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『光る君へ』感想あらすじレビュー第7回「おかしきことこそ」

藤原忯子の亡骸に抱きつくことすらできず、遺品を手にしてその死を悼む花山天皇

あまりに儚い愛でした。

その頃まひろは月を見ながら考えています。

私は道長様から遠ざからねばならない。そのためには何かをしなければ――これが本作のテーマでもあるのでしょう。

新たに発表されたビジュアルは、まひろと道長が隣り合いながらも視線が合わない「二人」。

そしてまひろが熱心に書きつける「書」です。

愛がなければ女の人生は意味がないのか?

そんなことはない、書くこと、創造がある!

そう突きつけてくるようなドラマです。

忯子は愛を得たけれど、それだけだったとも言える。生きて書くことのできるまひろとは違います。

紫式部を「壁サーの神、最強の同人女」と解釈する見方も今はあるとか。確かにそうかもしれませんね。

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人を殺めることの是非

貴族たちの邸宅に潜入し、盗みを働いた盗賊団は、野原に衣服を置き、民衆たちに分け与えます。

「お天道様のお恵みだ!」

喜ぶ民衆。

金目のものや食糧ではなく、なぜ衣服なのか?と思われるかもしれません。

当時の盗賊はそれが定番。服を盗まれて全裸で怯えていた女房の記録も残されています。

屋内ならばまだしも、屋外で脱がされると季節によっては凍死の危険性すらあった。小判を盗む鼠小僧より、ずっと原始的な時代なのです。

宿直(とのい)の道長は、じっと考え込んでいます。

同僚の宗近が声をかけると、人を射たことが初めてだったそうで。

これまで猪や鳥は射た、狩りは幾度も行った、けれども人となると……そう困惑する道長に、宗近は盗賊は猪や鳥より下だと言い切ります。

その道長に、射られた直秀は矢傷の手入れをしています。熱が出てきたようです。

毒矢かどうか心配されていますが、貴族は用いないとのこと。実践的な由来よりも、神話や精神的な制約があるのでしょう。

この殺傷に対する精神的葛藤があればこそ、道長もいろいろ悩んでいます。心が繊細に描かれたドラマです。

和弓の特徴も影響しているのでしょう。

同じ日本でも、かつての蝦夷地こと北海道のみ【トリカブト毒文化圏】に含まれます。

アイヌのトリカブト毒矢は興味深く、もしもご興味のある方は映画『ゴールデンカムイ』をご覧ください。

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おかしきことこそ――まひろは考えています。

代筆屋の絵師もそんなことを言っていたっけ。そして直秀も。

おかしきものにこそ魂が宿る。下々の者は笑って忘れたいものがある。そう考えを巡らせています。

まひろは考えることで忘れたいのです。

 

祟りが怖いか? そりゃ怖い!

藤原兼家が、安倍晴明と向かい合っています。

詫びることはないのか?と問い詰める。

(藤原忯子の)腹の子だけを殺せばいいのに、女御までオーバーキルしてしまったことにクレームを入れているようでして。

いや、腹の子が流れたら母体にも悪影響が出るでしょうよ!

しかし晴明は、むしろ逆手にとってくる。

腹の子が死ねば皇子は生まれない。そして女御が死ねば失意のあまり政治が乱れる。あるいは別の女にうつつを抜かす。

右大臣にとっては吉、この国にとっても吉兆ではないかと言うのです。

「長い言い訳じゃのう」

怯えを隠す兼家に対し、いずれお分かりになると、不穏な表情の晴明。私を侮れば右大臣一族とて危ういとまで言い切りました。

安倍晴明には彼なりの政治を為すという意識があるのです。

何もかも見通すような晴明に、もったいぶっていると言われ、戸惑う兼家です。

そこへ藤原道長が帰ってきました。兼家はホッとしたようにいたわり、盗賊と渡り合ったことを褒めます。

「されど人を殺めるなよ」

道長に念押ししながら晴明に聞かせるように、人の命をあやつり奪うのは卑き者の仕業であると圧力をかける兼家。

立ち上がり、出て行こうとする晴明に向かい、道長が父の非礼を詫びると、しれっとこう返します。

「道長様、私はお父上とのこういうやりとりが、楽しくてならないのです……」

顔がひきつる道長。微笑む晴明。そして見送りを断ると、その場を去って行くのでした。

この晴明はおもしろい。

妖怪と戦うというよりも、心理戦の達人、揺さぶりの名人です。

晴明からすれば、妊婦が亡くなるくらい想定内といえるかもしれない。どんな呪詛をしたのかわかるのは晴明だけですから。

けれども兼家は怯えている。その怯えにつけ込み、裏の裏をかき、操ることは確かに楽しい。

相手は祟りが怖いから手出しもできない。そりゃあ楽しいでしょうね。

そうはいっても、自分は呪われても跳ね除けるという精神の頑健さが必須ですが。

精神の強弱が今回のテーマかもしれません。

 

臆病な兼家

安倍晴明から暗に脅された藤原兼家はどう感じていたのか。

藤原寧子の隣で就寝中ですが、この時点で兼家は甘ったれモードかもしれない。

当時の寧子は『蜻蛉日記』の筆を置いて十年以上が経過していました。

もう愛欲もない。ドライでサバサバした人生を送っています。

兼家は当然のことながら若い妾もいるけれど、敢えてここは慣れ親しんだ寧子で! ってのは、これはもう完全に甘えでしょうよ。

「寧子、寧子、寧子ぉ!」

叫んで起きる兼家がもう、駄目だ。パニック状態に陥り、寧子に怯えを打ち明けます。

恐ろしい夢を見たのだとか。院にも帝にも女御にも呪われていると慌てています。

「大丈夫、大丈夫、大丈夫……」

と慰める寧子。怖いと怯える兼家。

寧子は大丈夫と言いながら、合間に息子である藤原道綱のことを挟みます。

怖い夢と道綱に何の関係があるのか?と兼家がキョトンとしていると、飄々と答える。

「よいではございませぬか、殿のお子ですよ、道綱も」

はい、何の関係もありませんねー。うろたえている相手につけ込み、我が子を頼み込んでいるだけです。

兼家の怯えとそれをあしらう寧子がお見事。

彼女は若い頃、悶々としていた時よりも、今が一番楽しいのかもしれませんよ。なんという勝ち組女性でしょうか。

自分を散々弄んだクズ男が「ぴえん」しながら甘えてくる。耐え忍んだ甲斐がありますね。

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