こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
【犬の名前はなぜポチなのか】
をクリックお願いします。
お好きな項目に飛べる目次
お好きな項目に飛べる目次
「ポチ」の語源は謎が多い
ここで疑問が湧くかと思います。
なぜに「ポチ」は西洋っぽい名前とされたのでしょうか?
明治時代ではありませんが、アメリカン・ケンネル・クラブ2015年の、人気名調査をみてみましょう(参照)。
オス
1. タッカー
2. ベア
3. デューク
4. トビー
5. ロッキー
メス
1. ベイリー
2. クロエ
3. ソフィー
4. マギー
5. セイディ
ポチに通じそうな「P」で始まる英語圏犬の人気名は「ピーナッツ」や「プリンス」だそうです。
「ポチ」にはかすりもしません。
ただし、英語圏では「ポチ」と同じく、典型的な犬の名前として「スポット」、「スポッティ」があります。ぶち、まだら模様の犬という意味です。
「スポット」や「スポッティ」を実際にクチに出して発音してみてください。
このあたりまでいくと、少し近づいて来た気がしませんか? どちらかと言うとスポッティがより近いですかね。
こうした状況を踏まえた上で、諸説ある「ポチ」の語源を5つ確認してみたいと思います。
1. 日本語由来説(「ポチ袋」等の「ポチ」から小さくて可愛らしいという意味)
2. 英語圏の犬の名前「スポット」が由来
3. フランス語の「プチ(小さくて可愛らしい)」が由来
4. チェコ語、ロシア語が由来
5. 日本人がブチ犬を「ブチ!」と呼んでいるのを、横浜駐留の外国人が「Patch(ブチ)」と呼んでいるのだと思った。ブチ→Patch→ポチという変化
どれをとってもナルホド、と思わされます。
「これぞ!」という結論には至れず申し訳ありません。
ただ明治時代からというのは間違いなく、かくして「ポチ」は日本の犬の名前として普及してゆくのです。
そして明治以降の小学校では、愛唱歌や教科書に「犬はポチ、猫はタマ」と登場しており、いつの間にか典型的な名前として認知されました。
今ではすっかり古典的な名前となった「ポチ」。
そこには犬好きの人たちの確かな思いが詰まっていたんですね。
あわせて読みたい関連記事
人に代わって旅をする 犬のお伊勢参りが江戸時代に意外と流行ってた
続きを見る
白虎隊の生き残り酒井峰治が『戊辰戦争実歴談』に残した生々しい記録
続きを見る
鎌倉幕府の滅亡!北条高時の最期は「腹切りやぐら」で一族ほぼ自害の悲劇
続きを見る
西郷隆盛~幕末維新の時代を最も動かした男~誕生から西南戦争まで49年の生涯とは
続きを見る
ドラマ『大奥』で綱吉が抱いていた愛玩犬「狆」は奈良時代からいた
続きを見る
文:小檜山青
【参考文献】
仁科邦男『犬たちの明治維新 ポチの誕生』(→amazon)