1460年(日本では室町時代・寛正元年)11月13日は、ポルトガルのエンリケ航海王子が亡くなった日です。
応仁の乱(1467年)が起きるちょっと前くらいですね。
彼の名は大航海時代のことを習うときに必ず出て来ますし、「航海王子」という他にない二つ名が付いているおかげで、世界史の中では割と有名な人でしょうか。
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若いころはイスラム勢力との戦いにも参加
彼の幼い頃のことはハッキリわかっていません。
生涯を見ていると「第五子・三男という立場だったため、王位には関わらず好きなことができた」ような感じがします。
とはいってもワガママ放題というわけではなく、若いころはイスラム勢力との戦いにも参加していました。
当時のポルトガルでは、お隣のスペインより先にルコンキシュタ(レコンキスタ・国土回復運動)が終わっていたのですが、なんせ海を越えてすぐなので、領土を取り返したからといって戦いが終わったわけではなかったのです。
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そのため、父王・ジョアン1世の命で北アフリカ北岸の都市・セウタを攻略しました。
この戦の中でキャラバンと交易をし、「アジアもしくはアフリカに、キリスト教の国がある」という伝説を聞いたことで、未知の世界に対して強く興味を持ったようです。
中間業者を挟まず金や香辛料を手に入れられれば、莫大な富を生みますからね。
また「同じキリスト教国が見つかれば、同盟を組んでイスラム勢力を挟み撃ちできる」とも考えていたようです。
こうしてエンリケは、航海や探検に力を入れるようになっていきます。
当時のヨーロッパは天動説 端っこに行くと落っこちるどー!
自身は船酔いがひどくて実際に渡航することはほとんどありませんでした。
その分、惜しみなく金を使って船団を組ませ、探検や地図の作成を行わせることに生涯を注ぎます。
現在もポルトガル領になっているマデイラ諸島・アゾレス諸島・カナリア諸島などは、エンリケが派遣した船乗りたちが発見したものです。
いずれも美しい島として知られており、保養・観光のために多くの人が訪れています。
アゾレス諸島には世界遺産となった照葉樹林もありますね。
しかし、その先へ行くとなると、大きな障害がありました。
当時、ヨーロッパは天動説が主流だったからです。
つまり、海には果てがあり、端っこまで行くと落っこちてしまうという迷信が広く信じられていました。
また、「アフリカのボハドル岬から先は、皮膚が燃えるような灼熱の世界で、海も荒れており、行ったら二度と帰って来られない」ともいわれていたことが拍車をかけています。
グーグルマップ先生だと多分「Boujdour」という町の周辺だと思われます。
なんでこんな位置も岬としてもビミョーなところが基準になったのかわかりませんが、おそらく「この先に行く」と言って帰ってこなかった人がいたのでしょう。
サハラ砂漠の西端でもありますので、「灼熱の世界」というのはあながち迷信でもありませんしね。
海の色はものすごく綺麗なんですけども。
余談ですが、サハラ砂漠の面積はアメリカ合衆国よりやや狭い&富士山とだいたい同じくらいの高さの山があるそうで。へぇへぇへぇ。
そんな広大で厳しい土地の先なんて、当時の人々からすれば、そりゃ生きて帰ってこられないと思いますよね。
軍事的な権力を失うも内政面ではヤリ手だった!?
こういった理由で、当時の船乗りたちは一定範囲でしか航海をしませんでした。
エンリケはこの迷信を打ち砕くべく、1422年ごろから何度も船を送り、ほぼ同じ分だけの失敗もしました。
やっと成功したのは1434年のことです。
しかし、冒険に執心しすぎた結果、エンリケの軍事能力は地に落ちてしまっていました。
北アフリカ・タンジールでイスラム勢力と戦った時、弟のフェルナンド王子を人質に取られてしまったのです。
しかも、彼は亡くなるまでポルトガルに帰ってこられませんでした。
もともとエンリケが無理やり始めた戦だったので、これを機に軍事的な権力をほとんど失ってしまっています。
探検も引き続き取り組みましたが、兄王であるドゥアルテが早くに亡くなったため、その子であるアフォンソ5世を守り立てて内政も行いました。
軍事で失脚しかけた人が内政に関われるというのはなかなか不思議なものですが、現在でも欧米圏だと「一つ二つくらい過失があったところで、きちんと仕事ができれば問題ない」という考えが強い気がしますので、たぶんそんな感じの理由なんでしょうね。
「こまけえこたあいいんだよ」を地で行くラテン民族の国ですし。
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