『おんな城主 直虎』感想レビュー第7回「検地がやってきた」 直親の智謀は50台だよ、ヤァ!ヤァ!ヤァ!

 

こんばんは、武者震之助です。
ちょっとくせのある本作のサブタイトルには、元ネタがあるそうです。
【直虎】実はゆるくないサブタイトル 映画や小説をモチーフに | ORICON NEWS
そんなわけで今週は検地がやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!というわけですが。

井伊家の面々は当然楽しくはありません。ただし、番宣の「今川の魔の手が迫る!」というのは言い過ぎではないかと。今川側としては脱税をしていないか調べに来るわけで、いわば税務監査です。確かにうっとうしく憎たらしいものではありますが、魔の手は言い過ぎではないでしょうか。
そんな今週の始まりです。

 

直親の帰参と引き換えに検地(税金徴収)のやり直し!

自ら選んだ道とはいえ、井伊直親と結ばれる道を断った次郎(井伊直虎)は複雑な気分です。
直親とその新妻・しのが笛と鼓を合奏する音を聞き、かつて直親を待ちながら鼓をうった幼き日を思い出す次郎。しかし自分自身の存在が、しのにとっても棘になることを次郎は気づいていないのでした。

目付である小野政次新野左馬助は、直親の帰参と詳細の家督を相続することを、駿府の今川義元へと報告しに行きます。
義元は直親が還俗した次郎と結婚するつもりか確認し、そうではなく奥山の女(むすめ)と結婚したと聞き安心したようです。


今川義元は直親帰参を咎めはしなかったものの、検地をし直したいと言い出します。
井伊谷に戻った政次と左馬助がそのことを報告すると、井伊直平がまた文句。今川が甘いなら次郎の還俗も持ち出せばよかったのに、とだだをこねているとしかいいようのないクレームの付け方です。さらに検地に激怒し、自らが治めている川名に立ち寄ったら血の雨が降るぞ、と脅し文句を吐いてその場を去ってゆきます。
税務監査が嫌だと言い張る人は、後ろ暗いところがあるものです。実は直平の治めている川名には、隠し里があるため、検地に抵抗を示しているのでした。

直親は隠し里を見に行くことにします。
このとき直親は隠し里の存在に驚いていますが、そんな場所があったからこそ、直平は先週次郎を死んだことにして、そこに隠す策を出したのでしょう。

直親は直平の案内で、隠し里を見に行くことにします。馬も入れないその場所は、なかなか見事な棚田が広がっていました。
この場所は井伊家にとっては緊急避難先であり、直平はただ単に賦役を課させるのが嫌だったわけではないのでした。だからといって今川は看過できません。脱税といざという時の避難先なんて、絶対に探りたいところでしょう。

 

脱税のための接待材料を探させるが……

井伊家の皆は「指出」(土地の広さや収穫高を記した書類)の作成の大忙しです。
そんな中、直親は隠し里を隠し通すために策をめぐらせ、対処することを直盛に申し出ます。直親にとってはこのまま隠し里が判明してしまっては、自分の帰参のせいになるという負い目があります。張り切って出かけてゆく直親の背を、新妻のしのは複雑な思いで見送るのでした。

しのが複雑な顔をしているもの当然です。
直親はよりによって次郎を頼っていたのです。直親は、次郎を使って、瀬名から検地役を丸めこむための情報を得ようとしています。身も蓋もない言い方をしますと、脱税のための接待材料が欲しいわけです。そんな策でよいのかとちょっと心配になってきました。

しのは夫が、夫が深く愛した初恋の人に会っていたことに、不安を抱いています。
これがもし瀬名なら怒りのあまり平手打ちくらいするかもしれませんし、昨年の春ならば襖の穴を開けているところですが、奥ゆかしいしのは違います。本音を言わず、健気な態度を見せるだけです。

直親の鈍感さが何とも歯がゆいですね。
まさか昨年の信繁が見せ付けた「女性への鈍感対応」を上回る男が、こんなに早々と出てくるとは思いませんでしたよ。

 

天真爛漫な直親は心の機微に気づかない!?

