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ついには祖母も見切りをつけて
他にも、自分の信仰するシリアの太陽神をローマ神話のボス・ユピテル(ギリシア神話のゼウス)よりも上に位置づけたり、そのための神殿を作ったり。
「やりたい放題」という形容が浮かばない状態です。
当然、軍も近衛隊も元老院も、果ては一般市民もヘリオガバルスに耐えかねていました。
さすがに帝位につけた祖母も見切りをつけ始めます。
母だけはヘリオガバルスを支持し続けたましたが、祖母はヘリオガバルスのいとこであるアレクサンデル・セウェルスを次の皇帝にしようと考えました。
そしてヘリオガバルスに、アレクサンデルを養子縁組した上で副帝とすることを認めさせます。こ
のばーちゃん用意周到すぎるんです。
少なくとも次の皇帝がまともになりそうなことで、近衛隊はアレクサンデルに接近しました。アレクサンデルは元からまじめな人だったので、人気はあったようです。
しかし、徐々にアレクサンデルの人気が高まっていくことに危機感を抱いたヘリオガバルスが、養子縁組を白紙にした上でアレクサンデルを幽閉し、「アレクサンデルは急死した」という偽の公式発表を行います。( ゚д゚)ポカーン
ヘリオガバルスとしてはこれで近衛隊を混乱させたかったようです。
最期は引き回しの上、テヴェレ川に捨てられる
ヘリオガバルスの狙いに対し、近衛隊たちの反応が真逆だったことは言うまでもありません。
ついに彼らはブチ切れ、反乱を起こすのです。
ビビったヘリオガバルスは、アレクサンデルの生存を伝えて解放したものの、時既に遅し。
近衛隊はアレクサンデルを歓迎し、同時にヘリオガバルスへの忠誠を拒みました。
ヘリオガバルスは母とともに捕まり、首を切り落とされた後、市中引き回しの上で切り刻まれ、テヴェレ川に捨てられたとか。
皇帝の取り巻きたちも中枢を追われ、ヘリオガバルスと祖母・母の治世はたった四年で終わりました。
元老院はヘリオガバルスの祖母・母のようなことを繰り返さないよう、女性が政治に関与することを明確に禁じ、ヘリオガバルスと揃って「ダムナティオ・メモリアエ」(記録の抹消)を受けたとか、受けなかったとか。
彼の知名度が低いのは、ネロやカラカラとは「残虐」の方向性が違うからなのでしょうね。
詳述すると年齢制限がかかってしまいます。
「数千年経っても扱いに困る君主」としては空前絶後の存在であることは間違いありません(もちろん褒めてません)。
長月 七紀・記
【参考】
ヘリオガバルス/wikipedia