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『アイヌ民族否定論に抗する』
『ゴールデンカムイ』は、悲惨で哀れなだけではない、強くたくましいアイヌの物語です。それはその通りです。
しかし、歴史の暗い側面を描いていないわけではありません。
アシリパはじめ、アイヌの人々には和人からの収奪と差別がつきまとっています。
杉元のような和人が違うとはいえども、和人全体からの暗い力はあるものなのです。
その歴史こそが、ウイルクやキロランケの動機でもあります。
それは明治時代の過去で終わったことなのでしょうか?
そんなはずはないのです。
アイヌに対するヘイトスピーチは今も続いている
『アイヌ民族否定論に抗する(→amazon)』は、現在進行形で続いているアイヌへのヘイトスピーチを取り上げた一冊です。
SNSにおいて、試しにアイヌ関連で検索をしてみてください。
「アイヌは存在しない!」
「アイヌは特定民族のなりすましだ!」
「アイヌは利権を狙っている!」
「アイヌ新法こそ、他国による日本侵略の手口なのだ!」
といった、とんでもない暴論がまかり通っています。
アシリパたちが直面した差別は、今も続いているのです。
成立した「アイヌ新法」も、この差別解消に至るまでには問題があると指摘されておりました。
◆先住権への配慮を欠いたアイヌ政策 - 杉田聡|WEBRONZA(→link)
私たちは、彼らのことを考えているのか?
『ゴールデンカムイ』のファンであれば、アイヌのことを考えているはず。
そう思うのは、ちょっと楽観的かもしれない。そう感じることがあります。
これは『ゴールデンカムイ』だけではありません。
オリンピックだ、イベントだ、観光の目玉だ……そう珍しいものや観光名物としてもてはやしているだけではないのか?
彼らの声をきちんと聞いているのか?
考えているのか?
考えたくありませんか?
じゃあもういいや、と言えるのだとしたら、それはあなたが和人だからではありませんか?
実際に、こんな声を目にしたこと、聞いたことがあります。
「どうせアイヌなんてもういない。漫画の中だけでしょ」
「アイヌ語なんて、もうなくなったようなものだし。どうせ誰も話せないよ
「アイヌの伝統衣装や模様だって、可愛いから使っちゃっていいものでしょ」
「あの漫画なんて、殺人と裸が出てくるんだから、ノリで受けることをしているだけ。アイヌなんてどうでもいいんだよ」
「楽しければいいじゃん、たかが漫画なんだから」
作中のアシリパやキロランケ、それに杉元が聞いたら、忿怒の形相になりそうな、そんな言葉の数々です。
違います。
アイヌは存在します。アイヌ語は危機に瀕していますが、だからといって消えていいはずもない。
あの作品を読んでも、アイヌを尊重できないのであれば、それはとても残念なことです。
本書を読まねばならない理由。それは、あなたが杉元になれるかどうか、それを問いかけてくる一冊だからです。
杉元佐一――彼のようにアイヌを理解し、戦う和人になれるか?
そのためには、何も杉元のように武装しなくてもよい。傷もいりません。
本書のような知識を身につけ、アイヌについて差別をする人がいれば、それに抗うことができるはずなのです。
杉元になるための武器。それが本書です。
丁寧に、はっきりと、くだらない否定論と陰謀論に抗う一冊です。
和人はアイヌをどう差別してきた? 古代から1,000年以上の歴史を振り返る
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『大学による盗骨』
あなたの先祖のお墓から、誰かが遺骨を盗みました。
そんなことがあったらどうします?
言うまでもなく、犯罪です。
しかし、遺骨は戻りません。しかも犯人はこう言うのです。
「研究のためですから」
そんなことが許されるのでしょうか?
想像するだけで怒りと恐怖で凍りつくような話が、実際にあるのです。
どこの国のことか?って、日本ですよ。
『大学による盗骨(→amazon)』では、琉球人とアイヌの盗骨事件を取り上げています。
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