皆さん、ご無事ですか。
武者震之助です。
ついに衝撃の運命を見届けてしまったわけで……平常心を保てておりますか?
そんなわけで第三十三回の感想レビューへ。
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『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』(→amazon)
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徳川勢に矢を放ったのはやはり近藤の家来!? しかし……
死亡フラグが立ち、公式サイトでも小野政次退場カウントダウンインタビューが掲載され、ついにこの時を迎えました。
井伊直虎がかばい、井伊谷城から逃げ延びた政次は、なつと亥之助を連れて川名の隠し里へと逃げてゆきます。
一方、残された直虎は徳川勢と井伊谷三人衆の一人・近藤康用相手に、矢を射かけたのは井伊の者ではないと主張。
井伊再興のため、徳川家康その人に会いたいと取り次ぎを願うのですが……。
中野直之は、徳川勢に矢を放った近藤の家来を捕縛しようとしますが、相手はその場で自害してしまいます。
やはりこれは近藤の罠ということでしょう。
徳川の家臣たちは、味方すると約束しながら、矢を放った井伊への不信を募らせます。
近藤は執拗に、小野政次の首を取らねばならないと繰り返します。
その家康の元へ、武田から書状が届きました。
駿府を陥落させたので、今川氏真が逃げた掛川を攻めよとのことです。
家康は近藤を信じているわけでもありませんが、このまま戦を続行するのであれば、離散した井伊より近藤によい顔をした方が有利に運びます。
武田め、行動が早すぎるわ!
悟ったからこそ直虎の前を去った家康→後の直政に続く?
家康は、直虎がとらわれた牢へ向かいます。
そこで直虎の必死の願いを聞き、おそらく彼女が正しいとは気づいたのだと思います。が、その望みを叶えることはできない、と。
家康は土下座し、その姿勢のまま直虎の前から立ち去るのでした。
直虎は、必死に家康を呼びますが、戻って来ることはありません。
家康としても引っかかるのでしょうけれども、ここは余計な揉め事に巻き込まれたくはないのです。
もしかしたら、今後、虎松(井伊直政)を徳川家に仕官させるときに、このときの家康の負い目をつつくかもしれませんね。昨年、『真田丸』後半の家康はどうやっても倒れないような岩盤じみた強さがありましたが、今はまだそこまでレベルアップできていないのです。
政次らは隠し里にたどり着き、ホッと一息つきます。直虎のことはいつか何とかして取り戻すと、祐椿尼らに報告するのでした。
龍潭寺では、直之と傑山が近藤の罠であると示す証拠を持ち寄ります。
しかし相手は直虎を捕らえているのです。迂闊には動けないでしょう。
南渓和尚は直之に何かを頼みます。
龍潭寺では、龍雲丸による直虎奪還プランが進んでいた
政次となつは、隠し里で束の間の安息を味わいます。
そっとなつの膝に頭を載せる政次。政次は検地で直親に責任を丸投げされた思い出(第7回)を語ります。
そのとき、なつの袖に入っていた白い碁石に気づく政次。先週、なつが政次の袖から見つけたものでした。
思わず直虎を思い出しそうな政次を、なつは「今はなしです」と制します。
碁石は直虎の象徴なのです。
南渓は近藤に直虎返還を求めるのですが、近藤は政次と引き替えでなければならないと強硬な姿勢。そこで南渓は、牢の中の直虎に「政次の居場所はどこか!!」と強い口調で問い糾すのです。
と、直虎も「政次は何もしておりません!」と必死で抵抗します。
龍潭寺では、別の計画が進行中です。龍雲丸らに、直虎奪還を依頼したのです。
これは心強い! この計画さえうまく行けば何とかなりそうですが……。
しかし、一方。碁石で直虎を思い出したのか。政次は思い詰めた顔をして、井戸端で碁石を握り何か思い悩んでいるのでした。
直虎と政次は「比翼の鳥」 二羽が一体となって飛ぶ
南渓は直虎、政次二人を逃すことを考えていました。
「翼が一枚で鳥は飛べぬ……」
この二人は、「比翼の鳥」です。
雌雄それぞれが目と翼を一つずつもち、二羽が常に一体となって飛ぶという、中国の空想上の鳥のこと。玄宗と楊貴妃のような、カップルに用いられる言葉です。ああ、これには納得しかないんだなあ。
しかし、です。
その晩、龍雲丸が救出しようとする前に、政次が囚われてきました。
政次は近藤の寝所に忍び込み、寝首を掻こうとしたというのです。
直虎は政次と引き替えに釈放されるのですが、「いつまで偽るつもりじゃ!」と叫び出します。
「もう少しであったのう。もう少しで首を取れたものを……」
そうつぶやく政次。共に歩もうと誓ったのに、そう直虎は叫びますが政次は暗い目をして牢に放り込まれてしまうのでした。
自分の首ひとつで色々と丸く収まるって……
龍潭寺に戻った直虎は、龍雲丸に政次救出を依頼します。
とらわれた政次に向かい、近藤は
「かような山猿に騙されるとは思っていなかっただろう? 俺を騙したことなどお前は忘れたろうが。取れるときに取る。これが世の習いだ」
と、恨みをぶつけます。
近藤は自分が井伊の者に見下されているのだと、深い恨みを持っているのです。
そしてそれだけではなく、戦国武士らしく”弱み”につけこむ利害のための行動でもあると強調いたします。
近藤が去った後、龍雲丸がやって来ます。流石、使える男です。しかし、これで政次は助かる!のかというと、そうな甘くワケもなく……。
翌朝、龍雲丸は龍潭寺に戻りました。
ただし、そこに政次はおりません。託された碁石だけを持って帰りました。
政次は「本懐ゆえ戻らない」と告げました。
どういうことか?
近藤の恨みが晴れなければ、その敵意が井伊に向かう、それを守りきることはできない――と政次は案じていました。
逆に、自分の首ひとつで、相手の恨みを晴らせるなら安いものだ、と。
「守ってくれなどと頼んだ覚えは一度もない!」
龍雲丸は「それじゃ駄目だ、これから殿(直虎)を誰が守るのか?」と政次に迫ります。
南渓もいるし、お前もいるじゃないか、と政次。
龍雲丸はそれでいいのかとまたも反論するのですが……。
「このままじゃ御家を乗っ取った悪党になっちまうじゃあねえかよ!」
「いいのだ。それが小野の本懐だ。おそらく、私はそのために生まれてきたのだ……」
「わっかんねえな……」
困惑する龍雲丸。私も同じ気持ちです。
龍雲丸からそれを聞いた直虎は当然ながら激怒します。
何がわかるのか、と。幼い頃から家に振り回されて何が本懐か、と。
そこで龍雲丸もまた黙っていられなくなります。
「井伊はあんたのことなんだよ! あの人の言う井伊ってのは、あんたのことだよ! 小野って家なら放り出すこともできた。でもそうしなかった。あんたを守ることを選んだ。だから本懐だって言うんでさぁ」
「頼んでなどおらぬ……守ってくれなどと頼んだ覚えは一度もない!」
直虎は憤然とそう言うと、どこかへ立ち去ります。
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