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安藤百福像

まんぷく

まんぷくモデル安藤百福の生涯96年をスッキリ解説! 日清食品の誕生物語

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麺の表面に小さな穴が空きお湯をかければ水分を吸収

ようやく理想的な麺の配合が決まると、次は味付けです。
百福の理想は、最初から味の付いた麺でした。

じょうろを観た百福はピンと来ました。
スープをじょうろでかけて、乾燥させればよいのです。

次の問題は保存性。これも難題です。
アタマを抱えながら、天ぷらを揚げている様子を見て百福はは閃きました。

「これだ!」
試しに油に麺をパラパラパラと入れてみると……。
カラッと堅く揚がる麺。
油に通すことにより、麺の表面には小さな穴が空きました。ここから水分を吸収させれば、水をかけたときに以前の状態へ戻すことができます。

更に百福は試行錯誤を重ね、麺をあげる時、枠に入れて一定の形に成型するようにしました。
我々の知るチキンラーメンに段々と近づいてくるのがわかりますね。

ここでいったん小休止。

さて、この「チキンラーメン」。
そもそも何故「チキン」なのでしょうか?
「ビーフ」でも「ポーク」でもなく、なにゆえ鶏なのか。

キッカケは少々時間を遡ります。

ある日、安藤家では鶏をしめて食べることにしました。
このとき、仮死状態だった鶏が暴れて血が飛び散り、子供たちはその様子がトラウマになって、鶏肉を食べなくなってしまったのです。

しかし、鶏肉でだしを取ったスープだけは、美味しいと飲み干します。
それがヒントになったのです。

「よし、味は鶏肉にしよう!」

結果的にこれが大成功の要因となりました。
チキンスープは世界各国で好まれる味。ビーフならばヒンズー教徒、ポークならばイスラム教徒が口にできなかったはずです。

チキンラーメンは、出だしからして国際的な展開が約束されたような、運命の食品でした。

 

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「瞬間油熱乾燥法」ついに完成す!

麺の揚げ方が決まり、味は鳥にチョイス。
さて、ここからいよいよ大量生産のテストです。

百福は、試作の機械で次の工程に挑みました。

1. 生地をローラーにかける
2. 細く切る
3. 麺を蒸す
4. 麺をほぐす
5. 蒸した麺にチキンスープをまぶす
6. 麺をすのこに並べて陰干しする。このとき麺の水分は40パーセント程度にする
7. 枠に8食分入れて160度の油であげる
8. 扇風機で冷ます
9. 包装する
10. ダンボールに30食詰めて完成!

途中で百福が機械で指を切断しかける事故がありましたが、これがうまくいきました。
家族も手伝いながら、一日で400食を作成。
「瞬間油熱乾燥法」の完成です。

世界を変え、愛される食品がいよいよ誕生したのです。

 

チキンラーメン発売開始 そして大ヒット!

大阪梅田の百貨店地下に、食品売り場の試食コーナーがありました。

昭和33年(1958年)8月、そこにいたのはスーツを着込んだ百福。
テーブルの上には丼と箸、そしてやかんだけ。
丼の中には、誰も目にしたことのない“奇妙な糸の塊”が入っていました。

「お湯をかけてたった二分! ラーメンですよ、是非めしあがってください!」

足を止めた客が興味津々、その様子を見ていると、あらフシギ!
糸の塊にお湯が注がれると、ふくれあがり、ほぐれ、麺に変わっていくではないですか。
まるで魔法か手品。そんな驚きの表情を浮かべ人々は足を止めます。

驚くのはこれから。
試食客に丼を渡し、一口すすらせると驚嘆の笑みと共に言葉が溢れ出てきました。

「うわ、これ、ほんまにラーメンやん!!」
「おっちゃん、こっちも買うわ!」
「どれ、ワシにもちょいと……」

食で人を幸せにしたい百福が見たかった笑顔が、そこにはありました。

チキンラーメンはあっという間に完売御礼となります。
アメリカの貿易会社でも大好評でした。

「食はボーダーレス、国境はない」
ラーメンが好きな日本人だけではなく、アメリカ人にも好評であるということに、百福は手応えを感じたのです。

この年の12月、「日々清らかに豊かな味を作りたい」という願いのもと、百福は社名を「サンシー殖産」から「日清食品」に変更しました。

しかし流通関係者は当初渋い顔を浮かべておりました。
チキンラーメンも日清食品も、当時は知名度ゼロ。ヒットするかどうかは不明……というより価格も割高で無謀に近い。

「こんなん乾麺と同じやん。うどん一玉6円、乾麺25円やで。35円で売れるわけないやろ」
といった調子で酷評されていたのです。

それでも百福は確信していました。
チキンラーメンは従来の乾麺とはまるで違う、新しい食品である。
一度食べれば絶対にその違いがわかるはず、人々は絶対に飛びつくはずだ、と。

その通りでした。
一度食べると味と手軽さは人々を虜にして、爆発的に売れ始めるのです。
当初は渋い顔を浮かべていた流通業者も、もっと売ってくれとせがむようになります。

他ならぬ消費者が「もっともっと欲しい」と訴え、無視できなくなったのでした。

 

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健康食品だった!?

