脱走用に掘られた穴が/エクスプレス紙より引用

ドイツ

ドイツ兵捕虜が映画さながらに大脱走! 第二次世界大戦末期に起きたホントの話

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ヤバイ! 軍需工場が破壊されるかも!!

さて、BBCが検証報道をしたところでは、当時の治安関係者は、ある事態を想定して青ざめたそうです。

そう、最初にも書きましたが、ここは元軍需工場の女性労働者の保養所。

その軍需工場が当時も稼働していたのです。

そうなると誰もが考えるのがこうですよね。

「ヤバイ! 工場が破壊されるかも!!」

もっとも、脱走兵らは工場には目もくれませんでした。

複数のグループに分かれて行動したのですが、その1つはハンス・ハルズハイムという歩兵が指揮を取り、現場近くで医師が保有していたオースティン10という車を盗みました。

検問にも引っかかったものの、脱走を知らなかった非番の看守に通行を許されたとの事ですから、ラッキーだったのですね。

ここらが映画『大脱走』との違いでしょうか。

グループが目指したのは、ロンドン郊外のクロイドン飛行場。車に乗っていた兵士の一人がパイロットだったので、飛行機を盗んで祖国に戻ろうと思い立ったのです。ここらも映画『大脱走』を彷彿させますね。

ただ、映画との違いは、飛行機が盗み出せなかった事でしょう。

途中で車がガソリン切れとなり、グロチェスターという場所近くで動けなくなってしまったのです。

それでも諦められなかったのか、ノルウェー人のふりをしてバーミンガム郊外まで列車で移動しますが、とうとうそこで運が尽きて捕まってしまいました。

 


やはり映画と同様 うまく行かず

他のグループも、途中まではうまく行ったものの、結局は似たような運命を辿りました。

ある脱走兵2人はブリッドジェンドから8マイル離れたところで、警察に御用。下着に地図を隠していたのが決め手となりました。

別のグループは、アクセントを不審がられて通報されてしまい、お縄となっています。

一番遠くまで逃げたのはサウサンプトンで、こちらも1週間後に逮捕されました。

これでめでたしめでたしかと思いきや、尾ひれがついた噂が英国中を駆け巡ります。

曰く、政府が隠蔽工作をしているぞ、数百人がドイツに戻ったらしいぞ、などなど。

「治安当局は何をしていたんだ」との非難も上がりました。

事件後に、収容所は閉鎖され、捕虜はノッティンガムシャーの別の収容所に移送されます。

その中には逮捕後に連れ戻された捕虜2人がいたそうですが、その1人は「良いスポーツとなった」と嘯いたと伝えられています。

英国側に大恥をかかせたという点では、一定の目的を達成した格好となったようです。

 


恥ずかしかったのか……英国サイドに戦後の記録は無く

こうした事実は、今回の報道まで待たなければならなかった模様。英国政府が恥と思ったらしく、戦後の記録らしき記録が残ってなかったからです。

ちなみに映画『大脱走』の方は記録がきっちり残っています。

ベルリン郊外のスタラグ・ルフトIIIという捕虜収容所からの脱走だった事や、50人の捕虜が見せしめのために射殺されたなどが判明しています。

なお、ブリッジビルドの収容所は、戦後もう1度活用されます。

今度はニュルンベルグ裁判の被告席に立たされるナチス高官用の収容所としてリフォームされたのです。

もちろん、今度は厳重な警戒態勢が取られました。

やがて1990年代に撤去されました。

ハット9だけが、当時を偲んで残され、今も年に2回公開されているそうです。壁にはドイツ兵の残した落書きも保存されているのですって。

ちなみに、トンネルの方は一般公開せず。

頑丈に作られているものの、万が一を恐れての措置だそうです。

当時のドイツの技術の高さに専門家は驚いていたそうですから、一度は見てみたい気もしますが……。


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南如水・記

【参考】
エクスプレス紙(→link
映画『大脱走』(→amazon

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