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現代と戦国の違い 兵器ではなく精神か
最初に同作品を見たとき、ともかく派手なアクションや戦闘シーンに興奮したものです。
しかし、改めて振り返ってみると本作は「現代と戦国の精神性の違い」の描き方が秀逸だと思いました。
生き残るために戦国時代に適応していった自衛官は、現代人としての精神性を失っていきます。
そこにいるのはもはや現代人ではない。かといって戦国時代の人間でもない。
異物と化してしまうのです。
「昭和に戻ったら人を殺せない。戦争なんてできない!」
だからここに残る!とまで言うようになってしまうのですね。
そんな彼らが戻ってしまったら、それこそ悲劇が待ち受けていることでしょう。
これは今考えてみると、かなり重大深刻なテーマかもしれません。
タイムスリップはできないけれど、価値観や倫理観が戦国時代のような場所は現代の地球上にも存在します。
ごく普通の若者がテロ組織に勧誘され、紛争地域へ向かっていく。
そこで斬首動画を撮影し、捕虜を奴隷にしてしまう……本作を見返して、そんなニュースを思い出しました。
豪快なアクションを笑い飛ばしていたはずが、人間の精神暗黒化を見てしまうという、なかなか奥が深く、人の業を描いた昭和の作品。
CGなんぞなくても心臓が締め付けられるようにドキドキして、その世界の中に引き込まれてしまうんですね。
序盤はトンデモぶりに笑い転げ、中盤から真顔になり、最後は戦慄――。
『戦国自衛隊』はトンデモ歴史映画の魅力と奥深さがギュウギュウに詰まった傑作ではないでしょうか。
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著:武者震之助
【参考】
千葉真一/夏八木勲/斎藤光正 (監督)『戦国自衛隊』(→amazon)