「あなたは神を信じますか?」と聞かれたら、おそらく半数ぐらいの日本人が「あなた、頭、大丈夫ですか?」と聞き返したくなるでしょう。
しかし、世界ではおそらく「はい」か「いいえ」のどちらかを返す人のほうが多いハズ。
本日は「はい」と答えるであろう、とある宗教の敬虔な信者が体験した不思議な出来事です。
1917年5月13日、「ファティマの聖母」と呼ばれる一連の奇跡が始まりました。
有名な話ですし、たまにオカルト系の番組や雑誌で取り上げられているので、ご存じの方も多いでしょうか。
さっそくどんな出来事だったのか見ていきましょう。
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3人の少年少女たちの前に聖母現る
「聖母」とはもちろん聖母マリアのこと。
「ファティマ」はポルトガルの街の名前です。首都・リスボンの北東、車で1時間半くらいの距離にあります。
このとき聖母が姿を見せたのは三人の少年少女でした。
ルシアとジャシンタという二人の女の子と、フランシスコという名の男の子。
TOP画像の3人(左からルシア、フランシスコ、ジャシンタ)になりますね。
以下、聖母の発言とされるものを抜粋していきますと……。
まず5月13日に、聖母は「毎月13日の同じ時間にここへ来てください。このことは誰にも言わないように」と言いました。
しかし、ジャシンタが我慢できず家族に話してしまい、村中の笑いものになったそうです。そりゃあな。
三人は約束通り6月13日にまた同じ場所を訪れました。野次馬も数十人一緒に行きましたが、聖母は再び現れています。
ちなみにその後も野次馬は増え続けるのですが、特に気にしなかったようです。最初からバチカンに来ればいいんじゃ……とは言わない。
このときは「ジャシンタとフランシスコは間もなく天へ連れて行くけれど、ルシアにはまだ役割があります。でも私は決してあなたを見捨てません」という、子供にとっては残酷な発言をしました。
実際に、ジャシンタとフランシスコはそれぞれ10歳になる前に亡くなり、ルシアだけが97歳まで生きることになります。
「私の言うとおりにするのなら、ロシアは回心するでしょう」
7月13日には5000人もの人が、「第一~第三の予言」とされるものを聞いたとされています。
この日がファティマの聖母出現のハイライトともいえるでしょう。
三人の少年少女に地獄の光景を見せ、「今行われている戦争はもうすぐ終わるけれど、もし人々が神に背き続けるなら、また大きな戦争が起こるでしょう」といいました。
さらに、「もし人々が私の言うとおりにするのなら、ロシアは回心し、戦争は起きないでしょう。しかし、そうでない場合は夜に不思議な光が起き、神に寄ってさまざまな罰が下るでしょう」とも言いました。
これは「第一次世界大戦の終結と第二次世界大戦勃発の予言」とされています。
なぜ戦争の予言はできるのに、回避するための具体的な方法とか安全地帯の予言はしてくれないんでしょうね。
具体的な対策を教えてくれないのに、ただ「悔い改めよ」だけ言われて信じる人がどれほどいるのでしょうか。
予言をしに来るくらいなら、人間がそういう考えに至るであろうことも予測できそうなものですが。
ロシアに関する点については、ロシア革命、もしくは最後の皇帝ニコライ2世一家惨殺の予言とも取れます。実際、この年の11月にロシア革命が起きており、さらに翌年7月に皇帝一家が殺害されているためです。
ちなみに、ニコライ2世一家はヨーロッパの王族がかくまえば助かる可能性はありました。
特にデンマーク王家はニコライ2世の母を戦艦で救出していますので、さらに手を広げることも不可能ではなかったでしょう。
また、ニコライ2世はヴィクトリア女王のひ孫であるため、イギリス王家もやろうと思えば救出はできたと思われます。方法はともかくとして。
そもそも、ロシアを回心させたいならロシアに行かないと効果が見込めないと思うのですが……行ったけどダメだったんですかね。
