ペット保険を手がけるアニコム損保さんによると、「2024年犬の名前ランキング」の上位は次の通りです(参照)。
1. ムギ
2. ココ
3. モカ
4. ソラ
2023年とほぼ同じで、
1. ムギ
2. ココ
3. ソラ
4. モカ
6年前(2017年)でも上位2つは被っていますね(参照)。
1. ココ
2. ソラ
3. マロン
4.チョコ
あくまでイメージですが、トイプードルやヨークシャテリア、チワワあたりに付けられそうな感じと申しましょうか。
お菓子のように可愛らしく、夢のある名前をつけたい――飼い主のそんな温かい気持ちを感じます。
これが昭和になりますと、「クロ」とか「シロ」、あるいは「ブチ」といった毛色由来の名前が多かったように感じるのですが、他には映像作品などにも影響されたりするようで。
漫画・ドラマ『動物のお医者さん』のチョビとか、映画『南極物語』のタロとジロとか、大ヒット作品に関連して名付けられる現象はよくみられました。
さらに時代を遡ってみましょう。
毛色や模様からの由来ですと、白虎隊士・酒井峰治の愛犬「クマ」がいます。
おそらく熊のように黒かったのでしょう。
『南総里見八犬伝』の犬は「八房」。
模様が八カ所あるわけです。
毛色ではなくどういう理由で付けられたのかわからないのが、『枕草子』に出てくる「翁丸」です。
北条高時は「雲竜」ですから、なんだかお相撲さんのようでもあり、立派な体格の犬をイメージしますなぁ。
幕末維新期の犬好きで有名な方と言えば西郷隆盛であり、愛犬の一匹は「ツン」という名前でした。
さて、ランキングに全く登場しないものの、「犬といえばコレ!」という典型的な名前があります。
それは、ポチ――。
メディアでも度々登場しております。
この「ポチ」の名前はどんな起源なのか?
そもそも「起源があったのをご存知でしょうか?」とお尋ねしたほうが良さそうですね。
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ランキングに登場しないのに典型的
結論から申します。
ポチの起源は明治時代。
多くの外国人がやってくることによって生まれました。
まず、背景に、こんなエピソードがあります。
幕末から明治にかけて、来日した外国人は愛犬にこう呼びかけておりました。
「カモン、ジョン!」
「カムヒア、ジャック!」
このときの「カモン」とか「カムヒア」の発音が、日本人には「カメ」と聞こえてしまった。
そして『そうか、西洋じゃ、犬のことを「カメ」と呼ぶのか』という誤解が生じ、今度は洋犬を「カメ」と呼ぶという、ちょっと奇妙な状態になったわけです。
同時に問題になったのが、そんな洋犬「カメ」たちにふさわしい個々の名前です。
それまで犬の名前と言えば、【トラ、クマ、ムク、クロ、シロ】といった名前がほとんど。一目で特徴のわかる名前が好まれておりました。
仮に共同体で飼育する場合、都合がいいということもありましょう。
「クロはどこに行った?」と聞かれたら、とりあえず黒い犬なんだな、とわかりますからね。
では洋犬「カメ」はどうするか?
というと西洋風の名前にしようということで、ジャック、ジャッキー、ジョンといった名前が増えてきます。
その中の一つに「ポチ」もあったのですね。
当時は、これが西洋っぽい、お洒落ネームだったのですね。外来語のフシギです。
ではなぜ、「ポチ」は西洋っぽい名前とされたのでしょうか?
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