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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第7回「おかしきことこそ」】
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為時、間者を辞める
藤原兼家がペットの鶏に餌をあげています。そして藤原為時から帝の様子を聞き出している。
気持ちが弱っている。今日一日伏せっていたと告げる為時。
さらに様子を聞こうとする兼家に対して、為時は詫びながら「もうこれで終わりにして欲しい」と嘆願します。
兼家は意外そうに振り向く。
右大臣の恩義は生涯忘れぬとしながら、このお役目は許して欲しいとのこと。帝の信頼を得ているのに、こんなことはできない。もう許して欲しい。
切々と訴える為時に対し、そんなに辛いとは知らなかったと、兼家はあっさり認めます。
為時が帰宅すると、いとが迎えます。そこには藤原宣孝とまひろがいました。
為時は重荷をおろしたような晴れやかさで、間者を辞めたと告げます。
兼家にねぎらわれながらあっさり認めて貰ったと説明すると、宣孝が怪訝な顔をします。
一度つかんだものをそう簡単に離すものか?
まひろはホッとしています。ようやく正しいことをする父に戻ったと安堵しているのでしょう。
しかし宣孝は「黙れ」といい、次の東宮が即位したら右大臣の世になるのに、東三条から離れてどうするのかと訴える。
それでも父は正しいとまひろは言う。
いとも「もう昔のような苦しい暮らしは嫌だ」として、くどくど訴えてきます。
いくらなんでも、厚かましいようにも思えますが、この邸には妻もいないし、為時にとっては妻のような存在なのかもしれません。
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打毱を見ましょう
源倫子の姫君サロンでは、打毱の話題で盛り上がっていました。
誘われたと笑い合う姫君たち。ちょっとまひろを憐れむように、誘われているのか?と聞いています。
誘われたけれど、行かないと返すまひろ。
「どうして? 行きましょう!」
若い殿方を間近に見る。胸が高鳴る機会なんだとかで、姫たちははしゃいでおります。
「参りましょう! 参りましょう! 参りましょう!」
あまりにもテンション高くはしゃいでいるせいか、そこへやってきた赤染衛門が「うるさい、はしたないことこの上ない」と苛立っています。
しかし倫子はいつものマイペースで、赤染衛門にも行きましょうと微笑む。
うふふふ、うふふ。そう笑いあい、すっかり楽しみにしている姫たちです。
なんでしょうか、この陽キャの祭りは。まひろは辛いかもしれませんね。
そして打毱当日、藤原公任がいらだっています。
藤原行成が遅い――と思ったら、にわかの腹痛で欠席したいと従者の知らせが来ました。
姫君サロンが観客席に向かうと、あの陽キャ女王のききょう(清少納言)も案の定います。
なんでも斉信から「是非に」と招かれたとか。そんなマウンティングにも聞こえる言葉にも、源倫子は余裕の笑みで受け止めています。
それにしても、斉信はどれだけアプローチが熱心なのですか。
赤染衛門は、清原元輔殿の娘と出会えたことを喜んでいます。それだけでなく、あの歌人の娘はどれほどなのかと見定めているように思えます。
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行成が欠席となり、三人でどうすべきか。
貴公子たちがそう悩んでいたところで、道長が突如「最近見つかった弟がいる!」と言いました。
もしもこの会話を藤原寧子が聞いていたら「道綱をぜひ!」とでも訴えていそうですが、そうではない。藤原道綱は道長の兄ですもんね。
来るか来ないか、迷っていたまひろは遅れてやってきました。「漢詩の会」といい、今回といい、一人だけ地味な服装です。
太鼓が鳴らされ、競技開始です。
「いんじゃん!」
掛け声が入り、打毬の説明がナレーションで解説されます。
なんでも紀元前6世紀、ペルシャが発祥とされる競技であり、イギリスのポロよりも何百年も早いとか。
起源は諸説あるようですが、日本の場合は唐由来とされます。
『三国志』の時代、地球は寒冷化していました。
寒さに追われるようにして中国北部へ騎馬民族が入り込んできて、文化を変えていった時代。
魏晋南北朝という長い乱世を経て、中国には北から訪れた異文化が根付きました。
そんな騎馬民族の風習を感じさせる競技です。
