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ジル・ド・レ/wikipediaより引用

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フランス

レジェンド級の鬼畜貴族ジル・ド・レ 聖人ジャンヌ・ダルクの戦友は、狂気の大量殺人鬼となった

投稿日:

中世フランスのシリアルキラー ジル・ド・レ

領民を城に監禁し、いためつけて悲鳴を聞きながらワインを嗜む――。

フィクション作品では度々見かける残酷シーン。
実際のところ、我々が想像するほど数多く存在したわけではありませんが、確かにこの手の狂人はおりました。

絶大な権力を持つ者に「殺人嗜好」が備わっていると、犯行をなかなか裁けないという構造的問題がどうしても避けられないものです。
特に「人の命が軽かった中世」は、領民を遊び半分で殺してしまうような愚かな連中がおり、彼らには人権などという概念は微塵もありませんでした。

そしてそんな鬼畜貴族の中には、レジェンド級のシリアルキラーが存在します。

西の横綱とも言えるのが、フランスのジル・ド・レ(1405-1440年)。

フィクションでもよく見かける彼は、実際にどれほど酷いことをしたのか?
後学のためにおさらいしたいと思います。

 

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両親死して、問題ありの祖父に育てられた

ジル・ド・レは当初、洗練された教養と知性の持ち主でした。
粗野な騎士も多かった当時において、音楽、文芸、美術のパトロンとなり、信仰心に篤く、慈善事業にも尽くす――。
それはもう立派なご領収様とみなされていたのです。

幼き頃を振り返ってみれば、フランス屈指の名門貴族の家に生まれ、まさに御曹司と呼ぶに相応しい存在。
賢く文学が好きな少年に育ちました。

しかし、父母が相次いで世を去り、孤児になってしまうと徐々におかしくなって参ります。
幼いジルと弟を引き取ったのが、母方の祖父ジャン・ド・クラン。
この祖父が、なかなか問題のある性格だったのです。

祖父のもとで、ジルは家庭教師から引き離され、甘やかされ放題に育ちました。
彼は、16歳で領主の娘と結婚するのですが、そもそもこの花嫁は誘拐されてきた娘でありまして。
既成事実を作る……つまり暴行による婚姻を成立させたのですね。政略結婚による領土拡張を企む祖父の計略だとか、ジル自身の意志によるものだったのか、諸説ありますが、極悪非道であることだけは間違いありません。

ただし、この頃はまだ、後述するような狂気の行状には至っておりません。

 

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戦友ジャンヌ・ダルクと出会い、救国の英雄となる!

ジルは1425年頃、貴族として、そして軍人としてデビューを飾ります。

当時、祖国フランスはイギリスとの間において百年戦争の真っ最中。宮廷では陰謀が渦巻き、国土は荒廃している大変な時代です。
指揮官として戦場に赴いたジルは、その勇敢さで一目置かれるようになりました。

1429年、ジルは救国の乙女ことジャンヌ・ダルクと出会います。
信仰心の篤いジルは、きっと彼女に感銘を受けたことでしょう。彼はジャンヌとともに、オルレアン包囲戦等で果敢に戦い抜きます。

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そしてその勇猛さと戦功を称えられ、シャルル7世の戴冠式にも列席する名誉を与えられました。
式において、ジルはフランス元帥に任命され、家紋には王家の百合が加えられたのです。

まさに救国の英雄でした。

しかし1431年、戦友ジャンヌが敵の手に落ちてしまいます。
ジルも彼女を助けようとしましたが、願い叶わず。彼女のおかげで窮地を脱したシャルル七世も恩人を見捨ててしまいます。

ジャンヌ・ダルクは火刑台に上り、若い命を奪われました。

さらにその翌年、ジルの人生に影響を及ぼしていた祖父も死去。
この頃からジルに異変が生じます。

領地に引きこもり、かつての勇敢な軍人とはほど遠い、自堕落な生活を送るようになるのでした。

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「悪魔に子供を捧げれば、失った財産を取り戻せますよ」

ジルは、フランス西部ナント近郊に位置するティフォージュ城に引きこもりました。

芸術には理解があるせいか、使用人を着飾らせ、美しい歌声を響かせる聖歌隊を作り、その豪華な制服をデザインします。
フランス屈指の資産家であったジルは、潤沢な資産をこうした浪費によって溶かすのです。

