犬の名前はなぜポチなのか

円山応挙『狗子図』/wikipediaより引用

明治・大正・昭和

犬の名前はなぜポチが定番だったのか 起源は明治時代 ある意味これも文明開化

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「ポチ」の語源は謎が多い

ここで疑問が湧くかと思います。

なぜに「ポチ」は西洋っぽい名前とされたのでしょうか?

明治時代ではありませんが、アメリカン・ケンネル・クラブ2015年の、人気名調査をみてみましょう(参照)。

オス
1. タッカー
2. ベア
3. デューク
4. トビー
5. ロッキー

メス
1. ベイリー
2. クロエ
3. ソフィー
4. マギー
5. セイディ

ポチに通じそうな「P」で始まる英語圏犬の人気名は「ピーナッツ」や「プリンス」だそうです。

「ポチ」にはかすりもしません。

ただし、英語圏では「ポチ」と同じく、典型的な犬の名前として「スポット」、「スポッティ」があります。ぶち、まだら模様の犬という意味です。

「スポット」や「スポッティ」を実際にクチに出して発音してみてください。

このあたりまでいくと、少し近づいて来た気がしませんか? どちらかと言うとスポッティがより近いですかね。

こうした状況を踏まえた上で、諸説ある「ポチ」の語源を5つ確認してみたいと思います。

1. 日本語由来説(「ポチ袋」等の「ポチ」から小さくて可愛らしいという意味)

2. 英語圏の犬の名前「スポット」が由来

3. フランス語の「プチ(小さくて可愛らしい)」が由来

4. チェコ語、ロシア語が由来

5. 日本人がブチ犬を「ブチ!」と呼んでいるのを、横浜駐留の外国人が「Patch(ブチ)」と呼んでいるのだと思った。ブチ→Patch→ポチという変化

どれをとってもナルホド、と思わされます。

「これぞ!」という結論には至れず申し訳ありません。

ただ明治時代からというのは間違いなく、かくして「ポチ」は日本の犬の名前として普及してゆくのです。

そして明治以降の小学校では、愛唱歌や教科書に「犬はポチ、猫はタマ」と登場しており、いつの間にか典型的な名前として認知されました。

今ではすっかり古典的な名前となった「ポチ」。

そこには犬好きの人たちの確かな思いが詰まっていたんですね。

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文:小檜山青

【参考文献】
仁科邦男『犬たちの明治維新 ポチの誕生』(→amazon

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