こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
【櫓(やぐら)】
をクリックお願いします。
お好きな項目に飛べる目次
お好きな項目に飛べる目次
城の四隅に「矢座」を配置すれば
「矢座」は基本的に全方位に攻撃可能ですが、それでは極小の城しか守れません。
ならばということで城の四隅に「矢座」を配置すれば一つの「矢座」で少なくとも2方面に攻撃が可能になります。
4つの「矢座」で全方位に対応できるようになります。
城が広過ぎて隅と隅の間隔が広ければ真ん中に出っ張りを作ってもう一つ「矢座」を配置します。
というふうに、城主の【心配性度】によっていくらでも「矢座」を配置できるのですが、「矢座」と「矢座」の間も防御しなくては行けません。
通常は塀でつなぎます。
が、「このスペースがもったいないな」とか「屋根をつけたら雨の日でも全力で働いてくれるんじゃね」とか「もうめんどくさいから武器もそこに置いといてやる。寝起きもそこでしろ!」という風にしてできたのが「多聞櫓」です。
櫓と櫓を結ぶワケですね。
以下の画像、金沢城に至っては二階建ての多聞櫓まで作ってしまいます。
ちなみに金沢城では例外的に多聞櫓を長屋と呼びますが、労働環境劣悪なブラックイメージを和らげようとして名称変更したかどうかは分かりません。
でもそんな妄想を膨らませながら櫓を眺めていると、楽しいんすよね。
限られたスペースをどうやってビフォーアフターするか悩んでいる当時の匠の姿とか、不満タラタラで持ち場に就く守備兵たちの姿とか、浮かんでくるんですよ。楽しいですよね。ですよね?
時代とともに平和利用され
櫓はその後も発展していきます。
倉庫機能だけでは飽き足らず「月見櫓」や「太鼓櫓」など、本来の目的とはかけ離れた機能を持った櫓も現れました。
時代とともに平和利用されていくのです。
その変遷を見て周るのもお城巡りの楽しみの一つですね。
では最後に今回のマトメを。
本日は【一般観光客に差を付ける一言フレーズ】をご紹介いたしましょう。
これさえ知っておれば、ひょんな偶然が5万回ぐらい重なって城見物に出かけた時、他の観光客に圧倒的な差を付けられます。
では、本番を想定して、声に出しながらご確認ください。
「ああ、この櫓は実にオフェンシブだね。倉というより座だね」
「こっちは随分ディフェンシブな櫓だねえ。矢蔵してるよ。籠城向きかな」
「ふんっ、月見櫓か。風流なもんですな(できるだけ上から)」
あわせて読みたい関連記事
城とオッチャン~名島城の場合~なぜ城郭巡りをしてると遭遇するのか
続きを見る
名護屋城から豊臣軍15万が朝鮮出兵~秀吉が九州に築いた超巨大城郭とは
続きを見る
信長が初めて築いた小牧山城が織田家の戦略を一変!狙いは信清の犬山城だった
続きを見る
信長と義昭が直接対決した槇島城の戦い! 敗北するも意外と緻密だった将軍の戦略
続きを見る
筆者:R.Fujise(お城野郎)
日本城郭保全協会 研究ユニットリーダー(メンバー1人)。
現存十二天守からフェイクな城までハイパーポジティブシンキングで日本各地のお城を紹介。
特技は妄想力を発動することにより現代に城郭を再現できること(ただし脳内に限る)。