ドラマ『パリピ孔明』

ドラマ『パリピ孔明』公式サイトより引用

三国志

ドラマ版『パリピ孔明』の気になる名言・名場面・兵法・故事を徹底解説

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屠蘇散

諸葛亮が飲むと声が梶裕貴さんになってしまう、そんなあやしい薬を作ります。

そんなバカな! そう突っ込みたくなるようで、歴史的には案外正しい。

三国志』には日本人にとってもおなじみの名医が出てきます。

華佗(かだ)です。

華佗は正月に飲むお屠蘇のレシピである「屠蘇散」(とそさん)を開発したとされます。

現代からすれば「ハーブを混ぜた健康にいいものね」となるものの、これを伝えられた当時の人々からすれば驚きの薬です。ちょっとした体調不良をスッキリさせてくれるだけでもありがたいものですから。

ちなみにこのお屠蘇の風習は中国では廃れ、日本の方が残っているとか。

孔明が何を使って秘薬をこしらえたのかは謎ですが、屠蘇散みたいな材料かもしれませんね。

ちなみに日本だとあまりありませんが、中国ではこの俳優に対する吹き替えが結構多い。香港出身の俳優が大陸のドラマや映画に出ると発声が大きく異なるので、吹き替えがおなじみです。

華佗の医術で肘の切開手術を受ける関羽/wikipediaより引用

 

兵法三十六計

諸葛亮のしばしば引いてくる『兵法三十六計』とは、三国時代には成立していません。

とはいえ『演義』の世界では使います。

このドラマは『演義』要素も入れているので、そこはよいのです。

 

筮竹

諸葛亮は占いの際、パスタのような棒を手にしています。

筮竹(ぜいちく)といい、易占いという中国由来の占いに使います。

『麒麟がくる』では松永久秀、『鎌倉殿の13人』では全成が用いていました。

筮竹を用いた占い師は、かつて日本でもよく街にいたものです。

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横光三国志

クリーニング店でKABE太人が手にするのは『横光三国志』。

日中国交正常化に向け、日本の少年少女が手に取るように描かれた傑作です。今でも読み継がれる定番ですね。

本作に出演した森山未來さんや向井理さんも愛読していたとか。

KABE太人は全巻読了していないようで、知識が少し偏っているようです。

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赤兎馬

ラッパーの赤兎馬カンフーが出てきます。

赤兎馬は『三国志』に出てくる最強の名馬で、呂布のものを劉備の義弟・関羽が引き継ぎました。

汗血馬という血のような汗を流す馬だという説もあります。

彼は赤兎馬をあえて名前につけるほど、相当ディープな『三国志』マニアです。

 

ラーメン

英子と諸葛亮がラーメンを食べる場面があります。

日本では中国風の麺類はみんな「ラーメン」です。

実は漢字表記が謎。「拉麺」という表記もありますが、拉=引っ張って作るという意味です。

日本のラーメンは機械を用いたり、包丁で切るので「切麺」(チャーミェン)ではないかという指摘もあります。表記は「柳麺」だったという説も。

現在では差別的であるため用いられませんが、「支那蕎麦」という言い回しもかつてはありました。

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孔明車

諸葛亮はデコバイクに乗る場面があります。

『演義』準拠のイメージとされるものの、彼はまず馬に乗りません。

車に乗ることがお約束。本場では「孔明車」という呼び方もあります。

牛が引く四輪車に、三輪車に、牛車に……ありとあらゆる発明があるとされる諸葛亮。後世の伝説も含まれているのでご注意を。

諸葛亮はなぜ車に乗るのか? あの孔明扇を手にしているのか?

文官であることが強調されています。中国では文官上位が理想とされます。文官なのに戦も強い諸葛亮を理想化していくために、優雅な彼の姿が強調されるのです。

 

王八蛋(ワンバダン)

諸葛亮は「王八蛋」と煽ります。

中国語には「バカ」や「アホ」なんて言葉がないというのは大嘘で、これはそうした罵倒です。

孔明の生きていた時代にあったかは不明ですが。字幕の「亀の子どもが」ではなく、ただの「バーカ」でいいと思います。

語源には「八徳を忘れた者」という説もあります。これには日本語でも同じ言い回しがあります。

仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌 (てい)という八徳を失ったものを「忘八」または「亡八」と書き「ぼうはち」と読みました。特に遊郭に関わるものをこう呼んだとか。

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