栄養価は低く、塩分過多で、添加物も入っている――。
現在ではジャンクフード的ポジションに置かれるインスタントラーメンですが、当時は違いました。

栄養価が高い食品としてチキンラーメンは注目を集めます。

なんせ塩分摂取量にさほど厳しくない頃は、
「ラーメンのスープは栄養が含まれています。残さずお飲み下さい」
と言われていたほどでした。

これは何も百福や日清食品がデタラメに掲げた情報ではなく、国立栄養研究所所長に調査依頼をした結果のことでした。
鶏肉の様々な部分から高い栄養価が抽出されていたのですね。

そして百福はこの結果を厚生省にも持ち込みました。
結果、厚生省は「妊産婦の健康養補給商品」に推奨したぐらいです。
チキンラーメンが健康食品というのは、現代からすれば驚かされますね。

この後にも、チキンラーメンはビタミン添加をして、1960年(昭和35年)には「特殊栄養食品」の認可を取得。現在の栄養価は、日清食品公式サイトに掲載されています。
確かにビタミンB2、ビタミンB1が含まれていますね。

食べ方としては上に卵を載せるのが有名ですが、これは単に美味しいだけではなく、栄養価を補う上でも優れていました。

ちなみに百福は、健康の秘訣を尋ねられると「毎日、昼食にチキンラーメンを食べていますから」と答えていたそうです。

 

テレビとインスタントの時代ががっつりマッチ

日清食品といえば、斬新な広告でも有名です。

特に1990年代前半に放映された
「ハングリー? カップヌードル! 日清!」
のコマーシャルは国際広告映画祭グランプリを受賞したほど。

 

実はこの斬新な広告スタイルは、初期の頃から有名でした。

チキンラーメンを売り出した当時、日本でもテレビが普及し始めました。
初のテレビ局開局は1953年で、爆発的に普及したのは1959年の皇太子ご成婚パレードから。チキンラーメン発売開始のタイミングとちょうど一致します。

百福は、チキンラーメンが軌道に乗るとすぐにテレビ広告を打ち出しました。

 

テレビとインスタント食品の普及には、関連性があると言えます。

1950年代、アメリカやヨーロッパでも「テレビディナー」と呼ばれる食品が登場しています。
当初はオーブン、のちに電子レンジで調理することを念頭としたこの食品は、テレビを見ながら作ることのできる食事として普及しておりました。

ちょうどこの頃、欧米では、女性が積極的に働きに出るようになっていたのです。
そして日本でも高度成長期と呼ばれる時代へ突入。チキンラーメンのみならず、インスタントコーヒー、家電製品が大流行しておりました。

時代のニーズは、まさに家事の簡素化を求めていたのですね。

 

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全国区への拡大と類似品との戦い

1960年2月、拡大するニーズに応えるべく、日清食品は新工場をオープンさせました。

一日10万食を作るこの工場の前には、一刻も早く出荷すべく、トラックがずらり。
しかし、ブームになると問題も出てきます。

「類似品の横行」です。

当時は今ほど特許に厳しくなく、ヒット商品のパチもん・パクリ物が横行するのは当然の状況。
もはや嫌な予感しかしませんが、あるとき日清食品に「チキンラーメンで中毒を起こした!」という訴えが入りました。

しかし、製造過程を調べても、問題はない。
古いものを食べたのか。
そんな風に疑いもしましたが、原因は別のところにありました。中毒を起こした人は、他者の粗悪な模造品を食べていたのです。

こうしたコピー品騒動を何とかしようとしても、対策は追いつきません。
ついには食糧庁(2003年廃止)がこう言い出します。

「業界で協力しなさい」

税金貰って何やってんだか。と言いたくなりそうなところですが、百福はこれまた前向きに捉えます。前向きというよりもシンプルにリアリストなんでしょうね。
果てしなきイタチごっこで消耗するよりは、業界で一致団結してよりよい食品作りを目指したほうがよい。

かくして1964年、「社団法人日本ラーメン工業協会」(現日本即席食品工業協会)が設立され、百服は初代理事長となりました。
私たちが現在、様々なメーカーのインスタントラーメンを安心して食べられるのも、こうした百福や業界協力のおかげなのですね。

1970年代までに、日本では年間35億食のインスタントラーメンが消費されるようになりました。
まさに国民食です。




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※ドラマのレビューは『まんぷく感想』をご覧ください。

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