夏目漱石の先祖は三河武士! しかも三方原の戦いで家康の身代わりで死んだって!?

 

「蛙の子は蛙」「鳶が鷹を生む」ということわざが両方成り立っているように、血が繋がっていて同じくらい優秀だからといって、必ずしも同じ分野のことが得意とは限りませんよね。
親子や祖父母と孫、兄弟くらいに血が近ければまた話は別ですが、何百年も続いているような家だといつの間にか全く逆のことが得意になっていることもあります。

元亀三年(1573年)の12月22日に討死した、夏目吉信の子孫はまさにその典型例です。名字からすでに見当のついた方も多いかと思いますが、夏目漱石のご先祖様です。
「漱石の先祖なら文人じゃないの?何で討死?」と疑問を感じた方もいらっしゃいそうですので、さっそく本題に移っていきましょう。

 

家康には忠実ながら一向一揆では反目

夏目家は古くから松平家に仕えた家柄で、吉信も先祖と同じく、当主・家康に従っていました。
が、家康のトラウマその1・三河一向一揆(過去記事:「雨降って犬育つ」(家康談) 徳川家臣団を分断した三河一向一揆の結末【その日、歴史が動いた】)のときには一揆側につき、すんでのところで許されています。彼だけが不誠実だったわけではなく、一向一揆には先祖代々の家臣すら動かす力があったということですね。
吉信は一揆より前に命がけで家康を守ったこともありますから、決して軽率な心変わりではありませんでした。これじゃ家康が一向宗(浄土真宗)なりキリスト教なり、宗教に厳しい対応を取るようになったのも当然のことですね。

そしてそれから十年後、家康のトラウマその2かつNo1こと三方ヶ原の戦い(過去記事:家康が若気の至りでunko漏らして惨敗 三方ヶ原の戦い【その日、歴史が動いた】)が起きます。
信玄としては「ちょっと通りますよ(戦れるもんなら戦ってみやがれw)」程度の気分だったでしょうが、家康は「ウチのシマを黙って通してたまるか!」と家臣たちが反対するのも聞かずに応戦を決めてしまったアレです。

unkoを漏らし、苦悶の表情を浮かべるところをわざわざ絵師に描かせたという/Wikipediaより引用

unkoを漏らし、苦悶の表情を浮かべるところをわざわざ絵師に描かせたという/Wikipediaより引用

 

鎧兜や旗があれば「俺が大将だ!」でごまかせた

結果は皆さんご存知の通り、家康側の惨敗。ヤケになった若き日(当社比)の狸は自ら突撃をキメて玉砕しようとしましたが、それを止めた家臣がたくさんいました。

その一人が吉信で、彼は家康の兜と馬をぶんどって自ら身につけ、身代わりに武田軍のど真ん中に飛び込むというハリウッドばりのアクションをやってのけました。
戦の最中ではいちいち顔を確認しているヒマはありませんから、兜や鎧、旗、馬といった装備品の類で個人を見分けていたので、これらさえあれば「俺が大将だ!!」と騙ることは難しくなかったのです。
自ら名乗り出てきた”家康”に対し、当然のことながら武田軍は殺到。結果までハリウッドのお約束通りとはいかず、吉信は見事討死して果てたのです。

しかし、彼は既に跡取りとなる男子を複数得ていたので、夏目家の血が絶えることはありませんでした。そして約300年後、彼の血筋から明治きっての大文豪、夏目漱石が生まれるのです。
「武士の末裔が文人になっている」というのはちょっと奇妙に感じられるかもしれませんが、江戸時代があれほど長かったため、ほとんどの武士は武道よりも政治や文化を重んじるようになっており、夏目家だけが軟弱だったわけではないのです。

ちなみに、現代でも漱石の孫に当たる房之介氏が漫画批評などでご活躍されています。他にも文化面で活躍されている方が多いので、もし吉信もその方面に興味を示していたら、また違った意味で名を残していたかもしれませんね。

 

信玄の家庭教師・板垣信方は、あの板垣退助のご先祖様!?

夏目家と似た例では、板垣退助とそのご先祖・板垣信方が挙げられます。

信方は信玄とそのトーチャン・信虎の二代に仕えた武士で、彼もまた戦で命を落としています。あのすごいヒゲの人のご先祖が武士だったというのは、ちょっと想像付きませんよね。

自由民権運動では「板垣死すとも・・・」の名言でお馴染み/Wikipediaより引用

自由民権運動では「板垣死すとも・・・」の名言でお馴染み/Wikipediaより引用

大場快先生の「殿といっしょ」ではこのネタを見事回収し、退助そっくりに描かれていて笑えました。現実的に考えると、兜がつけづらくなるので実際の本人はあれほどヒゲ長くしてなかったと思いますが、殿いつなら大丈夫だ問題ない。

家柄が全てではないですけども、こんな風に歴史に名を残している人物同士に血縁があるということは、やはり優れた血というか遺伝子は受け継がれるものなんですねぇ。
仮にそれを持っていてたとしも活かしきれるとは限りませんけれど。

 

長月 七紀・記

参考:夏目吉信/Wikipedia

 

 


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