そんな衝撃的な歌とダンスが頭から離れない。
石田三成愛の詰まったPRが滋賀県によって公開されたのは、もう約8年も前、2016年のことです。
※上記Youtubeの詳細はねとらぼにて(→link)
地元民の関心のみならず『真田丸』では山本耕史さんが熱演され、これまでの冷淡なだけのイメージではない――そんな近年の石田三成像を丹念に追った一冊がコチラです。
実に五百頁を越える分厚さは、まさに決定版ではないかと思わせる重厚な説得力。
史料を丹念に調べた筆者、そして石田三成の両者には驚嘆するばかりです。
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関が原がクライマックスではない
本書にはいくつかの特徴があります。
まず、敢えて関ヶ原をクライマックスに持ってきていないこと。全く触れないわけではありませんが、全体からするとさほどの比重ではありません。
「三献茶」のように創作とみられる逸話も少なめで、最終章の「三成像形成」で取り上げる程度にとどまります。
とにかく豊富な一次史料の掲載に重きを置いています。
石田三成という武将に関して、一次史料を中心としてエピソードを排除し、この価格と厚さで迫るというのも、時代の流れを感じます。
十年前には考えられなかったのではないでしょうか。
石田三成自身の人気向上もあるでしょうが、それ以上に、よりマニアックなニーズが増えてきたということかもしれません。
そのぶん本書は中~上級者向けです。
豊臣政権の政策について頭にある程度入っていないと、読んでいて混乱する可能性があります。
一定数の戦国本を読み、理解してから手に取ることをおすすめします。
冷酷どころか気配りが細やかすぎたのでは?
本書を読んで感じたことは、
【ともかく三成はものすごく働いている】
ということです。
多忙な戦国大名や武将であっても、例外的に余裕のある時期というものがあります。
本書は徹底した一次史料ベースということもあるのでしょうが、三成の人生はどの時期も実務をこなしていて、そういう隙間がないように思えるのです。
没後四百年を経ているのに【三成は働き過ぎではないだろうか?】と心配になってきました。
昔、小さな町の史料コーナーに、地元国衆と三成との書状の複製が展示してありました。
こんな国衆とまで三成はやりとりがあったのか……と驚きましたが、その時のことを思い出しました。
確かにこれは滋賀県CMの通りです。
「配下にするなら三成~♪ 石田三成~♪」
しみじみと、そう思いました。この仕事量だけでも超人的です。そして……。
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