直親は川名に通い、隠蔽工作にいそしみます。小野政次は検地においてもフル回転で働いています。
露骨に誤魔化そうとする中野直由相手に「誤魔化してバレたら余計まずいことになりますよ」と正論を述べても、相手は改心するどころか「今川に尻尾を振りやがって!」と悪態をつく始末。目付というのは辛いものですね、と弟の玄蕃がフォローを入れますが、見ているこちらまで胃が痛くなりそうな場面です。

直親は、瀬名(築山殿)からの書状が届いたのかと、また次郎に会いに行きます。次郎はもし政次が隠し里のことを今川に報告したら全部無に帰すのではないかという懸念を、直親に告げます。直親は、政次は俺と同じ気持ちだから大丈夫、と言います。さらに「甘いかな?」と次郎に聞きます。
はい、大甘でしょう。
この甘さが将来的に彼の命取りになる気がします。甘い男にシビアな女、本作の特徴的な対比です。

ここでの直親の尋ね方も何か人を不快にさせるものを持っています。こういう相手に否定させないで尋ねるやり方が、人の気持ちを試し、弄んでいるように思えるのです。

しかし直親は性格的にわざとそんなことはしていないと思います。全ては天然です。
気づかぬうちに人を不快にしてしまう人物といえば、昨年の石田三成もそうです。三成と直親の差は、人当たりのよさです。三成は見るからに傲慢で無愛想ですが、直親は一見さわやかで人当たりがよいのです。

こういう相手への怒りというのは、相手が敏感ではないと気づかないものです。
そしてここで考えたいのが、直親へ最も不満を募らせる存在である政次です。直親とは対称的に、中身は誠実でも外から見れば陰性、しかも今川に近い彼が抱く直親への不満を、誰がまともに取り合うでしょうか。鶴亀コンビに亀裂が入る日はもうすぐそこまで迫っているのではないでしょうか。

 

直親の策がガバガバ過ぎて、政次の心をガリガリ削る

直親は政次の元に向かうと、川名の指出を提出します。その内容は、なんと隠し里は白紙提出するというものでした。
そしてさらに、はい、ストレートに「俺が信じるからお前も俺を信じろ」作戦に出ました。

直親得意の、相手の良心に訴えかけて退路を防いでおきながら、相手に自分が選ばせたい答えへと誘導する作戦です。政次が今川に報告したらお前の良心は痛むだろうけど、どうするんだと試しているわけです。これは見ていて辛くなってきました。検地なんてたいしたことないかと思っていましたが直親の策がガバガバ過ぎて、しかも政次の精神をガリガリと音がしそうなほど大胆に削っていて、ものすごくスリリングです。
これが本作の持ち味か!

直親が帰ったあと、呆然とする政次。気遣う玄蕃に対して、怒りをぶちまけます。
政次の気持ちはよくわかります。完全に直親は、政次を試していますし、幼なじみという立場に乗っかって無茶ぶりをさせているわけです。これは政次の魂がどんどんと濁ってゆくパターンです。

かくして政次は今川家への指出をまとめて、直親に提出します。
直親は隠し里の分は政次が破棄したと知って満足げです。彼には政次の心がきしむ音など聞こえないのです。

井伊家の井戸に、政次が祈りにやって来て、次郎とでくわします。俺の思うようことが運ぶように、願う政次の姿に、次郎は胸騒ぎを覚えるのでした。
続きは次ページへ

 

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コメント

    • 匿名
    • 2017年 3月 03日

    政次が『平清盛』の待賢門院位天然だったら気苦労が無かったのに…!!と、思ってしまいました。
    しかし政次がそんなキャラクターだったら、井伊家は滅亡まっしぐらですね。
    冷静に考えれば…。

