イラスト・富永商太

伊達家 最上家

大河ドラマ『独眼竜政宗』は名作だ! が、悲しき誤解も産んでしまった

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ともかくバブリー、迫力はあった

そんな本作について、皆様のご批判を承知で素直に申し上げると、過大評価と言いたくなります。

なんせ当時は、イケイケバブルであり、4年ぶり久々の戦国枠(1983年が徳川家康だった)であり、渡辺謙さんや三浦友和さんを配したキャストが話題であり。

そういう最大瞬間風速の追い風を巧みに掴んだのであって、その弊害として生まれた誤解も多かったと言わざるを得ません。申し訳ない。

もう少し詳しく見ていきますと……。

合戦がいちいち大味だったりします。緻密な戦略があまり見えてこないというか。

当時はお金があったのでド派手なロケでやるから、確かに見てる方はワクワクもします。

そもそも伊達家がデカイので、大味勝負しても負けないんですね。

「パーッと攻めて! ガーッと勝ちましたぁ!」

これが史実でもある程度できています。

ただ、実際の政宗だっていつもイケイケではなく、離反工作や伊達家お得意の婚姻戦術を使いまくっているのですが、なまじライバルの最上義光を「裏切りや離反を誘う悪い奴!」にしたせいか、戦国的には真っ当な権謀術数ぶりが目立たない。

外交的にも国内政治的にも緻密でなければ戦国大名としてはのし上がれませんよね?

にも関わらずドラマの政宗はそうでもない。

『こんな調子で天下が取れるのか……』

そう突っ込みたくなるくらい緩いところがあります。特に、前半最大の見どころである「小田原参陣」では、こういうツッコミが止まらなかった。

「最上義光の方が中央との付き合いはうまくやってたよね……。政宗がぐずぐずしているから、弟も死んだのでは……?」

要は、不都合な史実をどう綺麗に描こうとしても、隠しきれない残念感があった。

これも仙台藩のスタンスからして問題がありまして、例えば黄金の十字架一発芸やセキレイの花押で許されるかとか、アップデートをすべきところはあったと思えるのです。

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しかし、同時にそこが奥羽戦国史の悩みどころで、当時は研究更新も遅れ気味でした。

思い出補正で語るのは自由なことであり、フィクションとして楽しむのも良いと思います。

ただ、本作の知識をベースにして東北戦国史に取り掛かると、誤解を抱えたまま理解が難しくなる可能性もあるでしょう。

別の一例を挙げますと、義姫による「政宗毒殺未遂事件」も現在では否定されております。

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戦国史の研究とフィクションの釣り合い――どうしたって、その限界を感じる作品ではあります。

 

過去にすがるのは危険という実例

『独眼竜政宗』について

【最高視聴率=最強大河】

という認識は根強いものがあります。

だからこそ不思議だったのは2018年『西郷どん』でした。

伊達政宗を熱演し、一躍国民的俳優となった渡辺謙さん。

彼を大物・島津斉彬として登板させたことを『西郷どん』ではアピールされましたが、逆効果だったように思えてなりません。

まず、別の女性出演者が私生活スキャンダルで降板になったのに、渡辺謙さんはなぜかそうならない不透明さがあった。

ドラマの脚本に目を向ければ、わけのわからない薩摩流ロシアンルーレットをやらされたり、相撲ハッスルをかまされたり、政宗で培った栄光の貯金が崩されていく悲しさを感じました。

むろん『独眼竜政宗』という作品そのものに、罪はありません。史実から見る不正確な描写は、当時の研究の限界点も影響しております。

ただ、現実社会に影響を及ぼす不運な要素が残されてしまったのが辛いのです。

大河を史実だと信じ、かつ情報を更新せず、東北戦国史知識が偏ってしまったり。

最上関連が罵倒されると並行して山形県民まで誤解されてしまったり。

安易に栄光にすがろうとした『西郷どん』であったり。

30年以上も前のドラマでしょ――と笑って済まされない現実が早く是正されることを祈っております。

『信長の野望』だって、最上義光のパラメータもグラフィックも変わりました。

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歴史が好きなのか?
それとも大河が好きなのか?

「たかが大河、されど大河」という影響力のある本作。

あらためて振り返る機会があれば、正しく評価されつつある人物像も頭の片隅に入れていただきたい――微力ながらそう願わずにいられません。

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文:武者震之助

【参考】
大河ドラマ『独眼竜政宗』(→link

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