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『殿、利息でござる』重税に苦しむ仙台藩の領民を通じて江戸期の限界を知る

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タイトルからして、いかにも痛快&爽快そうな印象を受ける『殿、利息でござる!』。
しかし、中身はとても地味な作品です。

同作を見ている最中、もっと画期的な手立てはないのか、痛快な策はないのかとジリジリしてしまいますが、江戸期の陸奥ではこれが限界だったでしょう。
この題材で映画を一本作ってしまうのは、凄いことだと思います。

「3億円集めてビンボー脱出!」
というキャッチコピーでありながら、実は脱出できているわけでもないというのが……。

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基本DATA info
タイトル 『殿、利息でござる!』
原題 The Magnificent Nine
制作年 2016年
制作国 日本
舞台 陸奥国仙台藩吉岡宿
時代 江戸期明和年間(1760~70年代頃)
主な出演者 阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子
史実再現度 若干の脚色はあるものの、基本的に史実通り
特徴 無私の勝利

 

あらすじ 吉岡宿を苦しめる「伝馬役」

江戸時代、明和3年(1766年)。
仙台藩領内の宿場町・吉岡宿は疲弊しきっていた。

この吉岡宿は「伝馬役」という宿場館の物資輸送を担っているのだが、藩の直轄領ではないため助成金が出ない。
そのため、宿の住人が伝馬の費用をまかなわねばならない。

吉岡宿の負担は重く、夜逃げする者も多い。
人が減れば、残る人の肩に負担はのしかかる。
作り酒屋の穀田屋三十郎は、そんな現状に頭を痛めていた。

吉岡宿一の智恵者とされる茶師・菅原屋篤平治は、有志で金を集め、そのまとまった金を藩に貸し付け、その利子で伝馬の費用をまかなうようにしたらどうかと思いつく。
思いつくものの、篤平治は実現できないだろうと考えていた。

三十郎の決意は固い。
彼は賛同者を集め、殿様から利息を取るという奇策を実行に移そうとするのであった。

 

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江戸期のシステム限界点

本作の吉岡宿に限った話ではなく、江戸時代というのは、だいたい半ば頃からシステムの限界点が見えて来ます。
それまでかろうじて保たれてきた矛盾が表面化してくるのです。

日本各地の藩で「藩政改革」を行い、こうした矛盾の解消につとめました。
どの藩の歴史を見ても、どこかでターニングポイントがあるはず。
幕末から明治にかけて社会システムががらりと変わったわけではなく、江戸期を通しても徐々に社会は変化していたのです。

本作を見ると
「なんでこんな問題のある伝馬制を採用したの?」
と怒りにも似た思いがこみあげてくるのではないでしょうか。

これは吉岡宿に限ったことではなく、日本全国各地で直面していた問題なのです。

 

元凶の殿様がキラキラしている

本作の問題点を挙げるとすれば、元凶である伊達重村が大変キラキラしていて、そこにいるだけで涼風が吹いてきそうなプリンスぶりを発揮しているという点でしょうか。

伊達重村を演じるのは、仙台出身のフィギュアスケーター・羽生結弦選手です。

本職の役者ではないから演技がイマイチ、ということはありません。
むしろ反対。演じる競技の選手だけあって、呼吸の仕方までしっくりと来ています。
それが他の役者とは異なる雰囲気を出していて、殿様らしくてよい効果を出していました。

しかし、本作の前半で描かれているのですが、仙台藩の領民が重税に苦しんでいるのは、重村の責任も大きいのです。

本人の自己満足にしかつながらない官位を、薩摩藩主に対抗するためだけに欲しがり、そのために金が必要となったのです。
この殿様がそんなことをしなければ、ここまで生活は苦しくないはず。

ところがいざ現れてみたら、その元凶がキラキラしたプリンスぶりではありませんか。
憎むに憎めない。しかも彼は反省の言葉も口にするんですよねえ。

殿様の気品というのはそういうもので、そこがリアルかもしれませんが、殿様に感じていた怒りをどこにもぶつけられないなあとちょっと困惑していまいました。
これは決して羽生選手のせいではない。
むしろ、彼の演技は素晴らしいのです。

本作は人々の忍耐や工夫、無私の献身に感動するだけではなく、江戸期のシステム限界点を考えるうえでも勉強になる一本だと思います。

チャンバラや合戦がなくとも、有名な人物が出てこなくとも、面白い時代劇は作れます。

平凡な人々が成し遂げる偉業を静かに描いた、しみじみと感動させられる名作です。
原作の併読もおすすめします。

著:武者震之助




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【参考】『殿、利息でござる

 




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7位 ゴツイケメンな幕臣
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