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【御伽草子】
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絵が多いのは「絵解」の影響だった
江戸時代に大々的に出版される前。
室町時代末期には、既に『御伽草子』の挿絵入りの本が出ていたようです。
それを受けて江戸時代の『仮名草子(女子供向けにひらがなで書かれた物語集)』や『浮世草子(大衆小説)』などが出てきたのかもしれませんね。
また『御伽草子』に絵入りの本が多いのは、当時「絵解(えとき)」という職業があったからという見方もあるようです。
絵解とは「仏教的な絵画の意味を、字が読めない・学問と縁がない層の人々に解説する」というのが仕事です。
『御伽草子』に入っている物語も、仏画と同じように読み解いて語り聞かせられ、世の中に広まったのでしょう。
絵解は、民謡などの歌を歌いながら読み解くこともあったらしいです。
なので、数十年前の日本でまだメジャーだった【紙芝居屋さん】みたいに、物語をしながら合いの手を入れたり、演出する人もいたのかもしれません。
この仮定が正しければ、ほとんどの物語に特定の作者がいない(わからない)理由にもなります。
「平家物語の作者は一人ではない」とされているのと同じですね。
もっとも、日本では物語を書き写す際に
「あ、いいこと思いついた! ここをこうしたほうがもっと面白くなるから、ちょっと変えて書いちゃえ!」
ということが珍しくなかったので、物語の作者がわかっているからといって、当時そのままの文章である可能性は非常に低いのですが……。
これこそまさに『源氏物語』がいい例ですね。
光源氏と藤壺の宮や六条御息所などの出会いのシーンがなかったりしますし。
清水寺が大人気
御伽草子の中には、少なからず僧侶や盲人、山伏などが登場する話が含まれます。
ゆえに「寺社もしくはその関係者が神仏の存在を強調するために作り、広めたのではないか」という説もあるようです。
今の日本人でも「悪いことをするとバチが当たる」とか「お天道さまが見てる」みたいな、ボンヤリとした概念は残されておりますよね。
そんなわけで御伽草子には、今日我々が思い浮かべる「昔話」の多くが含まれています。
なにせ数が多いので、物語の設定や登場人物は様々で、舞台にはある程度傾向がみられます。
特に清水寺は40もの物語に登場するとか。
また、人間以外の動物や鳥・魚・虫、はたまた植物や道具、妖怪など、登場キャラクターのバリエーションが非常に多いのも特徴です。
これも公家社会の物語にはあまりない傾向。
しかもただ出てくるだけじゃなく、動物同士で戦をしたり、ネズミが人間の女性と結婚したり、立派に(?)主役級の扱いを受けているのですから面白い。
余談ですが、グリム童話にもソーセージを登場人物(?)にした話がいくつかあります。
ドイツだから? と言われればそれまでですが、ソーセージ同士で殺し合ったり、ソーセージが鍋の中を泳いで味をつける役目をしていたり、なかなかシュールです。
一体どんな人が考えたんでしょう。
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