中国の土産物に美人が四人並んでいるのを見たことはありませんか?
最近では、ドラマや映画の題材、ゲームキャラクターにもなっている彼女たち。
古代中国を代表する伝説的な【中国四大美人】として知られ、そのメンツは以下4人となります。
『あれ? 西太后は入ってないの?』と一瞬思われた方。
彼女は【中国三大悪女】の一人で、他には「妲己(だっき)・武則天(ぶそくてん)・呂雉(りょち)」が挙げられますね(4名のうち誰か3名)。
今回は、古くから日本でも親しまれ、文学作品や芸術作品にも登場してきた彼女らについて、マトメてみたいと思います。
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魚も沈む「沈魚美人」西施
時代:春秋時代BC5世紀(BC473没説あり)
定番ポーズ:「西施浣紗」洗濯の場面。彼女が洗濯していると、魚もみとれて沈んでしまうと言われました。洗濯に使った石は史跡として残されています
特徴:病弱なのか眉をひそめる
欠点:足の形がイマイチ
最近演じた女優:安以軒(アン・イーシュアン)

西施/www.iaweg.comより引用
本名は施夷光と伝わります。
苧蘿村という村出身。貧しい家の娘で同じ村の東にもうひとり施という娘がいたため、「西の施さん」という意味の西施と呼ばれました。
粗末な格好で洗濯をしていても超美人で、村の男たちは争ってその美貌を見に来たとか。
持病があったのか、彼女は胸を押さえて眉をしかめることがよくありました。
何気ないポーズも、美人の西施がすると悩殺ものです。東施はじめ、周囲の村娘もその仕草を真似しましたが、まったく美しくは見えませんでした。
「顰(ひそ)みにならう」の由来です。
その美貌に目を付けた越王勾践は、彼女を他の美女たちとライバルの呉王夫差に送り込みました。
西施の美貌に骨抜きにされた夫差は国を傾けてしまい、勾践の計略は見事成功。
彼女のその後には二つの説があります。
呉の滅亡後、人々に災いをもたらす妖女として長江で溺死させられたバッドエンド説。
彼女をプロデュースした大商人・范蠡と恋仲になり、彼の手引きにより呉を抜けだし幸せな余生を送ったハッピーエンド説。
どちらを信じるかは自由です。
現代台湾で、セクシーな服装でビンロウやタバコを売る女性を「ビンロウ西施」と呼ぶのも、彼女が由来です。
日本では美人を「ナントカ小町」と呼びますが、中国では「ナントカ西施」と呼ぶのだそうです。
飛ぶ雁も落ちる「落雁美人」王昭君
時代:前漢時代、BC51-BC15
定番ポーズ:「昭君出塞」琵琶を持ち、毛皮つきの服やフードつきの服を着ている、馬や駱駝に乗っています。哀しい琵琶の音色に、雁も聞き惚れて落ちてしまったとか
特徴:琵琶が得意
欠点:なで肩
最近演じた女優:李彩華(レイン・リー)

王昭君/www.iaweg.comより引用
匈奴の呼韓邪単于に嫁がされた漢人女性。
夫の死後、匈奴の風習に従い義理の息子にあたる復株累若鞮単于の妻にされました。
このことは漢にとっては屈辱的であり、そんな彼女の身の上への共感が、悲劇的美女の座に押し上げます。
匈奴に嫁ぐ女性を選ぶ際、元帝は肖像画を見て決めることにしました。
絵師は宮女たちに多額の賄賂を要求したものの、正直な王昭君は拒否したため、醜く描かれてしまいました。
そのため元帝は「この醜い女なら、まあいっか」と彼女を選抜。ところが実物は美女であったため、怒って絵師を処刑してしまったとか。この逸話は有名ですが、どうやら後世の創作のようです。
描かれた姿では必ず琵琶を弾いています。
これは彼女が祖国を去る時琵琶を奏でていたため、とされますが、どうやら別人の逸話と混同されたようだという説もあります。
今に伝わる王昭君像は、一人の女性というよりは、異民族に降嫁させられた女性たちの集合体と言えるのかもしれませんね。
では、三国志でお馴染みの美女・貂蝉は次ページへ。
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