    • 匿名
    • 2017年 2月 26日

    NHK大河ドラマの楽しみ方の一つに「本編では表現しきれなかった部分を自分で別途補ってイメージを膨らませる」というものがあります。本編の話の筋がしっかりできていて、随所に描ききれなかった部分への「とっかかり」、ヒントのようなものがあると、そこから調べていくきっかけになります。
    これが、ドラマ本編がグダグダだと、自分の中のイメージのほうが本編を追い越してしまい、「こんな基本的なこともできてない…」とイライラ感になってしまいます。「別途得た知識で補う」と言っても似て非なるもの。
    本作は今までのところ合格レベルと思います。本編中で直接描ききれていない部分も、どういう前提だったのか等追うことができますし、新たな知識も得られて楽しめています。

    • 匿名
    • 2017年 2月 26日

    今話の新作イラストではまた各登場人物が可愛らしく描かれています。微笑ましいと思いました。
    本編では柴咲コウさん演じる次郎が実に豊かな表情を見せています。これがどんなイラストになってくるか、楽しみです。

    • えびすこ
    • 2017年 2月 26日

    考えてみると三浦春馬くんは下記の3人を演じる10歳前後年長の俳優陣を相手に堂々たる好演であると思います。
    井伊直虎役の柴咲コウさんは9歳年長。
    小野但馬守政次役の高橋一生さんは10歳年長。
    小野玄蕃役の井上芳雄さんは11歳年長。
    普通、10歳前後年長の共演者を「向こうに回す(演じるうえで)」と萎縮するものですが春馬くんにはその点がない。
    直親の妻・しの役の貫地谷しほりさんは「(春馬くんは)まだ26歳とは思えない貫録・風格を持つ」との印象。

    • 匿名
    • 2017年 2月 24日

    うーん、ポテンシャルがあっても伝わらなければ意味がないからなあ。
    裏に何かあるのを表現できるほどの演技力もキム兄にはないし。ちょっとミスキャストでしたね。

    • 匿名
    • 2017年 2月 23日

    @舟方隊手廻組
    はなはだ蛇足ながら

     ×「岩沼」
     ○「岩松」

    ですね。

    • 舟方隊手廻組
    • 2017年 2月 23日

    @舟方隊手廻組
    亀之丞探索の役人は当然別人でしたけどね。念のため。

    • 舟方隊手廻組
    • 2017年 2月 23日

    @馬渕まり
    横から失礼します。
    馬渕先生ありがとうございます。
    驚きました。実はそんな背景があったとは。
    今川からの役人というと、以前亀之丞探索にも出張ってこられましたが、この時は名も無き単なる「今川の役人」だったのに対して、今回はあえて「岩沼」という名で登場。政次のとっさの弁明も、そういった背景があったからこそ効いた…公式サイトでもぜひ解説してほしいですね。でないとあまりにももったいない!!
    この作品の底知れぬポテンシャルを改めて思い知りました。

    • 馬渕まり
    • 2017年 2月 22日

    @匿名

    ドラマでは触れられておりませんが、井伊家は南朝方につき戦った過去があります。そしてキム兄も!?気になる続きはこちらでどうぞ。

    http://iiakazonae.com/275

    • 匿名
    • 2017年 2月 22日

    直親と政次の関係の変化について。

    心の機微に気づかない直親とか
    心がガリガリ君の政次とか..

