67歳で藩主に返り咲いた丹羽長国 明治維新の荒波に揉まれたご隠居様の憂鬱

 

「ご隠居」といえば、一仕事終えて縁側で日向ぼっこをし、悠々自適に過ごしているご老人……という雰囲気が漂いますよね。
が、江戸時代あたりまでのご隠居は、その後のお仕事に駆り出されることも珍しくありませんでした。必ずしもソク引退とはならなかったのです。
本日はその中でも、時代の激動に揉まれた人をご紹介しましょう。

明治三十七年(1904年)1月15日は、二本松藩主・丹羽長国が亡くなった日です。

天保五年(1834年)生まれですので、幕末から日露戦争の直前までの時代に生きていた人ということになります。
それだけでもなかなか苦労の多そうな感じですが、彼の場合、さらに一風変わった苦労もしていました。順を追ってみていきましょう。

【TOP画像】二本松城と二本松少年隊

 

奥羽越列藩同盟の一員となり、新政府軍に敗北

長国は、24歳のときに家督を継いで二本松藩主になっています。
そのとき安政五年(1858年)、まさに幕末の激動の中でのことで、長国自身も幕府から京都の警備を命じられたことがあります。領地が近い上に役目も似ている松平容保とは、いろいろと関わっていたかもしれませんね。

そして戊辰戦争が始まると、二本松藩は「みんなで新政府に頼んで許してもらおうね同盟」こと奥羽越列藩同盟の一員となりました。
が、謝罪が受け入れられなかったため、ドンパチが勃発。東北諸藩の例に漏れず、二本松藩も新政府軍に負けてしまいました。

二本松藩では漢学重視で蘭学があまり浸透しておらず、それに伴って近代化も進んでいませんでした。
そのため装備は旧式ばかり。そもそも東北=人口が少なく=兵も足りないため、老人や少年も駆り出されていました。
よくまぁそんな状態でケンカの売り買いなんて……と現代の我々は思ってしまいますが、それが当時の人の意地とか根性というものなのでしょうね。

二本松藩は最終的に降伏し、長国は隠居・謹慎を命じられた上で領地も半減されるという、割とキツイ処分を下されます。

跡を継いだのは養子の長裕。長裕は上杉家から丹羽家の養子になった人で、血を遡れば吉良上野介義央に行き着きます。政府の許可を得て東京で遊学するなど、意欲を持っていたようで、新しい時代の殿様(藩知事)に似つかわしい人物でした。

 

えっ、わし? 67歳だけど、今さら家督を継ぐの?

しかし、長裕は37歳の若さで死んでしまい、跡を継いだ実弟・長保も若くして死亡。そのため謹慎を解かれていた長国が再び家督を相続することになります(藩は廃止されているので厳密には藩主ではなく、家督を継いで子爵を授けられております)。

これを知った上で晩年の長国の写真を見ると「え、ワシ?」とでも言っているように思えます。当時67歳なのでそう嘆きたくもなったのでしょう。
というより「カメラ」がまだまだ珍しい時代ですから、「これでホントにワシの姿が絵になるのか?」といった心情だったでしょうが。

丹羽長国/wikipediaより引用

こうして数奇な運命を辿り、2年ほど再び当主を務めた後、長国は亡くなります。

その間、新たに宇和島伊達家から長徳を養子に迎え、長国が亡くなった後の家督相続はスムーズに行われたようです。よかったよかった。

江戸時代にも「藩主が早死にしたため、幼いその息子が後を継ぎ、ご隠居が後見した」という話はよくありますが、ご隠居が返り咲いたケースはそうありません。

時代の移り変わりの中で役目を全うすることができ、長国もホッとしていたでしょうね。

長月 七紀・記

参考:丹羽長国/wikipedia 二本松の戦い/wikipedia

 


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