救貧法

新救貧法(1834年)によって批判された懲治院の実態を示したパンフレット/wikipediaより引用

イギリス

人がゴミのようだ!った英国「救貧法」地獄のブラック労働とは?

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煙突掃除人:詰まって死ぬ、転落して死ぬ、呼吸器やられて死ぬ

きつさ:★★★★★
汚さ:★★★★★
危険度:★★★★★

暖炉というのは心も体も温まるものですよね。ただ、それには煙突を掃除しなければいけないわけです。

煙突は狭い。ゆえに、体が小さい子供がうってつけ。身よりのない孤児やストリートチルドレンが清掃業者に拾われて、この仕事に就かせられます。

体が成長したら煙突に入りにくくなりますから、こうした子供たちは最低限の食事だけを与えられて、やせこけていました。

煙突に挟まって死ぬ。

煙突内を転落して死ぬ。

運良く事故にあわなくても煤を吸い込みすぎて呼吸器系をやられて死ぬ。

まず長生きはできない職業でした。

海軍少年水兵の方が煙突掃除の少年よりはマシ――当時の人がそう考えた理由もわかる気がします。

この状況を見て、イギリス人が心を痛めなかったわけではありません。

善意から煙突ではなく戦艦に子供を送り込む運動をした人もいますし(おいっ!)、批判的な文章を発表した人もいました。

ヴィクトリア朝初期の1840年には21歳以下の煙突掃除人が禁止されました。

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マッチ工:毒煙を浴び続けるイギリス版「女工哀史」

きつさ:★★★★★
汚さ:★★★☆☆
危険度:★★★★★

昔のマッチは有害物質の「黄リン」を用いることがありました。

黄リンマッチは発火点が低いため容易に点火できるメリットがあるものの、そのため事故が発生しやすく危険だったのです。

ゆえに他国では禁止されながら、イギリスでは商業の発展を損なうおそれがあるとして、しばらくの間、認可されていました。

黄リンを燃やすと有害な煙が発生します。

マッチで煙草に火をつけるくらいならば問題はないかもしれませんが、長時間黄リンが燃える煙にあたり続けるマッチ工にとっては別です。

煙にあたり続けると中毒症状を起こし、下あごの骨が壊死。

週に5日、最低でも10時間、最大14時間、安い給料で工場労働者は酷使され、毒煙を浴び続けました。しかも遅刻ならまだしも、私語が発覚するだけで罰金を取られます。

こうしたマッチ工の多くは若い女性を雇っていました。

彼女らはつらい職場でもそれなりにおしゃれを楽しみ、カラフルな服装で働いていました。

そんな彼女らが、労働の副作用として下あごの骨を壊死させていたのかと思うとぞっとせずにはいられません。

では、最後に「救貧院」も見ておきましょう。

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