衝撃的な擬音とともに頁いっぱいにあらわれるのは、肌もあらわな若い女。
手を縛られた彼女の胸に、ナイフが突き立てられる。
「血は生命なり!」」
不気味な仮面をつけた男は血を浴びて吸い取り、儀式は最高潮の盛り上がりを迎えた。
ウオオオオオオオーッ!
「族長(オサ)!」
「族長(オサ)!」
「族長(オサ)!」
西暦12世紀から16世紀にかけ メキシコ中央部に強大で勇猛な王国があった!
国家的規模のすさまじい生贄と人肉喰いの儀式が伴うこの文化!
その名を太陽の民「アステカ」という――。
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荒木飛呂彦氏の国民的マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』(→amazon)。
その第一部は、アステカ族の遺した秘宝「石仮面」をめぐり、主人公ジョナサン・ジョースターと宿敵ディオ・ブランドーの死闘を描く物語です。
人が顔に被ると吸血鬼になってしまうという「石仮面」は、もちろん想像の産物にしても……。
【西暦12世紀から16世紀にかけ、メキシコ中央部に強大で勇猛な王国があった!】
【国家的規模のすさまじい生贄と人肉喰いの儀式が伴うこの文化!】
そんな話は本当なのでしょうか?
今回は中南米大陸、特にアステカ文明と生贄儀式について迫ってみたいと思います。
なお、『ジョジョの奇妙な冒険』って実は歴史漫画だよね? という考察は以下の記事にございますので、よろしければ併せて御覧ください。
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『ジョジョの奇妙な冒険』の歴史的背景が奥深い~荒木飛呂彦の凄さよ
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「国家的規模の生贄と人肉喰いの儀式」とは?
犠牲者を生きたま犠牲にする――。
アステカの生贄儀式といえば、前述の『ジョジョの奇妙な冒険』のように、そんなイメージがあります。
例えば、肋骨を切り裂き、体内から取り出された犠牲者の脈打つ心臓を、神官がうやうやしく掲げる。
一般的には、そんな映像を想像されるのではないでしょうか。
こうした生贄の儀式は神事ですので、捧げられる神によって様式も異なります。
以下に簡単にまとめてみました。
刺激的な表現ですのでこれから先の閲覧は、各自のご判断に委ねさせていただきます。
「太陽神・軍神・狩猟神 ウィツィロポチトリ」
◆夜を打ち破り、朝の光をもたらす戦士の神
犠牲者:麻薬を投与された捕虜
手段:黒曜石のナイフで胸部を切り裂き、心臓を取り出して焼く
処理:死体は階段の下に突き落とされ、関節から解体される。捕虜の所有者が最上級の部位を手に入れる。残りはシチューとして振る舞われ、骨は動物の餌になる
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