兵主源六

鳥取城

戦国諸家

戦国史に残るマヌケな落城劇No.1~兵主源六は踊りに釣られて後の祭りとなる

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兵主源六
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戦国大名で唯一(?)の単独降伏

鳥取城に籠城した山名豊国。

今まで通り、すぐさま織田軍に降伏しようとします。

ところが今度はさすがに家臣たちがブチ切れた!

「それはないだろ! アナタは頼るに値しない主君だ!」ということで山名豊国を追放!

結果、山名豊国は、戦国大名でおそらく史上唯一、単独で降伏をしています。

替わりに城主として入ったのが吉川経家です。

吉川元春のいとこにあたる人物で、その末裔には『笑点』の司会者でもおなじみだった5代目・三遊亭圓楽さんゆうていえんらくさんがいます。

圓楽さんは鳥取城にある吉川経家の銅像のモデルの一人になっています。

吉川経家
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こうして鳥取城は、毛利家から迎えた客将をトップに据え、織田軍相手に徹底抗戦の構えを取ります。

攻め手だった羽柴秀吉は力攻めを避け、翌1581年(天正9年)から兵糧攻めを行いました。

世に言う「鳥取のかつえ殺し」です。

さて、バックボーンとして重要な部分だったのでお話がずいぶんと、鳥取城や山名豊国に寄ってしまいました。

鳥取城の兵糧攻めは以下の記事に詳細をお任せして、

鳥取の渇え殺し三木の干し殺し
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主人公の兵主源六さんにお話をグッと戻しましょう!

あ、そうだ、そうですね!

羽柴秀吉など当時の人々は、兵主源六さんやコンコノ城に関して、こういった感覚だったのかもしれません。

因幡国といえば、山名家! 鳥取城! というように、コンコノ城の兵主源六さんはそこまで重要視されていなかったかもしれません。

しかし、この兵主源六さんが強いんです!

 

ゲリラ戦法で織田軍を翻弄する

鳥取城が攻められている間、兵主源六さんは織田軍の背後を突くように奮戦。

天正9年(1581年)に鳥取城が落城した後も、土地を知っている国衆ならではのゲリラ戦法で織田軍を翻弄したといいます。

天球丸の巻石垣で知られた鳥取城

困った羽柴秀吉は、亀井茲矩かめいこれのりという出雲国(島根県)出身の武将を起用し、兵主源六さん退治を命じました。

亀井茲矩は、毛利元就に滅ぼされた尼子家の旧臣で、山中鹿介らと共に尼子家再興に奔走していた人物です。

亀井茲矩の木像/wikipediaより引用

しかし、再興の神輿として担いだ尼子勝久は上月城こうづきじょう(兵庫県佐用町)で毛利家に敗れて自害。

山中鹿介も捕縛され、搬送される途中で斬首されてしまいます。

山中鹿介(山中幸盛)
山中鹿介(幸盛)は戦国一の忠義者?七難八苦に立ち向かった生涯とは

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このとき亀井茲矩はたまたま上月城におらず、羽柴秀吉に同行していたため難を逃れ、それ以降は羽柴秀吉の配下の武将として鳥取城の攻略などに貢献していました。

その功績として、亀井茲矩は鹿野城の城主に任命され、1万3500石の大名へと大出世を果たすのですが、その居城の近くに織田軍に従わないご当地武将の兵主源六さんがいたというわけです。

鹿野城天守台/photo by Satoshin wikipediaより引用

 

合戦中なのに……音曲に釣られてノコノコ下山

亀井茲矩はコンコノ城攻略に取り掛かります。

が、堅城である上、守る兵主源六さんの武略も見事とあってなかなか攻め切れません。

そこで亀井茲矩はある奇策を以って、コンコノ城を攻め落とそうと計画をたてます。

そして、一見フザけたその計画は実行に移され、なんとコンコノ城は“一滴の血も流れることなく落城してしまう”のです。

まさに奇策中の奇策でして……。

亀井茲矩はまず、兵主源六さんのパーソナルデータを調べました。

すると、兵主源六さんは「めちゃくちゃ祭り&踊り好き」ということが判明。

「これだ!」と思った亀井茲矩は、盂蘭盆会の7月14日にコンコノ城の城下町で盆踊り大会を開催し、そこで鹿野の踊りをアレンジ。

笛や太鼓を加えた新たな踊りを創作して、領民たちと共に踊ったそうです。

ここまで来ると、もう皆まで言わずともですかね?笑

城下で行われている楽しげな盆踊り大会を目にした兵主源六さん。

すると、どうでしょう。

コンコノ城からその様子を見聞きした兵主源六ひょうすげんろくさんが、音曲に釣られてなんとノコノコと下山してくるではあーりませんか!

しかも“主君が踊り好きならば家臣も踊り好き”ということで、兵主源六さんの家臣たちも一緒にコンコノ城から盆踊り大会に参加しにきたのです。

「待ってました!」とばかりに、襲いかかる亀井軍。

踊りに加わっていた一団と、周辺に隠れ潜んでいた部隊で、一斉に無人(笑)のコンコノ城へ攻め寄せ、火を放ちました。

兵主源六さんが城下の盆踊り大会会場からコンコノ城を見上げた時には、文字通り“後の祭り”。

瞬く間に城は燃え上がり、呆気なく落城してしまったといいます。

まるで漫画の世界観!(笑)

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