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【利家とまつレビュー】
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コミカル&シリアス夫婦漫才 そして加賀百万石へ
本作は、天下取りを目指し、ナンバーワンを目指す男の野心を控えめに抑えています。
主役周辺はナンバーツーであることに満足し、友情や飲みニケーションで和むような作りを目指していたのです。
ターゲット・オーディエンス(総低視聴者層)は、サラリーマン夫婦でした。
主演の前田利家とまつだけでも豪華ですが、それと比べられる夫婦も豪華!
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夫婦関係のトライアングル、明暗を描くことが、本作のみどころでした。
余談ですが……『利家とまつ』と『麒麟がくる』には、出演者の薬物スキャンダルという共通点があります。
『利家とまつ』は、放送後の発覚です。それでもNHK公式ガイド本ですら、おね役が誰であるか記載されていないことすらあります。
トライアングルとなった夫婦の確認すら、奥歯にものが挟まったようになるもどかしさと申しましょうか。
それを名場面集でどう処理するのか?
非常に不純ながら、気になるところではあります。
もうひとつ、不純な噂でも。
『利家とまつ』の決定当時、こんな噂がささやかれ、記事にもなりました。
加賀ゆかりの政治家が、本作を誘致したことで観光貢献アピールを狙ったのではないか――そんな疑惑です。
ドラマは、高度経済成長期のサラリーマンを満足させるようなものでしたが、放映当時は平成。終わることのない不景気が続く中、地方経済再生のため少ないパイの奪い合いが行われていたのです。
大河は一年限定であります。それでも当時の地方観光にとっては魅力的なブランドです。
『利家とまつ』に関して流された噂の真偽はさておき、大河と観光の利害関係は常に意識されるところでもあります。
そうすると全国一律の受信料を徴収しておきながら、
・北海道と沖縄が舞台になりにくい
・戦国モノは中部に集中しやすい
・幕末作品は雄藩エリアに集中しやすい
というような特定地域に偏りがちな状況は不平等ではないでしょうか。
もちろんNHKとて視聴率の呪縛からは離れられませんから、数字の取れやすい人気キャラにスポットを寄せたい事情はわかります。
しかし、何度も同じような舞台を擦るよりは、新しく未知なる魅力やキャラクターを伝えるというのも大事な一手だとも思います。
おんな大河の功罪
大河の評価は難しい。
『独眼竜政宗』でもふれましたが、
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高視聴率だからといって素直に褒められる状況はないこともあります。
2000年代の『利家とまつ』と『功名が辻』には、現在からすれば不穏な何かが漂っています。
確かに両作品は視聴率が高く、一応は成功作とされているます。ただ、視聴者すら苦笑する要素があったもので……。
◆味噌汁
主人公周辺が関係ないところでもでしゃばる
→『利家とまつ』では“まつの味噌汁“が万能アイテムではないかと突っ込まれておりました。
まつがどこへでも味噌汁を持参する。そして味噌汁でなんでも解決する。
これは製作者の趣味だったんでしょうかね。この味噌汁は、おにぎりという形で再来することに……。
◆「内助の功」
この路線は女性応援なのでしょうか?
→女性目線で歴史を見る。内助の功。ははあ、なるほど。そういうことか!
大河でも取り上げるので史実だと信じたくなりますが、そう単純なことでもありません。
まつにせよ、利家のドケチぶりを容赦なく嗜めたきつい挿話があり、昭和平成目線でニッコリしている「内助の功」路線とは違ったものがありました。
そういう史実を無視して、昭和平成の奥様像にパッケージングしていく路線には、時代錯誤感がつきまとったものです。
◆良妻賢母
→女性のあるべき生き方、規範がこれしか想定されていない感はあります。
そもそも女性応援を掲げていたはずなのに、
・トレンディドラマ視聴者でも安心!
・難易度を下げました!
・ホームドラマだから安心ですよ!
・イケメン揃えました!
というのは違和感があったものです。うっすらと視聴者をバカにしてませんか……?
言い方は悪いですが「女は歴史を知らず、イケメンしか見ていないからさ!」なんて意識が反映されたのでは?
そして……。
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