上杉歴代藩主

上杉歴代2~8代藩主(左上から数えて途中4代を除く)/wikipediaより引用

江戸時代

地獄の収入減に苦しんだ米沢藩2代上杉定勝から8代重定までの過酷

正保二年(1645年)9月10日は、米沢藩二代目藩主・上杉定勝が亡くなった日です。

上杉景勝の息子であり、同家が120万石から30万石へ大幅に減封された後、真っ先に対応しなければならなかった人であります。

【関ヶ原の戦い】を経て、過酷な収入源を強いられた上杉家は、その後、如何にして立ち直ったのか? 立ち直らなかったのか?

苦労で片付けるには厳しすぎる……過酷な歴史を見て参りましょう。

※以下は上杉家大減封の記事となります

上杉家の大減封
収入75%減(120万石→30万石)の大減封に上杉家はどう対処した?

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後の上杉鷹山も参考にした改革手腕

そもそも定勝は、生まれた直後から割とハードモードな人生でした。

上杉定勝/wikipediaより引用

母・四辻氏が出産から半年もせずに亡くなったため、父の腹心である直江兼続夫妻に育てられています。

この時代のことですから、四辻氏が生きていたとしても同じだったかもしれませんが。

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立場上でも、仕事上でも、父親にはろくに会えないのが当たり前の武家で、更には母親にも会えない、既にこの世の人ではない……というのは心細い幼少期だったでしょう。

幸い、父の上杉景勝が亡くなって家督を継いだとき、定勝は19歳になっていました。

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若いとはいえ幼いというほどでもなく、家老の補佐次第できちんと当主をやっていけるくらいの年齢です。

定勝は若さと体力とやる気で、関ヶ原の戦い以降は傾く一方の財政を何とかするため、藩政に取り組んでいきました。

具体的には、領内の総検地と質素倹約・文武忠孝を奨励。

これは後に、あの上杉鷹山も参考にしたといわれています。

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また、キリシタンの取締を強化し、処刑も積極的に行って幕府への忠誠心を示しました。

定勝の時代は武断政治=「落ち度のある外様大名は即座に改易」だったので、そのくらいしないといつクビになるかわからなかったから、というのも大きかったでしょうね。

そんな感じで、江戸時代ののっけから前途多難な上杉家。

定勝の息子である三代から、鷹山の義父である八代藩主まで、マトメてみたいと思います。

 


三代目 上杉綱勝(つなかつ)

定勝の死により、6歳で急遽家督を継ぎました。

しかも10歳のときに幕府から江戸城の石垣普請(工事)を命じられ、さらに米沢藩の財政悪化が進みます。

藩主になったのも若かった、というか幼かったのですが、世継ぎのないまま25歳で急死してしまったことで、米沢藩は上から下まで全く嬉しくないハラハラ・ドキドキを味わうことになります。

幸い綱勝は結婚はしており、舅がときの将軍・家綱の叔父である保科正之だったため、家老たちが掛け合って、綱勝の甥である綱憲を末期養子にしました。

末期養子とは、大名が危篤もしくはそれに近い状態になってから、跡継ぎを用意するために迎える養子のことです。

「今際の際にギリギリで跡継ぎを決める」といったほうがわかりやすいでしょうか。

江戸時代の初期は「世継ぎを決めることもできない大名なんて無能だから、家を残す価値ナシ」と考えられていたため、末期養子は基本的に認められていませんでした。

しかし、時代が下って、ある程度改易や領地の整理が進むと「取り潰しすぎると次の藩主とか当主決めるのメンドクセ」という考え方が強まり、末期養子が頻繁に認められるようになったのです。

そもそも「戦のない時代に、武士が跡継ぎを残さずバタバタ死ぬ」というのも違和感のある話で、おそらくは生活習慣の変化が大きな影響を与えたと思われます。

戦国時代に近い世代は健啖(大食い)かつ運動量も多い=身体が頑健な武士が多く、これが江戸時代になって武士が貴族や政治家に近づくに従い、運動不足などが目立つようになりました。つまり不健康になったわけです。

江戸時代の後期には、太っていたわけでもないのに馬に乗れない大名も珍しくなかったといいますし。将軍家も同じですが。

また、江戸時代は飢饉や災害が多かったため、ちゃんと食べていても現代の栄養学や医学の基準では栄養失調に近い人が多かったのかもしれません。

となると子供もできにくくなり、出生率が個々の体質に大きく依存するようになり……という悪循環が生まれるのも無理のないことです。

さて、話を上杉家に戻しましょう。

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