少年少女は当局に拘束され、約束の場所へは行けず……
次は8月13日ですが、この予言のことを聞いた当局が朝から三人を拘束していたため、約束の場所に行けませんでした。
そのため8月19日に予言がくだされています。
「もしあなたたちが私の言うとおりの日に来ていたら、もっと素晴らしい奇跡が起きていたでしょう。聖ヨセフとイエス、ロザリオの聖母、苦しみの聖母を見ることになるでしょう」(超略)
という、今までにもましてよくわからん内容でした。
神様もたった数日くらい待ってくれればいいのに、ケチですねぇ。宇宙を作ったのだとすれば、少なくとも46億年は経っているのですから、数日なんてほんの一瞬という感覚だと思うのですけれども。
9月13日のことはUFO出現のようなことしか伝わっていないので、飛ばして10月13日、最後の出現について話を進めましょう。
このとき初めて聖母は「ロザリオの聖母」であると名乗り、ファティマに聖堂を建てるよう頼みました。
群衆が見ているとはいえ、年齢一ケタの子供に何という無茶振りでしょうか。
あとは「悔い改めよ」ということを繰り返したのですが……全知全能であるはずの神がなぜ背かれることを防げないんですかね……(´・ω・`)
さて、当時の超常現象についてはいいとして、たぶんこの奇跡の話で一番有名な「第三の予言」に移りましょう。
教皇が卒倒するほどショッキングな予言とは!?
「第三の予言」は7月13日に他の予言と一緒に下されたといわれています。
聖母自身が「1960年までは公開してはならない」と言ったため、当初から秘密になっていました。
しかし、それを過ぎても教皇庁が公開せず、「ルシアから直接聞いたとき、教皇が卒倒した」という尾ひれ(?)がついたことで、様々な憶測を呼んだようです。
発表されたのは2000年になってから。内容は以下の事件の予言でした。
「1981年のヨハネ・パウロ2世教皇暗殺未遂事件」
確かに教皇庁にとってはショッキングな出来事ですけれども、他の予言が戦争に関するものなのに、これだけスケールが違い過ぎます。
よくこんな誰も信じなさそうな発表をしたものです。
ルシアも亡くなるまで、「それはほんの一部だ」と言っていたとか。まあ、「発表しない」=「嘘をついている」ではありませんからね……。大人って汚い。知ってる。
なぜ聖母と確信できたのだろう?
その筋では「宇宙人によって地球が侵略される」という内容だった、なんて話もあるようです。
これもちょっと信じがたいというか、それならむしろ神様が撃退してくれよという話ですよね。
「聖母の出現」といわれる出来事はファティマ以前にも以後にも起きているのに、同じ事象についての予言がないっぽいのも気になるところです。
となると、1960~2000年までに起きた事柄のどれかということになり、これこそ教皇が卒倒するほどのものがあるかというと……うーん。
そもそもほとんどの人が見たことのないはずの人を、なぜ即座に「聖母」と確信することができるんでしょうね。イコンなどに描かれているマリアのイメージそのままで出てくるのでしょうか。
大体の場合、聖母(仮)自身は二つ名や曖昧な表現で名乗るようなので、それを信じたということですかね。
まあ、「息子が偉大になったから」という理由でカーチャンまで崇めるのって、日本人からするとその時点で「ん?」という感はあります。
わかりやすく置き換えるとすれば、「ノーベル平和賞授賞者のカーチャンが神社に祀られて世界中に信仰されている」みたいな感じでしょうか。
とはいえ、こんなにもばらばらな時代で多くの人が同じものを見ているというのが正しいのなら、本当に聖母はたびたび現れて、予言や忠告をしているのかもしれません。
形而上学が発展すればいずれ神やその周辺の存在も見えてくるでしょうから、その頃には謎が解けるでしょうか。
長月 七紀・記
【参考】
ファティマの聖母/wikipedia
聖母の出現/wikipedia
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