タイタニック号の描写で良く出てくるのが、金を渡して救命艇に乗ろうとする輩。
ディカプリオ映画でも、そんなくだりがあったかと記憶します。
実はこれ、モデルとなった貴族夫妻がいます。
気の毒な事に全くの事実誤認でして、事故後に生き残った夫人が、こうした誹謗に対して怒りをしたためた手紙がオークションにかけられたことがありました(リバプール・エコー紙)。
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准男爵夫人「酷いったらありゃしないわ」
怒りの手紙を書いたのはルシール・ゴードン。
旦那さんのコズモ・ダフ・ゴードンは准男爵なので、貴族夫人となります。
で、この旦那さんともどもタイタニック号に乗り込み、例の大事故に遭遇するのですが、このとき乗り込んだ救命艇には収容の余地があったのに、乗組員に「転覆してしまったらどうする」と言いつけて、事故現場で溺れる人を見捨てさせたとされています。
何度となくこのネタは使われ、1997年の映画「タイタニック」でも出てきますし、2012年に英国のITVで制作されたミニシリーズでも取りあげられました。
しかし「そんな事はなかった!」というのです。
当事者にしたら、そりゃ怒り心頭でしょう。
1912年5月27日付けで3枚に渡る手紙を書き残しているのです。
よほど腹に据えかね、こんな文章がしたためられておりました。
「私達が助かった事についてニューヨークから嬉しいとの電報を送って頂くなんて、貴方は何て親切な方なのかしら。
帰路の際に英国に受けた待遇は、とてもじゃないけど、まともじゃなかったのよ!!!!
酷いったらありゃしないわ」
ビックリマーク、なんぼ付けてまんねん、奥さん。
新聞には「マネーボート」と書かれ
事故原因の調査はアメリカで先に行われました。
その後、1912年の5月2日から7月12日にかけて、英国でも事故調査委員会が開かれ、ナイツブリッジの自宅にも調査員が訪れていました。
文面はこんな筆跡です。
心無しか、筆跡が乱れている気が……。
「心底ウンザリなの」って感じですね。
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