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『ヘンリー六世第二部(第三部)』グロスター公、登場
無力でしかないヘンリー6世。
何もできないまま、残酷さも持つ王妃マーガレットが戦うものの、白薔薇ヨーク家が台頭してきます。
本作から目立ち始めるのが、ヨーク家のグロスター公リチャード。
あの人気俳優ベネディクト・カンバーバッチです。
イギリス人俳優なら一度は演じたい、リチャード役に全力投球。
実は、彼自身リチャード3世の子孫ですから、びっくりです。
◆Richard III's reburial: Benedict Cumberbatch reads at service – video(→link)
『リチャード三世』これぞ悪王の極み!
リチャード3世の子孫でもあるカンバーバッチ、ノリノリです。
シェイクスピア作品でも、リチャード3世はワルの華。
俳優なら一度は演じたいキャラでしょう。
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カンバーバッチと『SHERLOCK』で共演しているマーティン・フリーマンも、名演を披露しております。
リチャード3世は、シェイクスピアの悪意たっぷりの言動も素晴らしいのですが、何といっても視聴者に向けて語るのが最高。
カンバーバッチ本気の演技にしびれましょう!
しかし、本作でリチャード3世を斃すヘンリー7世。
実は、祖父オウエン・テューダーが、ヘンリー5世未亡人キャサリン・オブ・ヴァロワの愛人だった……その間に生まれたエドマンドが、王家からリッチモンド伯に任じられたから、というのが王位継承権の根拠のひとつです。
しかも、結婚相手にヨーク家のエリザベスを娶り、得点を稼いでいるのです。
要するに、正統性は薄いのです。
それでもシェイクスピア劇を見ていると、そうは思えないわけで。
そりゃあ、チューダー朝の女王エリザベス1世も、シェイクスピアを認めますよね。だって最高の宣伝係ですもの。
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シェイクスピア人気の謎
このへん『イギリス人ってよくわからないな』ってなるんですけど。
チューダー朝のあと、スコットランド系のスチュアート朝になると、
「これからはスコットランドブームだ!」
って『マクベス』を発表したんですよ。
が、この中身。マクベスは極悪ですし、イングランドの援軍を率いた敵にあえなく打倒されます。
なんでや、スコットランド王アンチか!
※映画『マクベス』予告編
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まぁ、エリザベス1世の時点で、その父『ヘンリー八世』を発表しちゃいますからね。
エリザベス王女誕生を祝う終わり方でゴキゲンを取ってはいますが。
長々と書きましたけど、イギリス人の王家への考え方は、シェイクスピア時代から独特ってことでしょうな。
そんなイギリスのびっくり土産。
「ヘンリー8世と6人の王妃マグカップ! 熱い飲み物で王妃が消えまぁす!」
流石にこれは趣味悪い!!
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★
というわけで、自国王の冠すら「はぁ、虚しいわ……」とタイトルで宣言。
名優が扮する王様も生ゴミ粉砕のように始末する『嘆きの王冠 ホロウ・クラウン(→link)』が絶賛オススメです。
シェイクスピアだし、歴史劇だし、お堅いんでしょ?
なんて先入観は捨てましょう。
王様の死に方は意外とそっけないし、神経をほぐせば結構笑えます。
なんといっても名優の共演揃い。これを見ずして、歴史劇好きとは言えないはず。
要チェックですぞ!!
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文:武者震之助
【参考】
『嘆きの王冠 ~ホロウ・クラウン~』(→amazon)
公式サイト(→link)