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道長が呼んだ代役は、なんと直秀でした。
まひろは倫子の猫・小麻呂を撫でながら、競技を見ています。
打毱は馬に乗り、片手で手綱を持ち、もう片方で杖を持ちながら、馬を走らせなければならない大変なものです。
小道具やロケも大変でしょう。ストーリーの中に「打毱を出す」と決めたことがどれだけ大変だったことか。
このドラマには、その効果が十分にあります。
カメラも良いものを使っていて、ともかく圧巻の美しさと爽快感があります。見ていてよかった。
リーダーシップのある藤原公任の策の通り、よい勝負になったとのこと。
「漢詩の会」で貞観の治を持ちだすあたり、公任は揺るぎない自信と上に立つ者の自覚があるようです。カリスマのある、天性の仕切り屋ですね。
雨が降り、逃げ出してしまった小麻呂を、まひろが探しに行くのでした。
平安の「ロッカールームトーク」
小麻呂を探していたまひろは、選手のロッカールーム裏に入り込んでしまいます。
中で誰がどんな話をしているか。
立ち聞きができる場所であり、急遽参加した直秀が杖の振り方を褒められていると、話は観客の姫たちのことへ。
藤原斉信は「漢詩の会」で見かけたききょうを呼び出していました。しかしそれだけではまずいので、為時の娘=まひろも一応呼んだそうです。
「あれは地味でつまらん」
そう切り捨てる藤原公任。斉信もあれじゃないとあっさり続きます。
斉信は倫子を狙っていたのではないか?と公任が聞くと、実物を見たらもっさりしていて好みでないと答える斉信。
今はともかく、ききょう!
そう断言します。
公任は、付き合う女は為時の娘みたいな邪魔にならんのがいいという。身分が低いならば遊び相手になると、公任と斉信はここで意見が一致しました。
「大事なのは恋とか愛とかじゃない」とキッパリ。
いいところの姫の婿となって、娘を産ませ、入内させることこそ家の繁栄。女こそ家柄。
そうしておいて、あとは好いた女子に通えばよいとのことです。公任は、そもそもききょうは人妻と言います。
「そうなの?」
「知らなかったのかよ!」
そう言い合う斉信と公任の、なんてゲスなことよ……。
これぞ平安ロッカールームトーク――なんて地獄みがあるのだ!
「ロッカールームトーク」は、トランプの発言で有名になりました。
「男の子同士が、更衣室で、やらかすような話で、深い意味ないヨ〜^ ^」
こういう話ですが、そんな言い訳は通じませんよ。
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結局、あの打毱も、この下劣トークの前振りかと思うとおそろしいものを感じさせます。
しかも、ちゃんと当時の価値観を反映させながら、その上で、当事者は胸が傷ついてズタズタになったことを描いてくる。これぞ匠の技でしょう。
千年前のことがギューンと迫ってきて現代人の胸も抉る。
そんな瞬間がこのドラマにはいくつもあって、しかもそれは『源氏物語』と通じることでもある。なんて贅沢な時間なのでしょうか。
そうそう、斉信のストーキングのせいで、ききょうは元夫と絶縁するんですよね。
斉信はききょうの元夫・橘則光に「お前の妻はどこだ?」としつこく問いかけます。
すると則光は嘘をついてはぐらかすうちに、苦しくなってきてその場にあったワカメを掴んで口に入れてしまう。
斉信は、さすがに「なにこいつ?」となったのか、退散!
それでもしつこい斉信がまたきた時、則光は妻に「どうしよう」と手紙を送ります。
「ワカメの時と同じにして!」
そう意味を込めてワカメを送るも、通じず……「なんでワカメを送ってくるの?」と返ってくる始末。
ヤバいな。こんな鈍感男だから別れたんだった、やってられん!ということで絶縁してしまったんだとか。
元夫婦をぶち壊す斉信の迷惑ぶりがどこまで描かれるのか、今後も注目ですね。
しかし、ききょうと違い、真面目なまひろは心にこのやりとりが突き刺さりました。
ついでに呼ばれただけ!
地味。つまらん。身分は低いから遊んでもいいかな。結局、女は家柄だ――そんな本音を聞かされてどうしろというのか?
雨の中を駆け抜けるまひろ。
小麻呂はどこかで保護されたことを願いましょう。
家に戻ったまひろは、道長の文に火をつけ、焼き捨ててしまいます。
一方、道長は直秀の腕に矢傷があることに気づいてしまいます。直秀の正体を悟ってしまったようです。
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