甘露寺蜜璃(鬼滅の刃・恋柱)

『鬼滅の刃』14巻/amazonより引用

この歴史漫画が熱い!

甘露寺蜜璃のピンクと緑は今どきバッド・フェミニストの象徴よ♪鬼滅の刃恋柱

蛇でありながら純愛を捧げる――そんな伊黒小芭の思いを受け止めるのは、恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじみつり)。

6月1日は彼女の誕生日です。

むろん物語上の設定ですが、なんだか今時のヒロインのようでいて、実は大正時代らしさも併せ持ち、しかも古典的でもある。

どういうこっちゃ?

天然キャラじゃないの?

そんなツッコミを入れたくなる甘露寺を少し深堀りして考察してみましょう。

『鬼滅の刃』14巻(→amazon

 


桜餅カラーのグラデーションヘアー! 最先端だ!

同じ女性の柱である胡蝶しのぶは、髪を大正当時の流行である夜会巻きにしています。

一方で蜜璃は、特徴的なピンクと緑色。

桜餅の食べ過ぎが由来とされますが、お遊びのような苦しい理由で、別の何かがあるはず。

それは連載当時の流行です。

たとえ時代モノ作品だろうと、劇中の時系列ではなく、発表当時のファッションやメイクは取り入れられます。

1980年代の時代劇を見ると、国や時代に関わらず眉毛がかなりしっかりしていました。当時の流行です。

ジャンプ漫画である『るろうに剣心』の雪代巴も、幕末にあんな髪型の既婚武家女性はおりません。シャギーレイヤーが連載当時の流行を捉えているのです。

※以下は『るろうに剣心』の関連記事となります

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この手のデザインにしますと、後で見返したときに古臭く映る――そんな難点があります。

が、そこは承知して、あえて時代の空気を取り入れたいからこその桜餅スタイルではないでしょうか。

蜜璃のようなグラデーションカラーは、2010年代半ばから人気があります。

中でも有名であるのは『スーサイド・スクワッド』(2016年)以降のハーレイ・クインでしょう。

登場時の1990年代には道化師衣装であった彼女ですが、現在はグラデーションカラーを分けて結ったスタイル定番です。

 


グラマラスボディは誰のもの? 誰のため?

隊服も、縫製係のゲスメガネこと前田まさおが特徴的なデザインにし、それを本人も認めているようです。

前田のセクハラはよろしくありませんが、しのぶや不死川実弥による制裁も受けていて、かつ蜜璃本人が満足しているということでギリギリセーフでしょう。

そもそも人類は巨乳をいつからありがたがっているのか?

蜜璃は“乳柱”というスラングで呼ばれてもいます。

ただ、これも考えていただきたいのですが、大正当時の人が彼女の胸を見て性的興奮をしていたかどうかは別だということです。

江戸時代までの美人画にせよ、春画にせよ。

うなじや下半身局部に気合いを入れて描いても、実は胸はそうでもない。

幕末に来日した外国人は「日本人女性、胸露出しすぎやろ!」と大興奮しており、一方で男性も褌一丁で闊歩していました。

これは当時の写真でもぜひご覧になってください。

それを察知した明治政府は、慌てて「裸体は禁止!」とお触れを出しています。

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とはいえ、日本人の意識まではなかなか変わりません。

大正時代の炭鉱労働者は、女性だろうと上半身は裸。授乳もおおっぴらにしておりました。

授乳ケープ?

そんなものは不要です。

むろん女性の胸に性的魅力を感じた人もいたでしょうが、そもそも社会認識として女性の胸にそれほどの認識はなかったのです。

ただ、そこは文明開花の時代です。

西洋料理やお菓子も大好きな蜜璃。あのデコルテは、しのぶの夜会巻きのように、西洋由来の発想だったりして?

幕末に西洋見聞した日本人は、

「女房双肌脱ぎ、亭主襷がけ!」

と表現しました。

デコルテを開けた女性のドレスと、男性の礼服をそう喩えたのです。

なぜ女があんなに肩出してんの? 寒くないの? 意味がわかんねえな……そう戸惑ったわけです。

首筋から胸元の真っ白な肌は、西洋女性が見せつけたいゾーンでした。

では、バストに関してはどんなスタイルが理想だったか?

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