歴史ドラマ映画レビュー

イギリス人は王室をどう思っているか?『ホロウ・クラウン』を見ればわかる

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『ヘンリー四世第二部』うつけ王子、名将への道

本作は、

・父王が崩御し、

・王子が本気を出してフォールスタッフらを追い出し、

・即位する

ところがクライマックスです。

しかし、これはある意味悲劇ではないでしょうか?

「虚ろな王冠」にふさわしい人になるため、王子は親友たちを投獄します。

それは、人間性の否定ではないでしょうか?

ずっと描かれて来た、明るく陽気で人好きのする王子は消え去り、そこに立つのは冷酷な王であり、名将の姿です。

 


『ヘンリー五世』激戦を制覇する英雄王

悪友を退けたヘンリー5世は英雄王となり、内乱を鎮圧したイングランドを出航。

百年戦争の対戦国フランスへ乗り込みます。

ヘンリー五世/wikipediaより引用

ヘンリー5世
英国王ヘンリー5世 英語を積極的に使い軍事に長けた若き王はなぜ急死したのか

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イングランド王でも屈指の名将であり、「アジンコートの戦い演説」は、愛国心の象徴でもあります。

それでも、虚しさを混ぜるのがシェイクスピア流でしょう。

王に捨てられたフォールスタッフの悲しみ、侵攻されるフランスの大迷惑、夭折した王の葬儀。そこまで描きます。

ヘンリー5世が美しきフランス王女キャサリン・オブ・ヴァロワを娶る場面も見所ですね。

ただ、彼の息子であるヘンリーの狂気は、この母親経由で流れ込むんですなァ。皮肉よなあ。

 


『ヘンリー六世第一部』薔薇戦争、幕開け

ヘンリー5世の夭折後、物語は、ヘンリー6世の王位へ。

 

母方の祖父譲りの錯乱した王に代わり、政争に立つのはフランス出身の王妃マーガレット・オブ・アンジューです。

「黒人のソフィー・オコネドーが出てくる」と本作に対して文句のレビューを書いている人もいますが、作り手は、そういう方のことを想定していません。

彼女はこのドラマ女優陣でも屈指の名演をしております。

余談ですが、このマーガレットは『ゲーム・オブ・スローンズ』の主要人物であるサーセイ・ラニスターのモデルでもあります。

ヘンリー6世を支えるグロスター公ハンフリーは、ドラマ『ダウントン・アビー』や映画『パディントン』での名演技で日本でも人気のあるヒュー・ボネヴィル。

しかもその妻エレノアは、『シェイプ・オブ・ウォーター』の主演であるサリー・ホーキンス! 豪華キャストです。

そんな中で、ランカスター朝が赤薔薇、敵のヨーク家が白薔薇を掲げ戦う、残酷な歴史が幕を開けます。

赤薔薇と白薔薇の残酷な歴史はじまる/wikipediaより引用

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