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【アレクサンドル・デュマ(大デュマ)】
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作品と女性関係と出費が増えに増え
筆がノッてきたのでしょう。デュマは1830年代だけでも以下のような作品を発表しています。
『ナポレオン・ボナパルト』
『アントニー』
『リシャール・ダルラントン』
『ネールの塔』
『キーン』
多作ぶりにも驚きますが、この間の女性関係がまたスゴイ。
マリ・カトリーヌ・ラベーという女性と親しくなって、のちの小デュマ(デュマ=フィス)をもうけたのが1824年。
1827年にはメラニー・バルドールという女性と不倫しています。
エネルギッシュにもほどがあるというか、なんというか。
前述の「アントニー」は不倫が大きなテーマとなっているのですが、この流れからすると「不倫をリアルに描くために、わざわざ不倫を体験したのでは」という気がしないでもないですね。
この後、フランスでは1830年、ルイ18世への反感から七月革命が勃発。
デュマは革命派の代表だったラファイエットに弾薬を提供し、感謝されたとされています。
なんでも、デュマの故郷の村に国王軍の弾薬庫があったのを思い出して、そこから弾薬を持ってきたのだとか。
革命の結果、デュマの雇い主だったオルレアン公が王位につき、ルイ・フィリップ王となっていますが、デュマはこの恩恵は受けられていません。
同時期に『アントニー』がヒットしたため、公職が得られなくても収入は充分だったでしょう。
革命翌年の1831年には、メラニーとの間にアレクサンドリーヌという娘を授かりました。
これによってますますお金が必要になったデュマですが、さらにイダ・フェリエという若い女優に手を出し、愛人として公の場に連れ回すようになります。
デュマのやってることも常軌を逸しますが、イダも負けていません。
・デュマの妻の座をもぎ取った上で
・イタリア貴族の男性と同棲し
・後々デュマから慰謝料をもぎ取って離婚する
凄まじいことをやってのけているのは、似た者夫婦だったからですかね。
しかもデュマと来たら、交際と別れを繰り返すのではなく、全ての女性と同時進行で付き合っていました。
さらにフランスやベルギー、ロシアなどから勲章をかき集めて、そのためにお金を惜しみませんでした。
こんな状況が続けば、お金をいくら稼いでも足りなくなるのは当たり前。
デュマは新たな収入を得るべく、小説の仕事も始めました。
その時期に出会ったのが、オーギュスト・マケという人物です。
マケとの共作『三銃士』がバカ売れ
マケはもともと歴史の教師をやっていた人で、フランス史の知識を豊富に持っていました。
教職が合わず、筆で食べていこうと決意したものの、鳴かず飛ばず。
そこでマケは、デュマの力を借りて自分の作品を世に出したいと思い、人づてに手直しを頼んだのです。
デュマは学校に行ったことがなかったので、彼にとってマケの知識は願ったり叶ったりでした。
手直しと劇場への斡旋を引き受け、共作相手としてマケを重用していきます。
デュマの代表作である『三銃士』も、このマケが原稿を持ち込み、デュマが加筆修正したもの。
この時期には識字率も上がり、新聞の連載小説が幅広い層に読まれるようになっていたことも『三銃士』にとっては幸運でした。
物語の主人公であるダルタニアン、そして『三銃士』のベースとなったのは実在した貴族シャルル・ド・バツ=カステルモールという人の回想録です。
ほとんどが創作、かつカステルモールが書いたものではないとされていますが、小説のネタにする上では史実かどうかはあまり重要ではありません。
1844年3月14日~7月14日まで連載された『三銃士』は瞬く間に世間の注目を集め、単行本も爆発的な売上を記録。
初版は全8巻で現代の日本円にしておよそ7万円とされていますので、決して安いものではありません。
それでも売れに売れ、印税は推定2億円という売れっぷりですから、デュマとマケは笑いが止まらなかったことでしょう。
こうして連載小説でも巨匠とみなされたデュマのもとには、あっちこっちの新聞社から依頼が入るようになります。
『モンテ・クリスト伯』
『マルゴ王妃』
三銃士の後日譚『二十年後』
『赤い館の騎士』
『モンソローの奥方』
三銃士の完結編『ブラジュロンヌ子爵』
凄まじい分量ですね。本人曰く「一日12~14時間仕事をしている」とのことなので、
書く
↓
収入を得られる
↓
モチベーションが高まる
↓
さらに書く
↓
以下ループ
という感じで、アドレナリンが出まくっていたのかもしれません。
収入と名声がうなぎのぼりになったのは言わずもがなですが、一方、ここまでの成功者になるとやっかみも買うもの。
特にデュマに仕事を取られた他の作家たちは面白くなく、強烈なアンチ本を書く人まで出る始末でした。
デュマはアンチ本に激怒し、著者に対して裁判を起こして勝利を収めています。
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