はせぬ! そんなに朕を信用できぬなら、そなたが朕の目と耳になれ! それならば文句はなかろう!」

道長を突き飛ばし、去っていく帝。

道長は目を伏せて恨みがましい顔をしておりますが、これは帝のいう通りでしょう。

家臣として支えることを放棄し、一足飛びに譲位を迫るとは、ふざけた態度としか言いようがない。

正論を言われて反省するどころか、「チッ! うっせーわぁ~」と言わんばかりの顔をするあたり、幼稚にも程があります。

これは行成あたりと比較するとわかりやすいのですが、彼は衝撃的なことがあるとその良心で受け止め、憂慮を眉に滲ませます。

しかし道長は、叱られた子どもじみた顔をするからたちが悪い。

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