歴史系の新書って、コンパクトながら内容も充実していて、つい買ってしまいません?
歴史本としては異例の大ヒットとなった『応仁の乱』をはじめ、毎月のように各社から出されていて、新しい価値観が提示されたり、意外な見方を教えられたり。
ときには、今まで信じてきたことが根底から覆されてしまう――そんな衝撃的な本との出会いもあります。
『女系図でみる驚きの日本史 (新潮新書)』(→amazon)もまさに、その一冊。
女系図で見れば、あの平家も滅びていない!
とまぁ、女性の「腹」を通じて受け継がれる血脈や、女性の立場を解説してくれながら、日本史の別の見方を読者に示す。
大変興味深い一冊です。
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女系図で見れば平家は滅亡どころか繁栄しまくり!
本書をパッと見て圧巻なのが、筆者が作成した女系でみる系図です。
この中には、院政期の男色関係が一目でわかる「究極の男色系図」も含まれています。
とにかく驚かされます。
まず平家の血筋は、現在の皇室まで続いておりまして。
源頼朝は女系でも血統が途切れているので、女系で辿ると実は源平の勝敗は逆転しているということになります。
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渡来人があふれていたかつての京都
かつて、ある政党の党首が外国人の血を引いていることからバッシングが巻き起こりました。
血の問題ではなく国籍の問題だとか、態度の問題だとか、いろいろ反論はあると思いますが、それはひとまず横に置きまして。
本書の第三講では、渡来人が数多くいた古代京都を取り扱っております。
当時はむしろ、中国大陸や朝鮮半島にルーツのあることを、アイデンティティとして大切にする人もいたことが語られます。
こういう記述を読むと「純粋な日本人」というのを考えてしまうかもしれません。
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てっきり女性の地位が低いからでしょ……と考えていたのですが、それは武家の場合に当てはまるとしても、平安時代には必ずしもそう言い切れないとのこと。
むしろ「実名忌避」ではないか、というのです。
「実名忌避」とはどういうことなのか?
インターネットで知り合った人同士は、個人情報である本名でなくハンドルネームを使うようなもの、と説明されて納得しました。
このように、ものすごくわかりやすいたとえに落とし込むのも筆者の特徴で、読んでいてイメージしやすく助かります。
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