戦国自衛隊

戦国自衛隊アマゾンプライムビデオ・DVD/amazonより引用

歴史ドラマ映画レビュー

信玄の恐ろしい戦いを堪能したいなら映画『戦国自衛隊』だ!その迫力いまだ衰えず

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長尾景虎がヘリに乗っても何だか説得力がある

そして戦国時代人のヒャッハー上等、ハードコアな倫理観が圧倒的に強い。

機関銃ぶっぱなされても次から次へと襲ってくる。

相手が装甲車だろうがヘリコプターだろうが、恐れず突っ込んでくる。この覚悟が凄い。

「人に向けて初めて銃を撃ってしまいました!」なんてはしゃいでいる現代人じゃあ、そりゃ勝てないわなあ、と痛感させられます。

自衛官が、武士をバタバタとなぎ倒すシーンが見られるのかと思ったら、逆にプレデターに狩られるような展開を見せたりするわけです。

この精神性の差を端的に体現するのが、あどけない若武者(なんと薬師丸ひろ子!)でしょう。

あまりの可愛らしい容姿に、敵対した自衛官が思わず銃をおろしてしまうと、アッサリ槍で討ち取られてしまいました。

ここでやられた現代人は、最期に一言。

「戦国……時代……」

そう、これぞまさに当時の価値観。

彼らは基本的にヒャッハーなんだよ、という世界観の構築がキッチリ描かれているからこそ、難易度が高く面白いのです。

現代人ごときが、戦国武士相手に勝てると思っているのか、という問いかけは正しいと思います。

これはトンデモ歴史映画すべてに共通して言えることですが、大事なのはきちんと史実を踏まえること。その上で独特の世界観を構築せねばなりません。

「どうせトンデモなんだから適当でいいや」

そう甘っちょろく見たトンデモ歴史映画は、基礎工事を手抜きしているようなもので絶対にコケますからね。

トンデモ歴史映画って、実は歴史に対する姿勢が正統なものより大切なんですね。

基礎が出来た上で応用しているのが、トンデモ歴史映画なんです。

本作は基礎工事がバッチリできているからこそ、派手な跳躍が説得力を持って成立しているのです。

長尾景虎が笑顔でヘリコプターに飛び移っても本作が重厚なのは、まさに世界観がしっかりしているからです。

そして本作最大の見せ場が、やはり川中島の戦いでしょう!

 


川中島に戦車&ヘリコプターをぶち込むセンス!!

本作最大の見せ場は、武田vs上杉でお馴染み「川中島の戦い」に自衛隊を加えた合戦です。

ワーワー!という声に重なる機関銃の乱射音と、法螺貝の音を聞くだけでも、テンションがあがってしまいます。

人馬の入り乱れる合戦シーンは、最近の映像作品ではあまり見られないド迫力!

このテーマなら、見たいのはやっぱりこれですよね。

爆発に次ぐ爆発がある川中島は本作だけ!

ここで素晴らしいのが、現代兵器を相手にしても、怯むことなく冷静に対応策を立てていた武田側です。

風圧で飛ばされそうになりながらもヘリコプターに乗り込み、操縦士を討ち取る根性。

遮蔽物を利用した鉄砲隊の一斉射撃。

馬と忍者が一体となった奇襲攻撃。

中でも戦功一番は、ヘリコプターにしがみついて潜入し、乗務員を殺害して墜落させた武田勝頼(真田広之)でしょう。

映像化作品の中で、個人的戦闘力ナンバーワンの勝頼ではないでしょうか。

というか、彼が勝頼だったってことを知らずに見ていた方もおられるかもしれません。さほどに身体能力が高いのです(以下のリンクは武田勝頼の生涯をまとめた記事です)。

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しかし、戦国時代に適応した伊庭(千葉真一)もまた、凄まじきの一言でして。

彼は最終的に、銃を捨てて騎射で敵を倒し、武田信玄(田中浩)の本陣に乗り込むという荒技を見せ付けます。

「お前はその技をどこで身につけたんだ!」と突っ込みたくはありますが、千葉真一さんなので納得させられます。

戦国時代でも生き抜ける現代人はせいぜい千葉さんくらいだと、私たちは思い知るべきでしょう。あっ、本郷猛さんもかな。

かくして起きた、信玄と謙信の一騎打ちならぬ、信玄と自衛官の一騎打ち。

伊庭は最終的にピストルで信玄を射殺してしまいます。

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その次の瞬間、身体能力が異常に高い武田勝頼が再登場!

馬上から槍を投げ、そのまま馬からジャンプしながら斬りつけるという、スーパーアクションを見せ付けます。

この勝頼も討ち取った伊庭は、信玄の生首を抱えて勝ちどきを。

何がすごいって、最後は伊庭の現代人離れしたスーパーアクションと精神が勝敗を決したところですね。

戦を制したのは現代兵器じゃないのです。

映画のラストに近づくにつれ、ヘリも戦車もない伊庭は価値がないと断じられてしまいますが、ここまで強かったら十分に猛将として通じるでしょう。

そしてこの川中島は、転換点なのです。

ここから「戦国自衛隊」ではなく、むしろ「伊庭の野望」にすりかわってしまう、と。

「主人公たちは現代に戻る方法を模索し続けるんじゃないの?」と思っていた視聴者は、おいてけぼりにされます。

なんと伊庭は戦国に適応しすぎて、ここで頑張るつもりマンマンになってしまうのです。

しかし肝心の戦国時代側は、伊庭を必要としないわけで……、この先、悲劇が待ち受けています。

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