    そんな現代チックなことではなくて、政次父の最期の言葉に導かれるように、今川と井伊と直親との絆の間で悩み苦しみ
    戦国乱世のうねりに飲み込まれた挙げ句
    直親を殺しさらに井伊を乗っ取ろうとする悪鬼に変貌する政次を見たいのですが。。。

    天真爛漫直親が政次の翳りを推すようなのは嫌だなぁ

    • 匿名
    • 2017年 2月 22日

    検地の話しはちょっと子供騙し過ぎませんか?
    昔々の南朝の皇子の土地なんて言い訳通用せず、なぜ隠していたのか、となりますよね?
    検地に来たキム兄が元々天皇家を崇拝していたとか、実は自分も南朝の皇子を庇護した一族の出身で〜という展開なら分かるんですが。
    なぜお叱りもなくそのままなんとなく乗り切ってるのか、そこは察しろというのなら雑だなと思いました。

    • 匿名
    • 2017年 2月 21日

    直親が女に鈍感とか
    どーでもいいと思われ

    高橋一生はなんともいい味出してる

    • 渭伊さん。
    • 2017年 2月 21日

    隠し里が見つかった時の言い訳で『南朝の皇子がお住まいになったところで、井伊谷であって井伊谷にあらず』とは宗良親王が住んでいたところなので、天皇の領地であるという言い訳をしたという解釈でいいのかな?(違っていたら訂正お願いします)
    そういう話をを政次が知っている、とっさに言えるということ=頭が切れるという ことも言わんとしているのではないかとも…。
    このような話の中で龍潭寺の小坊主さんの存在に癒されます。話し方と、声がかわいいですね。

    • 浜松から
    • 2017年 2月 21日

    竜宮小僧探しのとき鶴がとわに「おまえは姫だから他人(亀)の気持ちを察しない」と言ったけれど,次郎は,寺で修行していても,井伊谷にいるかぎり,周囲に気を使うのではなく周囲から気を使われる立場であり,それに無自覚なことにもかわりないという設定でしょう.

    とはいえ,次回の予告を見ると,次郎がしのに気を使ったり,しのに気を使わない直親を責めたりするようだから,次郎もいつまでもそうではないのでしょう.
    さらに,直親も奥山を殺した政次を本気で守る回も予定されているようだから,直親と次郎の気のきかない言動で政次をどんどん追いこんでいって政次が裏切るというのではなく,3人の成長も信頼再構築もあったのに,それでも直親の不用心から政次が裏切るという話のようです.
    このあたり,よく考えられたドラマになっているように思います.

    • 匿名
    • 2017年 2月 21日

    設定上はヒーローである直親とヴィランであるはずの政次をこうした描写にしたことから察するに、家康や直政も美しく・正しく描くことはなさそうですね。
    直政は美しいが人斬り兵部の狂気を感じさせるキャラクターに、家康はコミカルだけれど黒い所はしっかり黒い、発展途上の戦国武将らしい人物像になるのでしょうか?
    築山殿事件が、今から怖いです。

    • TMK
    • 2017年 2月 20日

    いやぁ面白い、ただ当時の駿河の背景を知らない人にはたしかに判りずらいかもしれませんね、
    (まぁ普通、桶狭間以外に今川の事はあんまり知らないとは思いますがw)
    今回検地が出てきましたが、あれは仮名目録追加を絡めてますね、
    つまり井伊だからというわけではなく、駿河全土で行われた事だと思います。

    最初こそ今回の女大河に不安視してましたがそろそろ安心してきました。
    たしかJINもそうでしたっけ?なかなか自力のある脚本家さんだと思います、
    なので、この面白さが一定以下に下がる事はたぶん無いんじゃないかな?

    …NHKが視聴率がどうのでとち狂わなければの話ですがw

    • 匿名
    • 2017年 2月 20日

    歴史の流れが分からないですね、今のところ。
    もうちょい周囲の勢力のこととか出てきたら良いのにと思います。

    • 匿名
    • 2017年 2月 20日

    とても面白いです。
    このドラマには、せっかちで飽きっぽい現代の視聴者に迎合することなく、このまま突っ走って欲しい。

    • うーーん
    • 2017年 2月 20日

    展開が退屈です。
    大河ドラマ=1年、という固定観念は無理でしょう。

    • えびすこ
    • 2017年 2月 20日

    1月は「漫画的」でしたが2月以降は劇画の様になりつつありますね。
    1月に登場した子役3人はまたどこかに出てくれないかな?

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