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日本初の路面電車が「京都」なのは、明治天皇の奠都で人口が減少したから?

明治二十八年(1895年)2月1日、京都で日本初の路面電車が走りました。

「路面電車って何?」
地域によっては、そんな反応の方も多いかと思いますので、まずはどんなものか?というお話から始めましょう。

 


天皇の奠都で人口が急減した京都が慌てて

路面電車と普通の電車との違いは、機械的な構造よりも、乗り降りに関する仕組みに関することが多いといえます。
路面にレールを敷いているため、駅が小規模で済むこと、もしくは歩道から乗り降りできることなどです。

また、元々普通の電車よりも短い距離を運行しているため、駅の間隔が短いのも特徴の一つです。
バスと電車の中間のような存在……という感じでしょうか。

京都で路面電車が走ることになったのは、産業振興の一環という狙いがありました。なんせ明治天皇が東京へ奠都してしまったので、その周りにいた公家をはじめとした多くの人がついていってしまい、人口がガクッと減ってしまったのです。

歴史ある都を寂れさせないためには、まず人の出入りがしやすくなければ……ということで、現在の京都駅付近から伏見区役所付近で路面電車が開通したのです。

当時は停留所という概念がなかったため、どこからでも乗り降りができたとか。
路線のあるタクシーのような扱いだったんですね。

伏見にある電車発祥記念碑/Wikipediaより引用

 


運転手と乗客のケンカが珍しくなかった!?

開通から二ヶ月後、内国勧業博覧会(略称・内国博。国内版万博みたいなもの)に来る人がたくさん利用したことによって、この路面電車は一定の地位を築きました。

路面電車自体が国内初の試みだったため、当初はトラブルもちょくちょくあったようです。

単線のため、逆方向からやってきた電車同士が動けなくなってしまい、運転手や乗客が罵倒しあったりケンカになることも珍しくはなかったとか。
内国博とほぼ同時期に死亡事故も起きているそうです。よくその時点で廃止されなかったものですね。

それもそのはずというかなんというか、路面電車の運行に関する規則がきちんと定められていなかったのでした。おいおいおい。

 


歩行者の事故を防ぐ「告知人」という役があった!?

運行から半年後に規則が作られ、現在の信号機のような役割の「信号人」など、事故防止のための対策がいくつか立てられます。
昼は赤旗、夜は提灯を持って電車の前を走り、歩行者の事故を防ぐ「告知人」(前走り)という役目の人もいたそうです。想像するとかなりシュールです。

案の定、告知人が轢かれてしまうという事故も多々起きてしまいました。そりゃあな。

現在、路面電車というと「チンチン電車」という通称が有名ですが、あれを鳴らすようになったのは、通行人への注意喚起という意味もあるのだそうです。これなら、告知人のような人がいなくても、通行人の安全を図ることができますよね。
具体的には、運転席の足元についているゴングを鳴らすのだそうです。もっと早く導入されていたら、京都の路面電車による事故はもっと減っていたかもしれませんね……。

 

もともと馬車から発達したので欧米圏ではポピュラー

日本の路面電車は地下鉄の普及とともに一時衰退しました。

が、最近では都市部の渋滞緩和策の一つとして見直されつつあるとか。延伸計画も全国で立てられている様子ですし、昔の路面電車を復刻したレトロなデザインの路面電車もあります。

路線バスでも昔懐かしい雰囲気の車両が人気ですし、今後人気が出れば更に増えそうですね。
歴史にまつわるスポット同士を繋いだり、何かしらテーマを持って路線を繋いだら、観光客にとってありがたい存在になるのではないでしょうか。通勤用の路線と別にすれば、観光地に住んでいる人の精神衛生にも良さそうですし。

路面電車は元々馬車鉄道(馬が列車を引くタイプの鉄道)から発達したものなので、欧米圏ではポピュラーな存在です。なかなか近未来的なデザインの車両もあります。
特にフランスやオーストリアの路面電車は、一見特急列車や寝台車にも見えてカッコイイものが多いですね。利用したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

意外?に中国でも割とたくさん走っていて、香港には二階建ての路面電車もあるようです。
元宗主国のイギリスで有名な、ダブルデッカーバスから来ているのでしょうかね。色が違いますが。

二階建ての路面電車は、香港とイギリス・ブラックプール、それからエジプト・アレキサンドリアにしかないそうです。
訪れた時には、乗ってみるのも貴重な思い出になりそうですね。

長月 七紀・記

【参考】
京都電気鉄道/Wikipedia
路面電車/Wikipedia
路面電車の走る街の一覧/Wikipedia


 



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