やがてジルは黒魔術にのめり込むようになりました。

戦友ジャンヌを奪った世間に対し絶望し、黒魔術に救いを求めたのか。
失った財産を錬金術で取り戻そうとしたのか。
はたまた祖父譲りの邪悪な魂が目覚めてしまったのか。

理由は定かではありませんが、心を奪われていったのは間違いありません。

そして……。
「悪魔に子供を捧げれば、失った財産を取り戻せますよ……」
黒魔術師からそんなことを吹き込まれたジルは、ついに殺人に手を出すのです。

 

芸術的センスは歪んだ方面に発揮され、殺人をも絢爛に演出

最初の殺人は、1432年から33年の春にかけてのことでした。
城に使いとして来た12歳の少年を手に掛けます。

その後もジルは、少年少女を殺し続けますが、主に対象となったのは少年で、犠牲者は性的な虐待まで加えられたのです。

やり口は変態そのもの。
犠牲者を着飾らせ、豪華な食事を与え、油断しきったところを愛撫し、そして殺す――。
彼の芸術的センスは歪んだ方面に発揮され、殺人をも絢爛に演出したのでした。

「城に出かけた子供たちが戻って来ないぞ……」
やがてティフォージュ城の近辺には恐ろしい噂が流れ始めました。
殺された子供たちの親は衝撃と失意に苛まされますが、しかし誰も領主のジルを疑いません。

ティフォージュ城/wikipediaより引用

高い地位にある誇り高き騎士。教養に溢れ芸術的センスに恵まれた超人。しかも戦争で活躍した救国の英雄です。
まさか彼が破廉恥な所業を行っているということは、人々にとって信じられないことでした。

悪い噂は全て、ご領主様を妬んだ者による中傷だろう。
それが人々の出した結論だったのです。

 

黒魔術が行われた痕跡、悪魔崇拝、男色の証拠が次々と

1440年5月15日、ジルは決定的なミスを犯しました。

城の所有権をめぐって僧侶と争いになり、相手を誘拐した挙げ句、幽閉したのです。
あまりに乱暴な行動に世間も黙ってはいられません。ナント司教はジルの素行調査に乗り出しました。

城を調査した結果、衝撃の事実が明らかになりました。

城からは、
着衣のない50名もの幼い少年の遺体
黒魔術が行われた痕跡
悪魔崇拝
男色
異端
背教
涜神の証拠
が発見されました。

それだけではありません。
さらに80人から200人もの少年が、拷問殺人の犠牲になり、手足と頭部を切断されていたことも発覚。
しかも、気に入った首を選ぶため、側近に並べさせていた事実も明らかになりました。狂気というほかありません。

法廷に引き出されたジルは、救国の英雄として堂々たる態度を見せ、裁判官を罵ったかと思うと、次の瞬間には自分は敬虔なキリスト教徒だと訴え、泣き崩れるという、まるで違う態度を見せました。
一貫していたのは「性的快楽のため少年たちを嬲り殺しにしていた」という狂った主張だけです。

戦争で荒廃した世界に暮らす当時の人々にとって、血腥い話は確かに身の回りに溢れてはおりました。
が、それでもジルの告白は暴力的過ぎて衝撃が強く、聞く者は顔を背け、顔面からは血の気が失せるほかありません。
一部の証言はあまりの残虐さのため、裁判記録から削除されたほどです。

そして同年10月26日、ジルは貴族にとっては不名誉な絞首刑に処されました。

救国の英雄が何故こんなことになってしまったのか。人々はそう嘆きました。

生まれつき残酷な面があったのか。幼い頃、祖父に性格を歪められたせいか。戦場で血と暴力を経験してしまったせいか。ジャンヌ・ダルクの処刑に絶望したのか。
それはおぞましくも悲しい、英雄の失墜でした。

ジル・ド・レの処刑を描いた絵/wikipediaより引用

 

ジャンヌ・ダルクの死を理由にしてよいものか

救国の英雄から一転し、鬼畜変態貴族・西の横綱級にまで墜ちたジル・ド・レ。
まるで堕天使のようなその生き様は、人々に衝撃とインスピレーションを与えます。

花嫁をたて続けに殺していたという童話「青髭」のモデルともされ、『悪徳の栄え』の作者であるマルキ・ド・サドはジルにあこがれていたと言われます。

そしてジルは、百年戦争を舞台としたフィクションには必ずといっていいほど登場します。
最近では漫画『ドリフターズ』や、ゲーム『Fate』シリーズにも出ておりましたね。

こうしたフィクションでは、ジルが堕落した理由についても描かれることがあり、ジャンヌ・ダルクの死にショックを受けたという説が多いようです。

ジャンヌからすれば「人のせいにしないでよ!」と強固に主張したいのではないでしょうか。

文:小檜山青

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